こういうアプローチがあるのか、と、唸らされた。「こういう」とは即ち、ストーリー、キャラクター設定、カメラワーク、音響、過去←→現在←→未来の交差などを示す。タイトルに出てくる“シーフォーミー”とは、視覚障がい者サポートアプリのこと。ほか、「FPSゲームの現実化」というしかない場面もたっぷり含まれる。

 アグレッシヴな展開が多いにしても、鑑賞後、「現代の映画を観た」というすがすがしい気持ちになった。セリフも興味深く、「googlin’」(ググる、という感じか)という英単語があることを筆者はここで初めて知った。

画像1: 視覚を失った女性がその先に感じたものとは? 途方もなく現代感覚にあふれるサスペンス作品『シーフォーミー』

 主人公のソフィはオリンピック出場の夢を持っていたスキーヤー。だが、志なかばで視力を失ってしまう。なんでよりによって私が、という憤怒もあったはずだ。「窃盗」、つまり悪の道で生きることを決めた。彼女が「キャットシッター」として入り込んだのは、ニューヨーク州北部、人里離れたところにある豪邸。離婚してひとりでその豪邸に住んでいる女性が、しばらくそこを離れることになり、猫の世話係としてソフィが雇われたのだ。

 この「女性の離婚」はいうなれば、邪悪な物語の前奏曲に相当する。女性が独り暮らしをする豪邸に巨大な金庫があると知られている場合、そこに入っている大金を盗みたいと思うのはソフィだけだろうか? いや、プロの窃盗集団だってそれを狙っているはずだ。では、彼らの視界にソフィが入ってしまった場合、どうなるか? 利害を一致させてチームになるのか、それともどちらかが倒れるまで攻撃しあうのか? ほぼ密室と化した豪邸の中で、濃厚な人間模様がうずまく。

画像2: 視覚を失った女性がその先に感じたものとは? 途方もなく現代感覚にあふれるサスペンス作品『シーフォーミー』

 監督はランドール・オキタ。ソフィ役のスカイラー・ダベンポートは、実際に成人後に視力を喪失しているのだという。8月26日から全国公開。

映画『シーフォーミー』

8月26日(金)より新宿バルト9ほか全国公開

キャスト:スカイラー・ダベンポート、ジェシカ・パーカー・ケネディ
監督:ランドール・オキタ
配給:クロックワークス
2021年/カナダ/93分/シネマスコープ/5.1ch/英題:SEE FOR ME/字幕翻訳:髙橋 彩
(C)2021 SEE FOR ME FILM INC.

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