谷村新司の作品を数多く手掛けるステレオサウンド社から、また新しいアルバム「谷村新司Ⅲ」がリリースされた。

  この作品は、2017年に谷村新司が歌手生活45周年を記念してリリースしたアルバムの中から往年の名曲8曲を選りすぐった構成となっているが、その全曲が約30年ぶりに谷村新司が新たにレコーディングした音源を使った初のアナログレコードであるという点がこれまでとは異なっている。

谷村新司III(LP) ¥8,800(税込)

●品番:SSAR-069●仕様:33 1/3回転、180g重量盤
●企画・販売:株式会社ステレオサウンド●制作・発売:ユニバーサルミュージック合同会社

画像1: “谷村新司の、魂のこもった声が聴きたい” という想いを形にしたレコードだ。新たに録音された “時代を超えた声の魅力” が、今まで見えてこなかった音の世界を拓いてくれる

<収録曲>
[SideA] 1. 昴 -すばる-、2. 流星、3. 群青、4. 忘れないで
[SideB] 1. いい日旅立ち、2. 陽はまた昇る、3.三都物語、4. サライ

※「谷村新司III」のお求めはこちら ↓ ↓

 今回新録された楽曲に関しては、レコーディングを担当したミキサーズラボの三浦瑞生氏にその時の様子を改めて取材している。というのも、歳を経ても瑞々しさを失わない谷村新司のヴォーカルに何か仕掛けがあるのではないかと、尋ねてみたかったからだ。

 そこで分かったことは、彼は声質の変わらない稀有な歌手だということだった。実際今回の新規録音に関しても、特別なことは何もしていないというし、どの曲も3テイクまでで完成したという。このあたりの経緯はライナーノートにも記しているので、ぜひご一読願いたい。

 それだけに、この素晴らしい録音素材をレコードに落とし込むためにLPレコード用のマスタリングを制作したミキサーズラボの菊地 功氏と、ラッカー盤のカッティングを行なった北村勝敏氏も気の抜けない作業の連続だったと思う。

画像: 潮さんのオーディオルームでは、ラッカー盤やテストプレスなど、制作途中の音も確認いただいている。プレーヤーにはオリジナルの木製テーブルにセットしたテクニクス「SP-10R」を使用

潮さんのオーディオルームでは、ラッカー盤やテストプレスなど、制作途中の音も確認いただいている。プレーヤーにはオリジナルの木製テーブルにセットしたテクニクス「SP-10R」を使用

 結果的に(僕の希望もあって)テストラッカー盤を三回も切りなおしてもらうことになったが、その甲斐あってデジタルマスターのメリットを活かしたアナログレコードとして実に申し分のないテイストに仕上がった。

 さらにラッカー盤から量産プレス前のテスト盤を二度にわたって作り直したことも本作の完成度を高めている。アナログレコードは変動要素が多いため、ラッカー盤の溝の刻み方とともに、プレス時の圧力の掛け具合によっても音質が変化するからだ。

 幸いにしてラッカー盤からテスト盤まで自宅の試聴室で聴くことが出来たのでその違いもよくわかったし、結果として僕も本ディスクの監修の一端を担うことになった。

 そこでの音決めについては、チーフプロデューサーの放った、“谷村新司の魂のこもった声が聴きたい” というひと言に尽きる気がする。最近僕の周りで、泣けるような思いに駆られる音楽と出会いたいという声をよく耳にするが、このLPは音質がいいだけではなく、心の襞に訴えかけるような谷村新司の声が凝縮されている点でもファンには嬉しい贈り物になるはずだ。

画像2: “谷村新司の、魂のこもった声が聴きたい” という想いを形にしたレコードだ。新たに録音された “時代を超えた声の魅力” が、今まで見えてこなかった音の世界を拓いてくれる

 量産盤が出来上がって改めて試聴してみたが、その音質は奇をてらったところが一切なく、自然体であることに我ながらほっとした。谷村新司のヴォーカルの瑞々しさもさることながら、アナログレコードらしいふくよかさと、バックのオーケストラやバンドの演奏とのバランスのよさが、聴き手をしっかりと包み込んでくれる。

 ラッカー盤のカッティングにこれほど時間をかけた作品もないだろうし、テストプレスのやりなおしを求めるのもあまり聞いたことはない。しかし、ここまでこだわったことで、今まで見えてこなかった音の世界がこのレコードには刻み込まれている。あなたのオーディオシステムがチューニングされたものであればあるほど、作り手の気持ちがダイレクトに伝わってくるレコードに仕上がっていると思う。

This article is a sponsored article by
''.