自分は昭和生まれだが、子供の頃は銀行関連の犯罪(強盗、金庫破りなど)のニュースが1年に何度も巷をにぎわせていた記憶がある。セキュリティの圧倒的な強化等によってそれは現実的には絶滅に近い形となって今に至るわけだが、映画の上ではいまも“現役”。技術の進化と共に窃盗のスケールは増す一方、銀行側と盗賊側の知性がせめぎあう、手に汗握る圧倒的エンターテイメントとして視聴者の前に差し出される。それは6月10日から全国公開される『ウェイ・ダウン』だ。

画像1: 世代を超えて集結した窃盗チームが、サッカー決勝戦に沸くスペインで、難攻不落の金庫破りに挑む! 『ウェイ・ダウン』公開へ

 いきなり“どこまでも限りなく広がる海の情景”が観る者をヨーロッパにいざなう。沈没船から“財宝のヒント”に関する書類を引き上げてしまったイギリス人。だがその船はスペイン籍のもので、イニシアティヴはスペインが持っていた。その“ヒント”がスペイン銀行の地下にある、難攻不落の構造を擁する金庫に移動したことをつきとめた盗賊たちに、本来なら超一流企業に諸手を挙げて迎えられるはずの優等生・頭脳明晰なウォルターがひょんなことから加わり、あとはひたすらスピード感よく展開される。アイデアを次々と出すウォルター、「頭脳じゃなくて実践が大事だろう」と泥臭く迫る上の世代、それに対し「まあまあ」となだめるその上の世代……ここにも社会の縮図がある。

画像2: 世代を超えて集結した窃盗チームが、サッカー決勝戦に沸くスペインで、難攻不落の金庫破りに挑む! 『ウェイ・ダウン』公開へ

 彼らが数々の調査や想像を基に設計図を自作し、金庫破りに取り組もうという頃、スペインの大衆はサッカーの決勝戦のライブビューイングで盛り上がっていた。この熱狂は彼らの作業の妨げになるのか、それとも煙幕がわりになるのか? 実写版ルパン三世的な感じも、個人的にはした。誰も死なないし誰も大けがをしない(たぶん)、性や人種の違いでもめることもない、だけど十二分にスリリングというところが、現代の作品だと思う。監督はスペインの著名俳優ジャウマ・バラゲロ、ウォルターには『チャーリーとチョコレート工場』のフレディ・ハイモアが扮する。

映画『ウェイ・ダウン』

6月10日(金)新宿バルト9ほか ロードショー

出演:フレディ・ハイモア、リーアム・カニンガム、サム・ライリー、ファムケ・ヤンセン
監督:ジャウマ・バラゲロ
2021年/スペイン、フランス/英語、スペイン語/スコープサイズ/5.1ch/118分
原題:WAY DOWN/字幕翻訳:平井かおり/レイティング:G
配給:クロックワークス
(C)2020 Telecinco Cinema S.A.U., Think Studio S.L.U., Ciudadano Ciskul S.L., El Tesoro de Drake A.I.E.

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