デノンから同社エントリークラスの新製品が発売される。どちらも6月下旬の発売を予定している。
●プリメインアンプ:PMA-900HNE ¥120,000(税別)
●CDプレーヤー:DCD-900NE ¥70,000(税別)
両モデルは「800」シリーズの後継で、現在開催中のミュンヘン・ハイエンド2022でお披露目されたものだ。
PMA-900HNEは、型番に「H」が付いているとおり、ネットワーク機能の「HEOS」テクノロジーを搭載したプリメインアンプだ。同社AVセンターの高級モデルに搭載されていたSoCをグレードアップして採用、各種ストリーミングサービスや、ネットワークにつないだNAS、USBメモリーの音源再生も可能になっている。
加えて光、同軸デジタル入力等も豊富に装備しているので、薄型テレビやレコーダー等も接続でき、音楽から配信、放送まですべてをいい音で楽しめるわけだ。デノンではリビングで再生するすべての音を高品質に楽しめるアイテムと位置づけているのだろう。
パワーアンプ回路は前モデル「PMA-800NE」から刷新され、FLAT AMPとPOWER AMPの2段構成になっている。FLAT AMPを持たない固定利得のアンプでは、ボリュウム位置でアンプ動作が変わらないという利点がある一方で、入力抵抗の熱雑音を常用領域でもフルゲインで増幅してしまうので、小音量時のノイズが抑えにくいという面もあった。今回の2段構成増幅回路では、FLAT AMP部でゲインを抑えることで、普段よく使う音量でのノイズを低減できるという。
ボリュウム回路は可変ゲインアンプを搭載したデジタルボリュウムを搭載し、機械式に起因する高域でのギャングエラー(L/Rの出力のばらつき)を回避している。出力は50W×2(8Ω)、85W×2(4Ω)。
D/Aコンバーター回路も新開発された。まず高精度クロックをDACチップの直近に設置してジッターを抑制、I/V(電流/電圧)変換回路に高性能なオペアンプをあてがう、デジタル回路をシールドケースに封入するといった改善も加えられている。またコンデンサーには、SX1 Linited Edition用に開発されたパーツを投入、ブロックコンデンサーは新規にカスタム部品を開発・搭載している。
ハイレゾ信号の対応フォーマットはWMA/MP3/WAV/MPEG-4AAC/FLAC/Apple Lossless/DSDで、WAV/FLAC/Apple Losslessは最大192kHz、DSDは5.6MHzまで再生できる。
その他の改良点として、電源がこれまでの直出しからインレット式に変更された。これはデノンのエントリークラスでは初採用だという。その他、フォノイコライザー(MC対応)も高音質タイプとなり、アナログレコードも高品質に楽しめるようになっている。
DCD-900NEはデノンのCD再生専用機最上位モデル。筐体をPMA-900HNEと同じ大きさにすることで、上位モデルのDCD-1600NEと同じ基板レイアウトに変更したという。
具体的にはデジタル/アナログ基板を完全分離し、余裕を持った配置になっている。DAC回路はPMA-900HNE同様に、高精度クロックをDACチップの直近に設置してジッターを抑制、I/V(電流/電圧)変換回路に高性能オペアンプをあてがっている。
ちなみにDACチップは従来モデルから変更されているとかで、新しいチップの特徴を生かす回路を開発、使いこなしの最適化も図られている。
コンデンサーにはPMA-900HNE同様にSX1 Linited Edition用に開発されたパーツが投入され、電源もインレット式に変更されている。アナログ音声出力端子は、L/R間にゆとりを持った配置に変更されている。
ハイレゾ信号の対応フォーマットはWMA/MP3/WAV/MPEG-4AAC/FLAC/Apple Lossless/AIFF/DSD。WAV/FLAC/AIFFは最大192kHz、Apple Lossless は最大96kHzに対応し、DSDは5.6MHzまで再生できる。
新製品発表会で、PMA-900HNEとDCD-900NEをつないだ音を聴かせてもらった。前モデル800シリーズと比較した印象では、クラシック楽曲で音場が広くなり、ゆったりと余裕が出てくる。楽器のニュアンスも増えて、低域の立ち上がりが早くなっているように感じた。
女性ヴォーカルの楽曲でも、声のクリアーさが際立ち、ドラムのアタック、キレがよくなる印象だ。背後に聞こえる虫の声が増えているのは、それだけ細かい情報が再現できるようになっているということだろう。