米国製アナログプレーヤーの老舗的存在
VPIインダストリーズ社は、家族経営を貫く米国製アナログプレーヤーの老舗的な存在。紹介するプライム・シグネチュアはプライムシリーズの最高峰で、インバーテッドベアリング構造のスピンドルシャフトが与えられた重厚長大指向の新製品。9kgのアルミニウム製プラッターはステンレススチール材と組み合わせて振動モードを分散している。キャビネットは厚いアルミニウム板を樹脂ラッピングした2枚のMDF材で挟む構造。剛性と内部損失をともに高めている。同社伝統といえるワンポイント支持のJMW10-3Dトーンアームは、可動部分のアームワンドが3Dプリンター技術による一体化製造。素材は硬質樹脂のようだ。上向きの鋭い針先とアームの受け部分は潤滑剤が不要だ。重量級ステンレススチール製ハウジングに納められたモーターはAC同期(シンクロナス)タイプである。大型の脚部は存在感じゅうぶん。
試聴にはフォノカートリッジにフェーズメーションPP-2000を装着。フォノイコライザーアンプも同社EA-1000である。デイヴ・グルーシンのダイレクト盤では、情報量の豊富さと荒々しさを感じさせる躍動的な演奏が愉しめた。アンセルメ指揮「三角帽子」も同様で、高感度トーンアームとトルクの強いACモーターという特徴がストレートに反映された格好だ。手作業の速度変更はちょっと面倒だが、井筒香奈江の45回転ダイレクト盤は見事な臨場感で鬼気迫る音を聴かせた。
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