オーディオやオーディオビジュアルの世界は日進月歩。次々に新しい技術やそれを搭載した新製品が登場し、入れ替わりも早い。だが同時にそれらは、常に時代の最先端を走っているモデル達でもあり、思い出に残る製品ともいえる。このシリーズでは、弊社出版物で紹介してきた名機や名作ソフトに関連した記事を振り返ってみたい。

画像: 以下の記事はHiVi2011年8月号に掲載されています https://www.stereosound-store.jp/fs/ssstore/bss_reg_hv/411

以下の記事はHiVi2011年8月号に掲載されています

現代に甦ったアイソバリック方式
目に見えるようにリアルな低音だ

<PROFILE>
 巨大なエンクロージャーを必要とせず、深々としてパワフルな低音を実現するリンのオリジナル技術、アイソバリック方式が、MAJIK ISOBARIKに採用されて久々に復活した。 このアイソバリック方式は1973年にリンの初代スピーカーISOBARIKに搭載されてデビューした技術で、15年後にパテントが切れてからは他社のフラッグシップモデルをはじめ様々なスピーカーでも採用されたという、画期的な高品位低音再生方式だ。

 その仕組は、同じ口径のユニット2基を向い合せに設置し、片側のユニットを正相、もうひとつのユニットを逆相駆動することで同一方向にタンデム動作するというもの。これによりコンパクトなキャビネットで、パワフルかつローエンドまでよく伸びた低音を、きわめてリニアかつ低歪で実現するという。本製品は底面にこの方式の低域部を内蔵する。

 MAJIK ISOBARIKの高音域にはもちろんリン独自の2Kドライバーアレイを採用し、中低域は5インチユニットを1基搭載した4ウェイ、トールボーイスピーカーシステムである。

<IMPRESSION>
 ほとんど下ろしたての新品ということで、テストの30時間程前から鳴らし込んではいたが、実際に大きな音で視聴をスタートしてから30分ほど経過して、俄然調子が出てきた。

 CD再生はデノン「PMA-SX」とソニー「SCD-DR1」を使用。きわめてパワフルで、かつギョッとするほど鮮度が高いウッドベースの音が特徴のゲイリー・ピーコック&ビル・フリゼールの「JUST SO HAPPENS」を再生すると、アイソバリック方式のよく伸びた低音がパワフルなことに加えて、きわめて俊敏に立ち上がることに感心させられた。見えるようにリアルな低音である。2Kアレイによる高音域も、エレクトリックギターのリバーブ成分がスピーカーの外側まで豊かに浮遊する様を見事に感じさせる。硬質感はなく、かつ輝かしすぎることもない素直な中高域だ。

 BD視聴はパイオニア「SC-LX83」とパナソニック「DMR-BZT900」を使用。エリック・クラプトン「クロスロード・ギター・フェスティバル2010」と「ハイティンク指揮 コンセルトヘボウ」は、両方ともリニアPCMのステレオ(96kHz/24bit)を選んで聴いたが、ロックのライヴの迫力と、クラシックのコンサートホールの低音、特に暗騒音の濃密な感じをとてもよく感じさせてくれた。このサイズでこれだけ良質な低音は珍しい。

画像: 現代に甦ったアイソバリック方式 目に見えるようにリアルな低音だ

SPEAKER SYSTEM
LINN MAJIK ISOBARIK
¥630,000(ペア)※価格は当時のもの
●型式:4ウェイ5スピーカー、アイソバリック型
●使用ユニット:200mmコーン型ウーファー×2、125mmコーン型ミッドレンジ、30mmドーム型トゥイーター+16mmスーパートゥイーター
●出力音圧レベル:88dB/W/m
●寸法/質量:W300×H981×D406mm/32kg
●備考:[カラリング]ブラックアッシュ、ウォールナット、ローズナット、チェリー、オーク、ホワイト、他

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