オーディオやオーディオビジュアルの世界は日進月歩。次々に新しい技術やそれを搭載した新製品が登場し、入れ替わりも早い。だが同時にそれらは、常に時代の最先端を走っているモデル達でもあり、思い出に残る製品ともいえる。このシリーズでは、弊社出版物で紹介してきた名機や名作ソフトに関連した記事を振り返ってみたい。

画像: 以下の記事はHiVi2011年7月号に掲載されています https://www.stereosound-store.jp/fs/ssstore/bss_reg_hv/412

以下の記事はHiVi2011年7月号に掲載されています

ユニット間の位相管理が秀逸
抜群の追従性能でセリフをシャープに結ぶ

<PROFILE>
 昨年(編注2010年)9月に日本再上陸を果して以降、英国モダンショート社のスピーカーは続々と日本市場に紹介されているが、いよいよフラッグシップ機の登場だ。

 前面から見たそのフォルムは、スリムなトールボーイ型だが、横から見ると、ボトムにかけてスラントした円錐型に似たボリュウムたっぷりのエンクロージャーであるのがわかる。正面からの印象と横顔とがこれほど異なるスピーカーもそうないだろう。光沢のあるピアノブラック仕上のこのエンクロージャーは、特殊な合成樹脂製である。

 4つのスピーカーユニットはすべてアルミ製振動板を採用しており、全帯域に渡る音色の統一が期待できる。もっとも特徴的なのは、後方に鋭くニョキッと突き出たトゥイーターの構造だ。ATT(アスピレーテッド・トゥイーター・テクノロジー)と呼ばれるそれは、同社の特許技術。バックチャンバーをニードルのように細く絞りつつ、先端部に無数の穴を開けることで背圧をスムーズに逃がす効果があり、振動板をあたかも呼吸するかのごとく滑らかに前後運動させる。この穴は直径を微妙に変えることで特定の周波数で共振が発生するのを防いでおり、トゥイーターをキャビネットから浮かせた独立構造により全体の振動からの影響も回避させている。

<IMPRESSION>
 一聴してわかるのは、きわめてS/Nの高いサウンドであること。静謐感が際立つスピーカーで、録音の優れたプログラムソースほど、その持ち味がストレートに出てくる。以前に聴いた同社のスピーカーは、いい意味でかつてのブリティッシュサウンドを継承したウェットさと渋味があったが、本機は現代的に洗練されたサウンドである。抜群のトランジェント感はその一端だ。

 深々とした音場再現力は、ステレオイメージがきれいに見通せる。映画ソフトのステレオ再生でも、そこはかとないサラウンド感が醸し出される点は、ユニット間の位相管理の巧みさ故だろう。セリフはシャープに結ばれる。ユニットのマテリアルが統一されているので、音のつながりも抜群によい。ステレオシステムで映画を再生したが、低音再生にはもう少し量感がほしいところ。良質なサブウーファーを組み合せるといいだろう。

 この特徴的なデザインは、やはりモダンなインテリアにマッチすることだろう。例えばモノトーンの室内イメージにぴったりだと思う。組み合せるAV機器のコスメティックもそれと揃えたいところである。

画像: ユニット間の位相管理が秀逸 抜群の追従性能でセリフをシャープに結ぶ

SPEAKER SYSTEM
MORDAUNT-SHORT Performance 6
¥682,500(ペア)※価格は当時のもの
●型式:3ウェイ4スピーカー、バスレフ型
●使用ユニット:165mmコーン型ウーファー×2、100mmコーン型ミッドレンジ、25mmドーム型トゥイーター
●クロスオーバー周波数:500Hz、3kHz
●出力音圧レベル:89dB/2.83V/m
●寸法/質量:W240×H1150×D430mm/32.8kg

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