回転摩擦を排除のワンポイント・サポートアーム搭載
VPIは米ニュージャージーのオーディオメーカーで、主としてアナログプレーヤーに独創性豊かな技術をもっている。Scoutシリーズは、2001年から累計12にのぼる各種アウォードを獲得してきたという代表作。その最新ヴァージョンが当機である。
大きめのACシンクロナスモーターと段付きプーリーによってベルト駆動される2速度プラッターは、公称質量4.76㎏におよぶアルミ合金製。ネジ込み方式のスタビライザーでレコードをじんわり押し付ける構造だ。
馬力頼みの万事豪快アメリカ流儀かと思ったらそうではない。9インチサイズのJMW9トーンアームは、回転摩擦を断固排除したワンポイントサポート。制動オイルを使っていないし、加えてピボット部のすこし手前から出ている信号線のわずかなスプリング効果をアンチスケーティングに積極活用するといった、芸のこまかい技巧派だ。フィンガーリフトを持つとアームはふらふらするわけだが、音溝に落し込まれた針先はずばり安定する。もしも左右に傾いている場合は、カウンターウェイトを回して重心位置を修正すればよい。
カートリッジは、本誌リファレンスのフェーズメーションPP2000を使用。トータルで予想外にまとまりのよいターンテーブルシステムだ。同一音源のCDと聴き比べればアナログの妙味がすんなり感得できるし、S/Nやレンジ感など基本性能にまつわる満足度もじゅうぶん。聴き慣れたLPでも嬉しくなりそうな現代の高C/P機だ。