初めての出会いを思い出させる、疾風怒濤の2時間22分。
『スター・ウォーズ』と過ごした41年は、悪くない人生だった……久保田 明

 12月20日、金曜日の朝。前の晩は2時過ぎまで仕事をしていたのに、6時前にワクワクして目が覚めてしまった。

 今日は午後、東京・有楽町の丸の内ピカデリーに『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を観に行くのだ。遠足の日の小学生かよ、俺は。

 でもそれもしようがない。いまは無き新宿プラザ劇場の湾曲した大スクリーンで、スター・デストロイヤーを見上げて唖然とした夜から41年。『スター・ウォーズ・サーガ』に大きなピリオドが打たれる(だろう)日なのだから。

 もはや眠れず残った原稿を書き、遅刻しないように早めに家を出る。嫁さんに「じゃあ、行ってくるよ」と言い残して。出征するのかよ、俺は。

画像: 久保田さんは『〜スカイウォーカーの夜明け』初見の場として、丸の内ピカデリーのドルビーシネマをチョイス

久保田さんは『〜スカイウォーカーの夜明け』初見の場として、丸の内ピカデリーのドルビーシネマをチョイス

 席につく。始まった。“A long time ago in a galaxy far,far away…”のオープニングから、ワンテンポおいて響き渡るジョン・ウィリアムズのテーマ曲! うわわわわ。もう自分が何歳なのか分からない。疾風怒濤の2時間22分だった。

 ドルビービジョン&ドルビーアトモスのWドルビー効果がすばらしく、ミレニアム・ファルコンやX-ウィングに自分が同乗しているよう。数え切れぬ機体が交差する大空中戦にもクロストークノイズが無く、音場はクリアーで臨場感満点だ。ライトセイバーの方向が、目を閉じて分かるのもスゴい。

 カイロ・レンの髪やマント、スーツなどの黒色にもそれぞれ実在感、素材感、立体感があり、この卓越した暗部表現はドルビービジョンならではの特性だろう。コスチュームの黒みと背後の窓から見える宇宙空間の暗さが描き分けられているのだ。その暗部階調に支えられて、稲光がきれいに光り、『スター・ウォーズ』のシンボルカラーである赤が発色する。

 情報量が膨大なのでいちどで咀嚼できないけれど、ミレニアム・ファルコン飛行シーンの角度やカメラワークに、往年のモーションコントロール・カメラのアナログ感が再現されているようにも感じた。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』製作のために設立されたインダストリアル・ライト&マジック社。サーガの最終章として、それや『〜帝国の逆襲』に憧れて入社したスタッフが遺産の継承とブラッシュアップを考えても不思議はないだろう。

 新登場のエイリアン・キャラクターにも、カンティーナの酒場のようなSFX感、マペット感が活かされている。引退を撤回して戻ってきたのかと、エンド・クレジットにリック・ベイカーの名前を探してしまったよ。それはもちろん叶わぬ夢だけれど。

画像: 丸の内ピカデリーでは、公開記念グッズとしてオリジナルのクリアーファイルをプレゼントしていた。座席は「I-14」(写真の半券は一緒に出かけた編集部員のもの)

丸の内ピカデリーでは、公開記念グッズとしてオリジナルのクリアーファイルをプレゼントしていた。座席は「I-14」(写真の半券は一緒に出かけた編集部員のもの)

 データベースIMDbによると、今回はアリフレックス435ESや、パナビジョン・パナフレックス・ミレニウムXL2、パナビジョン・パナフレックス・システム65と、35mm、65mmのフィルム・カメラのみが使用されている。『〜フォースの覚醒』『〜最後のジェダイ』のときのようなアリ・アレクサXT、アリ・アレクサ65といったデジタル・カメラが使われていないのだ。

 そのためフィルム・グレインにたいへん味わいがあり、それもサーガの歴史を感じさせる要因になっているのかもしれない。人肌も柔らかさと暖かみを保持している。

 正月休みに、初詣を兼ねてツインレーザーのIMAX、ドルビーシネマの3Dに出かけてみよう。もう41年が経ったのか。まあ、悪くない人生だったかな。

『スター・ウォーズ』人生を熱い想いと共に追体験させる、ひとつの節目。
しかし、『スター・ウォーズ』の世界はまだまだ終わらない……酒井俊之

 『〜フォースの覚醒』ではそう悪くはない出足にエールを送り、『〜最後のジェダイ』で完膚なきまでに裏切られ、もう『〜スカイウォーカーの夜明け』なんぞは消化試合のつもりでいたのだ。ところがどうしてどうしてこれ率直な感想としてJ.J.エイブラムス監督に労いの言葉を思わずかけたくなる力作に仕上がっていたと思う。

画像: 酒井さんは池袋のグランドシネマサンシャインIMAXシアターで『〜スカイウォーカーの夜明け』を体験したとのこと。こちらでも限定ポスターがプレゼントされていた。座席は「j-27」

酒井さんは池袋のグランドシネマサンシャインIMAXシアターで『〜スカイウォーカーの夜明け』を体験したとのこと。こちらでも限定ポスターがプレゼントされていた。座席は「j-27」

 これでもかと伝家の宝刀を抜きまくり、力技と反則技の乱れ撃ちなのは否めないものの、よくぞここまで新シリーズのイメージを挽回しながら9つの物語を締めくくった。まぁかなり強引にまとめよったわい、というのが正直なところだが憎めない感じだ。

 もっとも、最大の功労者はスコアを担当したジョン・ウィリアムズだったかもしれない。思い出のページをめくるようにこの四十数年間に及ぶ『スター・ウォーズ』人生を熱い想いと共に追体験させてくれた。ありがとう。

 さて、これにて一巻の終わり。しかし次の“新たなる希望”も既に芽生え始めている。ジョン・ファヴロー率いる『マンダロリアン』チームだ。彼らがこれからどんな世界を見せてくれるのかと思うと胸が躍る。『スター・ウォーズ』は終わらない。

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

画像: 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は今すぐ体験すべき! 41年来のSWファンふたりの、ファーストインプレッションを公開

●公開:12月20日(金)全国ロードショー●配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
●作品概要:数々の金字塔を打ちたて、エンターテイメント史において伝説と呼べる唯一の映画「スター・ウォーズ」。時代の寵児となったJ.J.エイブラムスが再び監督を務め、スカイウォーカー家の“家族の愛と喪失”の物語は、ついに42年に渡る歴史に幕を下ろす。祖父ダース・ベイダーの遺志を受け継ぎ、銀河の圧倒的支配者となったカイロ・レン。伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの想いを引き継ぎ、わずかな同志たちと立ち上がるレイ。スカイウォーカー家を中心とした壮大な<サーガ>の結末は、“光と闇”のフォースをめぐる最終決戦に託された――。
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