キヤノンが、人工蛍石結晶を採用したカメラ用交換レンズ「FL-F300mm F5.6」を世界で初めて一般消費者向けに発売したのは1969年のこと。今年で発売50周年を迎える。今では人工蛍石は、カメラ用交換レンズのみならず、放送用レンズや天体望遠鏡レンズなど、幅広い光学製品で活用されるほどに成長している。
では、人工蛍石結晶とはどんなものなのか。
蛍石とは、高温で熱したときに蛍のように美しく発光することから名付けられた、フッ化カルシウム(CaF2)の結晶を指す。蛍石を光学ガラスと組み合わせることで、色収差の補正を理想に近い形で行えるようになることは古くから知られていたが、天然に産出される結晶体は小さく、写真用レンズとしての実用は不可能とされてきた。
キヤノンは、通常の光学ガラスでは得られなかった鮮やかで繊細な描写を実現するために蛍石の有効性に着目、1966年8月から「キヤノンF計画」を始動し、高性能レンズの研究開発に取り組んできたそうだ。
「蛍石そのものを自らの手で作りだし、高性能レンズを開発する」という思いの下で研究を続け、1969年5月に遂にキヤノン初となる人工蛍石を採用したカメラ用交換レンズ「FL-F300mm F5.6」の発売に成功した。以降現在に至るまで、人工蛍石はキヤノンの高性能レンズを設計するひとつの手段として使われており、蛍石レンズを採用したEFレンズは、これまでに28機種を発売、現在も11機種が生産されているそうだ(2019年11月7日時点)。
今回はキヤノンのご厚意で、貴重な人工蛍石結晶の八面体ブロックを、StereoSound ONLINE読者4名にプレゼントしていただいた。写真をご覧いただければおわかりと思うが、2cm角ほどの美しい結晶で、カメラ好きなら自分の部屋に飾って眺めているだけでも楽しくなるはず。
この人工蛍石結晶が欲しい方は、以下の要領でStereoSound ONLINE編集部まで申し込んでいただきたい。
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