8Kの新しい方向性が「ドラマ」だ。これまで「8Kは花鳥風月を高精細に描くためのもの」といわれてきた。ノンフィクションには高精細映像は合うが、果たして、フィクションにはどうか?
見えすぎるのはどうか。ドラマに応用したらどうなのか。
そのトライが8KドラマのNHK『浮世の画家』。戦前との社会の激変に戸惑う老画家を渡辺謙が演じた、カズオ・イシグロ原作作品は、NHKにとっては「8Kはドラマに合うか」を試すひじょうに重要な実験だった。
![画像: NHKシアターでの紹介スライド](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2019/11/16/ca7eaf63b2c0f79de30e0c838d519df725a9d025.jpg)
NHKシアターでの紹介スライド
私は試写にて、しっとりした質感が高精細に、そしてハイコントラストに描かれたと、見た。監督の渡辺一貴氏(NHKエンタープライズ・番組開発エグゼクティブ プロデューサー)は、こう言った。
![画像1: 【麻倉怜士のMIPCOM2019報告:02】MIPCOM2019で分かった8Kの最前線。8Kのドラマ進出。NHK『浮世の画家』](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2019/11/16/3f9e94f5c4113192a33b98eaa0c9fdb23d04a75c.jpg)
![画像2: 【麻倉怜士のMIPCOM2019報告:02】MIPCOM2019で分かった8Kの最前線。8Kのドラマ進出。NHK『浮世の画家』](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2019/11/16/24d4d9e0f89a88aa055a4d82a13b5744c48dc878_xlarge.jpg)
![画像: NHKの8Kドラマ『浮世の画家』。戦前との社会の激変に戸惑う老画家を渡辺謙が演じた](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2019/11/16/5f194877ab0ee615e3c9c64fc075099e644845e0.jpg)
NHKの8Kドラマ『浮世の画家』。戦前との社会の激変に戸惑う老画家を渡辺謙が演じた
「ハイビジョンでの撮影が始まった時も、鮮明に映りすぎてしまい、ドラマなんかつくれるわけはないと言われたものですが、いつの間にか普通になりました。8Kも同じだと思います。今回の経験から8Kはひじょうにドラマに向いていると確信しました。多彩な表現が可能だからです。特に感動したのが、いままでの黒は黒一色だったのに。ところが8Kの黒はその中にすこし暗い、明るいなどグラデーションがはっきり表現できるのですね。それには驚きました」
精細感と階調再現は、ドラマに8Kのメリットを与えるだろう。
![画像: 中央が監督の渡辺一貴氏](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2019/11/16/fc85396224894727887a69e5786a059d4d7267d6.jpg)
中央が監督の渡辺一貴氏
![画像: 渡辺謙さんと麻倉さん](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2019/11/16/f3de7a5d916991adb5cca65687c5c0508fc9f1e1.jpg)
渡辺謙さんと麻倉さん