本日からスタートした「CEATEC2019」。ここでは、StereoSound ONLINE編集部が気になったアイテムを紹介する。まずはSoC(System-on-Chip)の設計・開発・販売を手がけるソシオネクストのブースから。
ソシオネクストの製品は業務用のため、一般ユーザーが手にすることはほとんどない。しかしStereoSound ONLINE読者諸氏が愛用しているテレビやレコーダー、ワイヤレス機器などに同社のSoCが搭載されていることが実は多いのだ。
そんな同社ブースでは、8K/60pのリアルタイム伝送のデモが行なわれている。ソシオネクストの本社がある新横浜で撮影した8K/60p映像を、同社製8Kストリーミングエンコーダー「e8」でHEVCエンコードし(ビットレートは80Mbps)、それをフレッツなどの一般回線で伝送、幕張メッセに置かれた8Kメディアプレーヤー「s8」でデコードして再生するというものだ。表示画面には時間を表示したスマホも映っているが、それを見てもタイムラグがないことがきちんと確認できていた。
またs80を使えばクラウド上にアップしたHEVCデータの再生も可能で、そちらもひじょうにスムーズな再生が実現できている。同社の説明員によるとHDR信号(PQ、HLGのどちらも)も問題なく再生できるとのことで、クラウドサーバーを使った8Kストリーミングも実現できるレベルにあるようだ。
その奥には、弊社独自の音響ソフトウェア「ForteArt」を実装したLSIも展示されている。これはBluetooth受信用LSIで、受け取った音声信号をデコードした後、スピーカーに最適なイコライジングを加えてアナログ信号(D/A変換機能も内蔵)で出力するものという。
イコライジングの特徴としては、100Hz以下の低域を補足し、同時に倍音成分も付加してくれる。つまりForteArtの処理を加えることで小型スピーカーでもワイドレンジな再生が期待できるわけだ。各スピーカーに応じた調整ができるようパラメーターも公開されている模様だ。
ブースでは小型のバースピーカーやヘッドホンでその効果が確認できるようになっている(会場内はBluetoothが使えないので有線接続)。その違いは明瞭で、一度ForteArtを入れた音を聴くと、オフでは物足りなくなってしまうのは間違いない。この差は会場でぜひ確認していただきたい。
その他にも、IoT向けHDMI開発キット「cecTalker」も展示されている。こちらはHDMI入力4系統と出力1系統を備えた基板で、これを搭載することでHDMI対応機器が簡単に作れることになる(HDMIの認証はソシオネクストが取っているので必要ない)。
さらにHDMI CECの基本機能(電源オン/オフや再生など)も使えるので、ソニーのセンシングプロセッサー搭載基板の「SPRESENSE」を組み合わせることで、音声認識システム(操作はCECで行なう)も作れるそうだ。これらの基板はネットで購入できるそうなので、自作派ファンには気になる存在になるかもしれない。