シャープから、テレビにつないで楽しむAQUOSサウンドパートナーの新製品「AN-SX7」が発表された。市場想定価格3万円前後で、3月16日の発売予定だ。
同社では、AQUOSサウンドパートナー「AN-SS1」を昨年11月に発売し、好評を博した。実際、他社からも同様の製品は多く発売されており、ウェアラブルネックスピーカーの国内市場は2017年度から2018年度で前年比7倍、10万台市場に成長する見込みだという。
そこでシャープはこの分野を強化すべく、新製品の導入を決めたわけだ。既発売のAN-SS1の購入者アンケートによると、ユーザーの約7割が男性で、年齢も40〜50代が7割弱に及んだそうだ。さらに「耳をふさがずに音楽/音声を聴くことができる」「軽量でつけ心地がいい」といった点が評価されている一方で、「音質向上/大音量化」を望む声も出てきたという。
それを受けシャープでは、女性/若年層へのアピールと、高音質/大音量化という2点について取り組みを始めた。ネックスピーカーの使われ方としては「没入派」と「ながら派」のふたつを想定しており、今回のAN-SX7は没入派に向けて高音質/大音量化を実現した製品となっている。
製品仕様としては、Bluetooth対応ワイヤレススピーカーで、付属のBluetooth送信機をテレビにつないでいい音で楽しんでもらおうというものだ(アナログまたは光デジタルの2ch信号に対応)。Bluetoothのコーデックとして、音声遅延の少ないaptX LL(Low Latency)にも対応している。
音質面でのポイントは、重低音と振動による臨場感を再現する、独自のスピーカーシステム「ACOUSTICS VIBRATION SYSTEM」を開発・搭載したことだろう。
ドライバーとしては、32mmサイズのアルミ・コーン型ユニットを本体の先端にL/R各1基搭載している。ここからの背圧が後ろ側に設けられた蛇腹構造の振動ユニットを駆動することで、人が感じる振動を作り出す仕組という。その際特に自然な振動を感じられる60Hz近辺が最大となるように設計されているそうだ。
エンクロージャーとしてはバスレフ型で、振動ユニット部を貫通する形で内蔵されたバスレフダクトが低音を増強、重低音の再現を可能にしている。
この構造は2013年頃から社内の小集団活動として開発がスタートし、6年間の試作検証を経て製品化されている。その際には、バスレフ型からパッシブラジエーター型、骨伝導、蛇腹振動+バスレフ、無線化といった過程を経てきたそうだ。
なおAN-SX7では、視聴する作品に合わせて3種類のサウンドモードが準備されている。ドラマやバラエティなどをそのまま再生する「標準」、映画やゲームなど重低音、迫力重視で再生する「ダイナミック」、ニュースやナレーション用の「ボイス」で、一時停止ボタンとボリュウム(マイナス)ボタンの長押しで切り替えを行なう。
会場で音を聴かせてもらったが、ダイナミックモードでも低音の強調感やだぶつき感はなく、スピード感のある銃撃戦を楽しむことができた。またBS 8Kの大相撲中継(22.2ch放送をテレビ側で2chダウンミックスした音を再生)では、力士のぶつかり合いの音がリアル。さらに観客の声援も距離感を持って再現されるなど、テレビ内蔵とはひと味違うサウンドが楽しめた。
Bluetoothについては、同梱のAN-SX7用Bluetooth送信機との組み合わせを想定しており、AN-SS1の送信機との組み合わせではペアリングできない模様だ。AN-SX7であれば一台の送信機で2台までペアリング可能で、家族2名で一緒に楽しむこともできる。ただしその場合のコーデックは自動的にaptX LLからaptxに切り替わる仕組という。
また今回、ながら派に向けた提案として、AN-SS1のカラーバリエーションを追加している。女性や若者に好まれる色展開としてローズゴールドとミントグリーンの2色が加わるそうだ。製品のスペックは現行モデルと同じで、市場想定価格も1.4万円前後と変更はない。こちらは4月20日の発売予定だ。
「AN-SX7」の主なスペック
●使用ユニット:32mmアルミ・コーン型+振動ドライバー(ACOUSTICS VIBRATION SYSTEM)
●Bluetoothコーデック:SBC、AAC、aptX、aptX LL
●接続端子(送信機):マイクロUSB、光デジタル、アナログ音声入力(3.5mm)
●連続再生時間:約13時間30分(充電時間約5時間)
●寸法/質量:W227×H46×D181mm/約280g(本体)、W60×H22×D60mm/約40g(送信機)