音が明瞭に前へ飛び出す
まさにJBLと思わせるサウンド

1970年代、JBLは「L100 Century(センチュリー)」というミドルサイズ・ブックシェルフスピーカーを世界中でヒットさせた。スタジオモニターとして高いクォリティを持つJBLのスピーカーが、ウォールナット仕上げの美しいエンクロージャーと立体的なキュービックデザインのフロントグリルを装着した美しいデザインをまとい、コンシュマーユーザーに支持されたことがヒットの理由だ。当時の日本はモニタースピーカーの4311が流行していた頃だが、L100センチュリーの独特の佇まいが強く印象に残っているファンもいまだ多いと聞く。

 そんなL100センチュリーのデザイン意図を復刻させつつ、最新技術を投入したのが、今回紹介する「L100 Classic(クラシック)」である。この素晴らしい企画が立ち上がったのは、2016年末に70周年記念モデルとして市場投入された4312SEの成功がきっかけだそうだ。

 L100センチュリーと同じく3ウェイ・ブックシェルフ型スピーカー構成の本機。開発にあたったのは、現JBL社のエース的存在のエンジニア、クリス・ヘイゲン氏で、L100センチュリーが当時のJBL社ラインナップで最小サイズのスタジオモニター4310をベースとして開発されたように、「L100クラシック」は4312SEを技術的なベースとしている。ただし、4310~4312シリーズの正統な系譜を継承していたL100センチュリーとは異なり、「L100クラシック」はより自由度の高い設計としているのが特徴だ。

 まさにL100センチュリーが現代に蘇ったような美しさと、本格的なスピーカー然とした雰囲気が同居する、迫力のあるデザインの本機。しかし、エンクロージャーサイズはオリジナルより一回り以上大きい。それにより、K2 S5800や4428、4429に採用された1200FE系ユニットをベースにしたJW300PW8ウーファーの搭載が可能になった。これは、最新の音響解析ソフトなどを駆使して各部を最適化し、歪みの低減や振幅特性を改善した新型ユニットだ。ミッドレンジには4312E/SEに用いられてきた13センチユニットを搭載。そしてトゥイーターには、80年代以降のJBLの銘機に数多く採用され音の要となってきた、チタンダイアフラムの25mmドーム型トゥイーターを搭載する。これは、L100センチュリーの音質的な特徴、明るい高域と弾力感のある低域を受け継ぐ構成といえよう。
 

強力な低域再生能力は、映像作品とも好相性だ

  まずは高音質レーベル2xHDからリリースされているコールマン・ホーキンス『ラバー・マン』のハイレゾファイルを聴いた。ひとつひとつの音が明瞭に前へと飛び出してきて、これぞJBLと言いたくなるようなグルーヴ感溢れるサウンドだ。チタン振動板の採用によってサックスやシンバルは明るく色艶がよく、本機の音質的なキャラクターを際立たせている。さらにバスドラムの圧倒的な重量感と迫力は、30cmウーファーと開口部の大きなバスレフダクトを採用した効果であろう。マスターテープからDSD11.2MHzでトランスファーされた音源の魅力を存分に堪能できる。

 続いてノラ・ジョーンズのライヴBD『ライヴ・アット・ロニー・スコッツ』を再生したところ、艶やかなノラのヴォーカルと、リアルで重量感のあるベースの表現が秀逸。雰囲気のある小規模ライヴハウスで撮影された映像と「L100クラシック」が持つダイナミクスのよい音が相まって、すばらしい音楽体験をもたらしてくれた。ライヴ映像と本スピーカーの相性は抜群によく、強力な低域再生能力はシアター用途としてもかなり使えそうだ。

 また、製品にはスチール製オリジナルスタンドが用意されており、スクリーン下部に置いた際にもやや上に向けて仰角をつけて設置できるのもポイントだろう。  スタジオクォリティを持つミドルサイズ・ブックシェルフというコンセプトを継承しつつ、さらに現代的な再生能力を身にまとったスピーカーで贅沢な時間を過ごさせてもらった。

画像1: 強力な低域再生能力は、映像作品とも好相性だ

SPEAKER SYSTEM JBL L100 Classic
¥456,000(ペア)+税
●型式:3ウェイ3スピーカー・バスレフ型 ●使用ユニット:25mmドーム型トゥイーター、125mmコーン型ミッドレンジ、300mmコーン型ウーファー ●クロスオーバー周波数:450Hz、3.5kHz ●出力音圧レベル:90dB/2.83V/m ●インピーダンス:4Ω ●再生周波数帯域:40Hz〜40kHz ●寸法/質量:W390×H637×D372mm/26.7kg(スタンド含まず) ●備考:写真の専用スタンドL100 STAND(¥58,000・ペア+税)は別売。グリルカバーは写真のダークブルーのほか、ブラック、オレンジより選択が可能
●問合せ先:ハーマンインターナショナル(株) ☎0570(550)465

ユニット配置は右/左スピーカーで同じで、対称配置にはなっていない。JBL史上最強を謳う1200FE系ユニットをベースに設計されたウーファーは、ダンピング材のアクアプラスを塗布したピュアパルプ振動板を採用している。中高域のレベルコントローラーは環境に応じて使いこなしたい

画像2: 強力な低域再生能力は、映像作品とも好相性だ

写真ではわかりにくいが、耐候性を高めたアドレックスフォーム(Quadrex Foam)を使ったグリルカバーは、上からブラック、オレンジ、ダークブルーの3色を用意する

画像3: 強力な低域再生能力は、映像作品とも好相性だ

L100 Classic専用にデザインされたスチール製の専用スタンドL100 STAND(¥58,000・ペア+税)。各ユニットの指向性軸がリスニングポイントで最適化されるように、スタンドにはやや上に向けて仰角がつけられている

関連リンク

http://jbl.harman-japan.co.jp/product.php?id=l100classic

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