ソニーでは、11月2日(金)〜4日(日)の3日間に渡り、遊び心あふれる仕掛けで同社の最新テクノロジーや研究開発段階のプロジェクトを体験できる「WOW Studio」を開催している。
これは同社が「#SCRAMBLE × Sony」として10月中旬から渋谷駅周辺で展開している取り組みの一環となる。なお#SCRAMBLEとは一般社団法人 渋谷未来デザインと一般社団法人 渋谷区観光協会が立ち上げたSCRAMBLE(スクランブル)実行委員会が主導する産官連携のプロジェクトで、ソニーはここに初の企業パートナーとして参画しているそうだ。
本日開催された説明会では、ソニー株式会社 ブランド戦略部 統括部長の森繁樹氏が登壇し、プロジェクトのきっかけや狙いについて紹介すると共に、各種展示等で協力しているアーティストとのトークセッションが行なわれた。
森氏は、ソニーはテクノロジーカンパニーであると共にエンタテインメントカンパニーであり、テクノロジーを軸にして様々な文化やアートを生み出すお手伝いをしていきたいと語っていた。今回のWOW Studioが、新しい表現方法のきっかけになるといいと考えているようだ。
またゲストとして登場した長谷部健渋谷区長も、渋谷という街は1970年代から様々な文化を発信してきましたが、それはファッションなどの限られた分野でした。これからはテクノロジーを取り込んで、渋谷らしさを残しつつ、もっと広がっていかなくてはなりません、と話していた。
そのWOW Studioは渋谷の宮益坂交差点近く、渋谷キャスト・スペース・ガーデンと神南一丁目交差点側の渋谷モディ1Fで開催中だ。以下で。その主な展示内容を紹介するので、興味のある方は今週末に足を運んでみてはいかがだろう。
「未来のストリートアート Doodle Pen」
Doodle Pen(ドゥードゥルペン)は、未来のデジタルペンという提案だ。これは、専用のペンを使って壁やテーブルなどどこにでも絵を描くことができ、さらに着色も可能。
その仕組は、毎秒1000フレームのセンシング機能を備えたソニーの高速ビジョンセンサーIMX382を天井に設置し、ペン先の動きをリアルタイムにトラッキングしてその軌跡を絵として表示する。描画は短焦点プロジェクターによるプロジェクションマッピングで行なっているので、後から消したり、入れ替えたりも簡単にできる。これなら街が汚れることもないわけだ。
会場でデモを担当したグラフィティアーティストのNumber-D氏によると、専用ペンの動きと表示される画像にタイムラグもなく、普通に絵を描いている感覚と同じだったという。この点はまさにセンサーの性能の高さ故だろう。
「迷子のおばけたち–Sound AR with Xperia Ear Duo-」
こちらでは、耳をふさがずに周囲の音とイヤホンの音をブレンドした新しいリスニング体験が楽しめる。ハロウィンで迷子になったおばけの子供を探すというテーマで、会場内に仕掛けられたイベントをクリアーしていくものだ。
センサー内蔵Bluetoothイヤホン「Xperia Ear Duo(XEA20)」とXpriaスマホを装着し、イヤホンからの指示に従いながら迷子のおばけを探していく。途中のイベントゾーンには池のペイントがあったり、魔法の林檎の木のディスプレイが準備されている。
ここで池の中に飛び込むとイヤホンからは水音が聞こえ、林檎の木の下でジャンプすると木が揺れる音がするといった具合に、装着者の動きをXEA20のセンサーが検出してきちんとフィードバックしてくれる。動きと音にも大きなズレはなく、センサーの優秀さが確認できた。
「未来のゲームセンター A(i)R Hockey」
Doodle Pentと同じく、高速ビジョンセンサーIMX382を使った応用例のひとつ。
円形のエアーホッケー台の中央・天井面に下向きにセンサーが取り付けられており、盤上にあるパック(エアホッケーの駒)とマレット(パックを打ち返すツール)の動きを検出することでバーチャルなゲームを楽しめる。
実際には本物のパックもひとつ使っており、この動きを検出しながら、バーチャルのパックを作り出してプロジェクションマッピングで合成している。同時に盤上には様々な光の演出効果も加えられるので、観ていてとても楽しいゲームになっている。
「未来のカフェ Interactive Character Café」
カフェで料理が出された時に、お皿の周りやテーブルでキャラクターが踊ったりしたら面白いのでは。そんな発想を実現したのが「インタラクティブ・キャラクター・カフェ」だ。
テーブルの上にセンサー内蔵小型プロジェクターが取り付けられており、その下に料理を置くと、メニューの種類を自動判別して、それに合わせたアニメーションを投影する仕組み。
今回はLINEクリエイターズスタンプの人気キャラクター「うさまる」をモチーフにしており、料理に添えられたうさまるの絵によって種類を判別しているようだ。またテーブルの上で手を動かすとうさまるが登場して、料理の待ち時間も飽きさせないといった気配りもなされていた。
「Co-creation Performance Stage」
会場入り口には、映像や音、光などを組み合わせることで様々な表現ができる体感型ステージ「Interactive Cube」(インタラクティブキューブ)が設置されている。
これはステージ奥に反射型スクリーン、その2mほど手前に透明スクリーンが取り付けられており、その間にDJブースが置かれている。さらにDJブースに向けて複数のセンサーが取り付けられている(センサーの数は目的によって変化する)。
実際のイベントでは、センサーがDJやパフォーマーの動きを検知して、それに応じてあらかじめ準備されたビジュアルを選んで、プロジェクターで上映する。しかも奥側と手前のふたつのスクリーンで異なる映像を写すので、客席側からはミックスされた映像の間にDJが入っているという不思議な見え方になるという。
10月末に渋谷のハチ公前にInteractive Cubeを設置してDJイベントを行ったそうだが、その際は透明スクリーンに歌詞を映し出すなどの新しい試みをしており、観客にも好評だったそうだ。