オールアナログプロセスにて独自カッティング

 ザ・ピーナッツの初期音源の中から音質的に優れた曲を集めたLP『THE PEANUTS The First Decade 1959~1967 』が弊社アナログレコードコレクションの一枚として発売され、好評を博している。ザ・ピーナッツは1959年のデビュー以来、双子ならではの天性の息の合ったハーモニーにより邦楽シーンを牽引する存在だった。当時の邦楽は洋楽を日本語でカヴァーする時代を経て、コーラスを多用した流行歌が一世を風靡。ザ・ピーナッツの初期の代表曲の大半は作曲家・宮川泰が編曲を施し、瞬く間にお茶の間に浸透していった。ジャズ・バンドやビッグバンドによる演奏は躍動感に溢れ、繰り返し聞く度に新たな発見がある。

画像: www.stereosound-store.jp
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『THE PEANUTS The First Decade 1959~1967 』
¥8,640(税込)
型番:SSAR-027

 今回のLP制作に際して、制作スタッフはキングレコードが半世紀に渡り保管してきたオリジナルマスターテープを筆頭に、1970年代に編集盤用にまとめられたプリントマスターまで試聴し、音質的に優れたマスターテープを取捨選択。そして、選りすぐりの12曲をLP盤として制作するため、キングレコード協力の下、STUDIO Dede/Dede AIRにてラッカー盤を制作した。マスタリング・スタジオのDede AIRには米国スカーリー製カッティングマシーンが導入され、30代前半の松下真也エンジニアがラッカー盤を起こした。

 今回公開するPVにもある通り、STUDIO Dede/DedeAIRはヴィンテージ機材が充実したスタジオとして知られ、他のスタジオとは一線を画している。キングレコードの菊田俊雄エンジニアが、当時最先端だったアンペック製テープレコーダーを駆使し録音されたザ・ピーナッツの音楽がこれほど躍動感に溢れる音で楽しめるアナログLPは他にないだろう。

 STUDIO Dede/Dede AIRの代表を務める吉川昭仁エンジニアの音楽とレコーディング機器に対する造詣の深さが、このアナログ盤には見事に反映されている。

画像: THE PEANUTS The First Decade 1959~1967 youtu.be

THE PEANUTS The First Decade 1959~1967

youtu.be

『THE PEANUTS The First Decade 1959~1967 』収録曲と主な聞きどころ

[SIDE A]
1. 可愛い花 MONO
スタジオ収録ならではの静寂感の中、ザ・ピーナッツの2人がていねいに歌い上げる様子が克明に伝わってくる。安藤八郎の奏でるビブラフォンと松本英彦によるテナーサックスの響きも残響感たっぷり。2分過ぎからのサビ・パートで響いてくるテナーサックスの音色がひときわ美しい。

2. 情熱の花 MONO
バッキングに男性コーラス・グループがプラスされ華やかさが生まれている。パーカッション類が駆使されたラテンのリズムが曲を牽引し、ザ・ピーナッツの歌は躍動感に富む。モノーラル・カートリッジで再生すると、奥行き方向に楽器が並ぶ。

3. 白鳥の恋
文京公会堂で収録されたこの曲は、東京キューバン・ボーイズの演奏によるマンボのリズムに支えられている。2人の声にはエコーが多用され、左右チャンネルが効果的に活かされている。とりわけ要所に施されたフルートの音色や1分30秒過ぎから聞こえてくるサックスの音色はこのLPでないと味わえない。

4. ふりむかないで
イイノホールで収録されたこの曲は、前曲とは音場が明らかに異なる。2人のヴォーカルが左右・中央と目まぐるしく定位が変わり、遊び心たっぷり。バッキングの音数もきわめて多く、男性コーラスまで加わるなど派手な演出がうかがえる。2人の声にかけられたエコーの響きも当時としては斬新そのもの。

5. ローマの恋
宮川泰アンサンブルによる情感に溢れた演奏が印象的で、2人の歌声もオトナっぽい魅力で聞き手に迫ってくる。2台のピアノは左右チャンネルにきっぱりと振り分けられ、曲を牽引。2人の声の持ち味がそれぞれの役割を担っているのが鮮明に享受できる。

6. 恋のバカンス
2人の声を左右チャンネルにくっきりと振り分け、中央にバッキング、メイン・ヴォーカルに寄り添うように男声コーラスが施される。1分25秒前後からの間奏は、レベルこそ控え目ながらドラムやホーン・セクションの音色が生々しく伝わってくる。

[SIDE B]
1. ジェルソミナ
レオン・サンフォニエットによるバッキングが何より生々しく聞こえてくる。とりわけ冒頭のパーカッションとストリングスは白眉という他ない。ヴォーカールは左右チャンネルを効果的に活かしながら、聞き手に迫ってくる。音響的にここまで生々しいザ・ピーナッツの曲は、珍しい。

2. 悲しき雨音
カスケーズのカヴァー曲として広く知られるメロディが、ここではレオン・オールスターズの演奏により伸びやかな音で披露される。抑制の効いた2人の声が左右チャンネルに振り分けられ、流麗なストリングスの響きと溶け合う。

3. ウナ・セラ・ディ東京
ミルバのヒットを受け再ブレイクした曲。レオン・サンフォニエットによるバッキングは優雅かつ可憐な雰囲気を湛え、オトナっぽい歌声に終始寄り添う。厚生年金会館で収録されたこの曲は、録音陣のノウハウも確立されたのか隙のない音創りがたっぷりと堪能できる。

4. ローマの雨
ホーンセクションの響きとギターのリフが曲を牽引する。2人の声に施されたエコーは比較的控え目ながら、声自体の音圧はかなり高めにミキシングされている。この曲は後年、再録されたヴァージョンも存在するが、ここでは間奏部にハミングのあるオリジナル版を収めている。

5. 銀色の道
当初はギターを中心とする演奏が曲を牽引するが、徐々に音数が増えていくのが印象的だ。2人の歌声のトーンは終始変わらず、クールが雰囲気が貫かれている。終盤に登場するダイナミックなバンド・サウンドも聞きどころ。スタジオ収録曲だけに音の細部がひときわ透き通って聞こえる。

6. 恋のフーガ
レオン・サンフォニエットによる躍動感に溢れる演奏に惹き込まれる。2人の歌い手としての力量が存分に発揮された曲で、とりわけ輪唱パートは何度聞いても飽きることがない。イイノホールで収録されているため、先のスタジオ収録曲とは音の広がりが異なって聞こえる。

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