エプソンが、業務用レーザー光源プロジェクター、2シリーズ7機種を発表した。いずれもレーザー光源を搭載した業務用モデルで、高い光出力性能を活かして、デジタルサイネージやホール用途などシステムユース向けのモデルとなる。
最上位機は、同社として初めてネイティブ4Kパネルを搭載した「EB-L12000Q」(2019年1月発売、予価850万円、レンズ別売・税別)。パネルサイズは1.0インチで、3LCD方式としても初めてのネイティブ4Kパネルの搭載モデルとなる。光源はブルーレーザーで、光出力は12,000ルーメンと強力。高解像度と強力な光出力を用いて、デジタルサイネージやパブリックビューイングなどの用途を主に狙うモデルだ。レンズは既存のL1700シリーズと共通で、入力端子はスロット方式で今後の規格変化にも柔軟に対応できるとする。
また、筐体サイズは、12,000ルーメン(あるいは後述する兄弟モデルのWUXGA[水平1,920×垂直1,200画素]パネル搭載の20,000ルーメン仕様モデル)の光出力から考えると、小型サイズに仕上げつつ、業務用として重要な信頼性などを重視した設計となっている。
パネルサイズが1.0インチと大型で、筐体サイズや価格などを考えると、このパネルを使った家庭用モデルへの展開は難しいと考えられるが、いずれにしてもプロジェクターの巨人、エプソンがネイティブ4Kパネルを搭載した初めてのモデルを登場させた意味は大きい。レーザー+ネイティブ4Kパネル搭載の、家庭用モデルがエプソンから登場する日を心より待ちたい。
なお、シリーズとしてほぼ同じ筐体/機構を備えたWUXGA(水平1,920×垂直1,200画素)パネル搭載の高光出力モデル「EB-L20000U」を本年12月に発売する。こちらは、なんと20,000ルーメンというハイパワーを実現している。予価は1,000万円(レンズ別売・税別)。
その他、発表された「L600」シリーズは、レーザー光源を搭載したWUXGAパネル搭載モデル。光出力別に、6,000ルーメンの「EB-L610U」「EB-L615U」「EB-L610W」、5,000ルーメンの「EB-L510U」、4,500ルーメンの「EB-L400U」の5モデルとなる。
【2018年8月発売】
EB-L610U(ホワイト):オープンプライス(参考税別価格¥898,000)
EB-L615U(ブラック):オープンプライス(参考税別価格¥898,000)
EB-L610W:オープンプライス(参考税別価格¥498,000)
EB-L510U:オープンプライス(参考税別価格¥608,000)
EB-L400U:オープンプライス(参考税別価格¥528,000)
【2018年12月発売】
EB-L20000U:オープンプライス(予価1000万円+レンズ別売)
【2019年1月発売】
EB-L12000Q:オープンプライス(予価850万円+レンズ別売)
潮晴男氏による速攻レビュー
36%という驚異の世界市場占有率(※)を誇るエプソンから、ついにレーザー光源を使ったリアル4Kパネル搭載プロジェクターが登場する。エプソンは業務用機のEB-L12000Qを国内でも展開すると6月12日に発表した。当日はこのモデルのほかに、WUXGA(1,920×1,200画素)仕様のEB-L20000U、同じくWUXGA仕様のEB-L610Uなど6モデルのレーザー光源プロジェクターが公開された。※編註:500ルーメン以上のプロジェクターの世界販売台数の2017年のシェア
ここではStereo Sound ONLINEやHiViの読者がもっとも気になるであろうリアル4KプロジェクターのEB-L12000Qについて紹介したい。このモデルは1インチの透過型LCDパネルを3枚採用し、これをレーザー光源と組み合わせている。
パネルや蛍光体に無機材料を採り入れて耐光特性を高めているほか、3重の防塵構造を持つ光学エンジンにより万全の信頼性で臨む。また独自の液冷システムを用いてこのレベルの光出力を備える業務用機の中ではコンパクトにまとめ上げられていることも特徴だ。
外観のわりに軽量化が計られているが、強靭なフレームにより防振に努めて大画面再生時の微小な筐体の揺れに起因する画質劣化が起こらないよう配慮されている。業務用機なので電源は200V仕様だが、運転騒音は低く、単焦点レンズも用意されているので設置に関する融通性にも優れている。
発表会当日の視聴環境は全暗ではなく、およそ100ルクス程度の照明下だったが、150インチのホワイトマット系スクリーンに映し出された映像はクリーンで先鋭感に優れ、快活で躍動感にあふれていた。とりわけ白の純度が高くハイライト側の伸びやかさを感じさせる点に新味を感じさせる。
業務用機としてはコンパクトだが、このサイズのままではさすがにホームシアターへの転用には相応の覚悟が必要になる。しかしながらここまでの基盤ができているなら、AVファンが望むホームシアター製品の誕生までにそう時間はかからないと思う。ぜひともそうした希望をエプソンには叶えてほしいと、切に願う。(潮晴男)