軽やかできれいな音に包まれる楽しさ。密度濃く粒立ちに優れた音との一体感。いずれ劣らぬ再生の魅力が聴き取れた
──今日は改めて333OTLと330AHの聴き比べをお願いしました。出力段はいずれもサークロトロン回路採用ですが、傍熱3極管でレギュレーター管の6C33C-B、直熱3極管の300Bと出力管が異なり、出力トランスの有無というコンストラクションの大きな違いがある2モデルです。
和佐 最初に330AHで16Aホーン・システムを鳴らした音も印象的でしたから、改めて聴き比べができるのは嬉しいですね。16Aホーン・システムは16A+555の音を極力生かしながら高域と低域を補う考え方のセッティングです。GIP597Aトゥイーターは4μFオイルペーパーコンデンサーでローカットして555の高域側とオーバーラップさせ、GIP4165ウーファーには100Hz辺りから下の帯域を受け持たせています。16A+555と597Aを鳴らすアンプの変更で音は大きく変わるはずですし、4165の低音とどう繋がるかもポイントだと思います。

300B Push-Pull Monaural
ウエスギ U・BROS330AH
¥2,300,000(ペア)
※ウェスタン・エレクトリック300B仕様
●最大出力:30W●入力感度/インピーダンス:1V/80kΩ●スピーカー出力端子:4Ω、8Ω、16Ω●使用真空管:ECC83/12AX7A(GE)×1、6CG7(Electro-Harmonix)×1、ECC81/12AT7(Philips ECG)×2、300B(Western Electric)×2●寸法/重量:W364×H201×D218mm/17.5kg●備考:出力管PSVANE WE300B搭載仕様(¥1,850,000ペア)他あり●問合せ先:上杉研究所☎044(712)4632
出力管300Bを交流点火。プッシュプル構成の出力段はCSPPのサークロトロン回路・固定バイアスAB2級動作で最大出力30Wを得る。電気回路、基幹部品には、実績があり高信頼の国産メーカー品が採用される。シャーシは1.6mm厚亜鉛メッキ鋼板で構成され高剛性化を図る。
──まず330AH、そして実際に導入された333OTLの順でお聴きいただきました。
和佐 330AHを最初に使ったときも聴ける音源の幅が広がるだろうという感覚がありましたが、そのときの印象を思い出しました。必要十分なパワーがあり、これだけを聴けば、十分に素晴らしい音と思えるはずです。あらゆる音階が軽やかに滑らかに出てくる、ひじょうにきれいな音。出るべき低音もきっちりと出て、音のメリハリの点もまったく問題ないんです。ヴァイオリンやピアノのタッチは軽やかできらびやかな感じが好ましい。その中で、ベースの音が特徴的なビリー・アイリッシュの「バッド・ガイ」などは、低音感がさらに欲しくなるんですね。
──333OTLで鳴らした時の、音の変化はいかがでしたか。
和佐 333OTLを使うと、排気量や馬力の次元が少し異なるというか、音の密度の印象が変わってきます。音圧、音との一体感、ライブ的な音源であれば臨場感といった要素がいちだん上にくる気がするんですね。今のこの環境で私が求めている音は333OTLを使った方だなという気がします。
解像感や音のスピード感といった要素は、いずれ劣らぬという感覚です。高透磁率材料が磁気回路に使われた励磁型スピーカーは音離れのよさが魅力だと思っていますが、出力にゆとりのある333OTLでは、耳に届く音の圧が高まり、音のキレのよさや粒立ちがさらによく出てくるということかもしれません。OTLか出力トランス搭載か、出力管の違いか、さらにいえば回路の他の部分か、どの点が寄与するのかは分かりませんが、音は変わります。音の広がりは、いずれも見劣りしません。
密度濃く、心地いい音の圧があるのが333OTL。一方で、音に軽やかに包まれる感じでは330AHが優れていて、実は長く聴いていると330AHがいいなとなるかもしれませんよね。

6C33C-B Push-Pull OTL Monaural
ウエスギ U・BROS333OTL Limited Edition
¥2,000,000(ペア)
※Stereo sound STORE 限定頒布
●最大出力:40W●入力感度/インピーダンス:1.1V/100kΩ●スピーカー出力端子:8Ω以上●使用真空管:12AX7A(松下電器産業)×1、12AT7(Philips ECG)×1、12AU7(Siemens)×3、6C33C-B(Russia)×2●寸法/重量:W378×H207×D226mm/20kg●備考:アンプ使用時は放熱の機能を果たす真空管保護グリルの装着が必須
ウエスギ最新製品の真空管式OTLパワーアンプ。前段は12AT7と12AU7によるバランス構成の2段アンプ。並列接続した12AU7カソードフォロアーでサークロトロン回路による6C33C-B出力段を励振する。出力は40W。和佐氏はシャーシがパールホワイト塗装、トランスケースが黒のレザー調塗装で仕上げられた『管球王国』特別仕様Limited Editionを使われている。


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