画像1: BenQのカジュアルスマート4Kプロジェクターの高品位画質に注目。映画を映画らしく観たい、全ての人にお勧めできるプロジェクターだ<TK705i/TK705STi徹底研究 その5>
画像2: BenQのカジュアルスマート4Kプロジェクターの高品位画質に注目。映画を映画らしく観たい、全ての人にお勧めできるプロジェクターだ<TK705i/TK705STi徹底研究 その5>

〜前口上のかわりに〜 30年以上に渡る、ぼくのプロジェクター遍歴について、少々ご説明しよう

 ぼくのプロジェクター歴はけっこう長く、30年以上になる。1990年代初めにソニーの3管式プロジェクターを天井に吊ったのが最初で、その後、ソニー製SXRD、JVC製D-ILAとLCOSタイプの反射型液晶プロジェクターを使い継いできた。

 プロジェクターの電源を入れ、部屋を暗くし、昇降式スクリーンをスルスル下すという一連の儀式めいた作業に今なおワクワクするのを抑えられないのである。自分の部屋が映画館になるヨロコビ……。

 しかしながら、ぼくはこれまでDLPタイプのプロジェクターを購入したことがない。DMD(Digital Micromirror Device)を用いて、そのミラーを超高速で傾け、レンズに光を反射させて明るい点をつくるか、光を吸収板に逃がして暗い点をつくるか、そんな動作で映像を表示するのがDLPプロジェクターだ。最大の利点は黒がよく締まること。

 しかしながらぼくがどうしても引っかかってきたのが、家庭用1チップDLPプロジェクター特有のカラーブレイキング(色割れ)ノイズ現象だった。以前のDLPは、ランプ光源とDMDの間にR/G/B(赤・緑・青)と明るさを稼ぐためのホワイトで構成されたカラーホイールを高速回転させてフルカラーを得ていたモデルが多くあったのだが、その4色の切替え時に虹状の色割れノイズが出るのである。

 そのノイズを抑えようとしてホイールの速度を上げ過ぎると、1色あたりの表示時間が短くなるため、こんどは階調情報が減ってしまう。というわけで「1チップDLP、コントラストはいいんだけどなあ……」と思いつつ、これまでは食指が動かなかったわけだ。

TK705iとTK705STiは、色合いが豊かでハイコントラストを実現した、きわめて優れた画質が最大の特徴だ

 BenQ(ベンキュー/台湾)からTK705STi、TK705iと言うDLPプロジェクターが登場した。この2モデルの画質をじっくり精査したが、1チップ方式DLPプロジェクターの宿命と思えたカラーブレイキングノイズがビックリするほど少ない。両モデルの光源はR/G/Bの3色のLEDで(正確には明るさを稼ぐためにR/G/B+Gの4光源)、それを高速点滅させてフルカラーを得ている。そう、この2モデルには従来のランプ光源で用いられていたカラーホイールが存在しないのである。

 原理上はR/G/B点滅の切替え時に虹状のカラーブレイキングノイズが生じても仕方ないはずだが、超高速で切り替えるLEDの制御が上手いのだろう、色割れノイズが目立ちがちな字幕スーパーのオン/オフ時にもそれがほぼ認知できない。光源に3色レーザーを用いた家庭用1チップDLPプロジェクターも存在するが、カラーブレイキングノイズがそれらとほぼ同等か、それ以上に目立ちにくい印象なのである。

 また詳細は後述するが、画質がきわめて良い。驚くほど明るいわけではないが、DLPならではのハイコントラストに加えて色合いが豊か、映画を観るにふさわしい資質を持ち合わせていると言っていいだろう。

 TK705STiとTK705iの違いは、基本、光学系のみ。前者は短焦点タイプで光学ズームなし(電子ズームはあるが、解像度が落ちる)。後者は通常焦点タイプで光学ズームあり、だ。

 表示素子は0.47インチのDMDで、時分割動作によって4K解像度の表示を実現している。明るさはともに3,000ANSIルーメン。ファンノイズは24dB(エコモード時)、26dB(通常動作時)で、聴感上とても静かなプロジェクターだ。

 Google TV OSが採用されており、コレ1台でNetflixなど様々な動画配信サービスを(契約しておけば)楽しむことが可能だ。ちなみにネット動画はWi-Fi接続が前提となる。

TK705iとTK705STiの画質を100インチ相当のスクリーンでチェック

 HiVi視聴室にて両モデルの画質をチェックしてみた。スクリーンはゲイン1.25のキクチDressty 4K G2で、今回は約100インチサイズで投写してみた。両モデルともにオートフォーカスと自動台形補正機能があり、調整は超簡単ですぐに大画面映像が楽しめる。

 最初に述べておくが、TK705STiとTK705iの間に画質差はほとんどない。投写距離が短いほどありがたいという方は前者をお勧めするが、ぼくなら約2万円安く光学ズームが使えるTK705iを選ぶ。

画質チェック①『ワールドカップサッカー 日本 vsブラジル』の4K&HLG放送録画 〜100ルクスの照度環境〜

 最初に100ルクス程度の照度環境で、4K放送されたサッカー・ワールドカップの「日本vsブラジル」戦のHLG放送の録画映像を、「HLG」モードで観た(パナソニックの4KレコーダーDMR-ZR1とHDMI接続)。この照度環境でも、しっかりとしたコントラストが得られ、これなら間接照明下の夜のリビングルームで「超大画面テレビ」的な使い方が可能だろう。

 それから好印象だったのは色合いの真っ当さで、派手さを抑えて芝目やユニフォームの原色を穏やかに描くのである。調整画面でとても役に立ったのは「ガンマ」。暗・中・高の3ポイント切替えで、中間調からハイライトをもう少し明るくしたいときは「高」を選べばよいだろう。

画質チェック②『リムスキー=コルサコフ:交響組曲<シェエラザード>、ほか/クラウス・マケラ指揮コンセルトヘボウ管弦楽団』HD&SDR放送録画 〜全暗環境〜

 NHK BSでHD&SDR放送されたクラウス・マケラ指揮コンセルトヘボウ管弦楽団の同ホールでのコンサート中継を全暗環境で観てみた。画像モードは環境光などに連動する「自動シネマ」だ。とてもシックな画調でRGBレーザー採用機のような派手さはなく、落ち着いた色合いが好ましい。ぼくは「世界一音が良い」といわれるこのホールに一度出かけたことがあるが、そのときの雰囲気が生々しく甦ってきて懐かしく観た。

 SDR映像再生時の画像モードは、「自動シネマ」の他、「ブライト」「省エネ」「スポーツ」「ゲーム」がある。ホワイトバランスの調整は「カラーチューナー」内にRGB個別調整可能な『ゲイン』『バイアス』があるが、「オートシネマ」モードのデフォルト設定で、満足できる色温度とホワイトバランスが得られたので、この調整項目を触る必要性は感じなかった。画像調整項目の中で「彩度」のみ初期値の『50』から『70』に持ち上げて観た。

画質チェック③UHDブルーレイ『落下の王国』〜全暗環境〜

 次にUHDブルーレイの映画『落下の王国』の4K&HDR10映像を再生した。構想26年、13の世界遺産、CGに頼らず24ヵ国でロケーション撮影されたというこの映画は、まさに眼福と言うほかない美しいショットが満載。それを大画面スクリーンに映し出して観る楽しさといったらない。

 画像モード「HDR10」のデフォルト状態で観たが、冒頭のモノクローム映像から間然することのない見事な画質で、映像イコライジングしようという気持ちを起こさせなかった。チャプター8の、荒野を馬に乗って駆けるロングショットは惚れ惚れとさせる高画質。落ち着いた色合いでブルーや黄色のコスチュームをハッとさせる鮮烈さで描出するのである。

画質チェック④UHDブルーレイ『イエスタディ』〜全暗環境〜

 次に観たのがUHDブルーレイの映画『イエスタディ』(4K解像度+HDR10映像)。パラレルワールドのジョンと語り合う美しい海岸。このAPL(平均輝度レベル)が高い場面では肌色近辺の中間調が詰まる感じだったので、「ガンマ」をデフォルトの『中』から『高』に変更すると、階調がスムーズにつながり、しっくり楽しめるようになった。

画質チェック⑤UHDブルーレイ『マイケル/MICHAEL』(米国盤)〜全暗環境〜

 最後に観たのが米国盤UHDブルーレイの映画『マイケル/MICHAEL』(4K解像度+HDR10映像)。マイケル・ジャクソンが初めてムーンウォークを披露した「モータウン25周年コンサート」シーンを観たが、「ビリー・ジーン」を歌い踊るマイケルの美しい舞踏をハイコントラストに裏打ちされた画調で美しく描き出す。また聴衆の女性が身に着けた宝石の輝きにDLPプロジェクターならではの魅力を実感した。

視聴した主なUHDブルーレイ

落下の王国 4Kデジタルリマスター UHD+BD 2枚組
(TCエンタテインメントTCBD-1939) ¥7,040 税込

画像4: BenQのカジュアルスマート4Kプロジェクターの高品位画質に注目。映画を映画らしく観たい、全ての人にお勧めできるプロジェクターだ<TK705i/TK705STi徹底研究 その5>

UHDブルーレイ『イエスタデイ 4K Ultra HD+ブルーレイ』
(ハピネットMM GNXF-2527)¥6,589 税込

画像5: BenQのカジュアルスマート4Kプロジェクターの高品位画質に注目。映画を映画らしく観たい、全ての人にお勧めできるプロジェクターだ<TK705i/TK705STi徹底研究 その5>

海外盤UHDブルーレイ『Michael』

結論 映画を映画らしく観たい、全ての人にお勧めできるプロジェクターだ

 この画質で20万円台前半の価格か……。ぼくが使っているD-ILAプロジェクターの画質はたしかにすばらしいが、100万円をはるかに超える値段では誰彼なくお勧めするのははばかれるわけで……。20万円台前半でこの画質なら、映画を映画らしく観たいという全ての人にお勧めできる。

 ただし、一つだけ付け加えておきたい。安価なプロジェクターを買った方の多くは白壁に映像を映し出すというが、この高画質プロジェクターならばぜひ良質なスクリーンも一緒に購入してほしい。平面性のよいニュートラルな色合いを実現したスクリーンと組み合わせることで、TK705i/TK705STKiのほんとうの魅力が実感できるはず。

 それからこの両モデルにはスピーカーが取り付けられているが、これはあくまで「音が出る」というレベル。まずは良質なスピーカーをスクリーン両脇に配置して、ホームシアターならではの楽しさを満喫していただきたいと思う。

(撮影:後藤敦子)

4K DLPプロジェクター:TK705i ¥229,000 税込

●型式:1チップDLPプロジェクター
●投写デバイス:0.47インチDMD
●光源:4LED
●スクリーン上の解像度:水平3,840✕垂直2,160画素
●輝度:3,000 ANSIルーメン
●色域:98%(Rec709カバー率)
●コントラスト比:600,000:1(FOFO値)
●投写比:1.0〜1.3
●ズーム倍率:1.3倍
●レンズ仕様:F=1.8〜1.85、f=10.55〜13.68
●内蔵スピーカー:8W✕2
●接続端子:HDMI入力2系統(2.1、HDCP2.2対応、1系統はHDMI eARC対応)、USB Type A1系統、USB Type C 1系統、アナログ音声出力1系統(3.5mmステレオミニ)、12Vトリガー端子1系統
●ノイズレベル:24dB(Ecoモード)、26dB(標準モード)
●消費電力:250W(標準)、0.5W未満(スタンバイ時)、2W未満(ネットワークスタンバイ時)
●オプション:天吊金具CMP-80(¥19,800税込)あり
●内蔵OS:Google TV(Android 11)
●Bluetooth対応:5.2対応
●Wi-Fi対応:802.11a/b/g/n/ac/ax(2.4GHz/5GHz対応)
●寸法/質量:W229.2×H168.2✕D249.7mm/3.8kg
●ラインナップ:短焦点モデルTK705STi(¥249,000税込)あり

画像7: BenQのカジュアルスマート4Kプロジェクターの高品位画質に注目。映画を映画らしく観たい、全ての人にお勧めできるプロジェクターだ<TK705i/TK705STi徹底研究 その5>

レンズ向かって本体左側面に操作ボタン類が備わっている。左側は、音量増減ボタンで挟むようにズームイン/アウトキーを、右側は電源、ジョイスティックキー、戻るボタンとなる

画像8: BenQのカジュアルスマート4Kプロジェクターの高品位画質に注目。映画を映画らしく観たい、全ての人にお勧めできるプロジェクターだ<TK705i/TK705STi徹底研究 その5>

本体背面に端子類を装備。HDMI入力は2系統で、HDMI1(右側)がeARC/ARC対応で、HDMI eARC/ARC対応アンプやサウンドバーなどの外部サウンドシステムと簡単に連携可能だ

リモコンは、最下段にネット動画などのサービスへのダイレクトボタンを配置。家のマークがある、ホームボタンの下にあるのは、「画面調整」兼「自動シネマ調整」ボタン。後者は、映像モードが「自動シネマ」モード時は、環境変化、具体的には照明やプロジェクターの位置、スクリーンまでの距離、壁の色など)を基にリアルタイムで彩度、輝度、コントラスト、シャープネスなど複数のパラメーターを調整して自動的に画質調整する機能となる

画像10: BenQのカジュアルスマート4Kプロジェクターの高品位画質に注目。映画を映画らしく観たい、全ての人にお勧めできるプロジェクターだ<TK705i/TK705STi徹底研究 その5>

本文では触れられていないが、TK705iおよびTK705STiの高画質を活かすために、HiVi視聴室のリファレンスサウンドシステムと連携してみた。スピーカーはBowers & Wilkins 805D4(後方左側)、AVセンター(アンプ)はデノンのAVC-A1H(右のラックの最上段)、UHDディスク再生機はパナソニックの4KレコーダーDMR-ZR1(右のラック中段)を用いた

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