リン製品で音楽、映画を愉しまれている方たちの姿をリポートする連載の第17回は、九州の要所、福岡県福岡市にお住まいのRさんを訪ねた。リンの最高峰スピーカー360 EXAKTを核にした5.1chサラウンドシステムをリビングルームで構築しているとのこと。福岡空港に到着した取材陣は、さっそくRさんがお住まいの瀟洒なマンションを目指した。

取材・構成/本誌・辻

 Rさんがお住まいのマンションは、目の前に大きな公園があり、その奥には、脊振(せぶり)山地という山並みが広がる、非常に素晴らしい立地にある。Rさん宅を訪れた取材陣は、エントランス付近で目にした膨大な数の競技用自転車に驚くことになったが、その理由は後述することにしよう。

 ご挨拶を済ませ、さっそくリンのシステムがインストールされているリビングルームにご案内いただく。陽光が差し込む、美しいリビングルームで、住宅雑誌にも登場しそうな上質な空間といった佇まいだ。

 ダイニングとキッチンが間仕切りなく繋がったスペースの広さは、20畳強といったところか。壁掛けされたテレビの両脇に、シングルモルトと呼ばれる、光沢のブラウンカラーに仕上げられたリン360 EXAKTスピーカーが、部屋の雰囲気を壊すことなく、確かなプレゼンスを主張している。

 

わずかな進化に思えるかもしれないがアップデートで劇的に音が向上した

 Rさんの音楽の好みをうかがった。

 「ジャンルでいえばロックやJ-POPが多いでしょうか。いろいろな音楽を聴きますが、結局、中学や高校のときに聴いた音楽をいまもよく聴きます。1980〜90年代のアーティストでいえば、プリンス、クイーン、マイケル・ジャクソンあたりでしょうか。日本人だったら、尾崎豊はずっと好きです。手持ちのCDは、ほとんどをリッピングしてデラのミュージックサーバーに保存していますし、新しい楽曲は、ストリーミングサービスのQobuzで楽しんでいます。リッピングしたCDのデータ再生は、サーバー自体のクォリティが重要とのアドバイスをマックスオーディオさんからお聞きして、デラのN1に最近入れ替えたところです。ちなみにN1自体は寝室にセットしています」

 Rさんは、九州の小倉に本拠を構える老舗オーディオショップ、マックスオーディオの福岡店を長年ご利用されているという。Rさんに360 EXAKTを導入された経緯を整理すると次のようになる。KLIMAX EXAKT 350のオリジナル仕様を2009年に導入。その後、KATAYST(カタリスト)DAC仕様にアップデート、さらにORGANIK(オーガニック)DAC仕様のアップデートも行ない、その時点でスピーカーは「ほとんど完成形」だと思っていたそうだ。Rさんは語る。

「ORGANIK仕様のKLIMAX EXAKT 350にアップデートしたときに、相当いい感じになりました。ぼくが使うスピーカーという意味では、ほとんど完成形だなと思っていたんです」

 ではなぜ360 EXAKTを導入されたのであろうか。360 EXAKTは、KLIMAX EXAKT 350の後継機として2023年に登場したスピーカーで、翌2024年にマックスオーディオ福岡店で試聴会があり、そこでRさんは360 EXAKTにはじめて出逢ったのだという。

「リンの最新、最高のスピーカー360 EXAKTをお聞きになりませんか、というお誘いを受けましたが、当時使っていたORGANIK仕様のKLIMAX EXAKT 350が相当良くて、実はそのままで十分、別に不満もない、という心持ちだったんです。実際に360 EXAKTの音を聴くと、KLIMAX EXAKT 350とは、少し違っている程度で、まるで違うとは正直思いませんでした。でも、じっくり聴いていくと、その少しの違いが、結局、音楽再生での劇的な差となるようにも感じました。KLIMAX 350でも、オリジナル仕様からKATAYLST仕様へ、さらにORGANIK仕様にアップデートし続けていましたが、それぞれの仕様での音の違いはわずかなように思えても、実際に更新する度に、劇的に音が変わるんです。ぼくの感覚ではKLIMAX 350のORGANIK仕様は完成形だと考えていたのですが、でも、その先に360 EXAKTがあった、ということなのかも。ポルシェを評して『最新のポルシェこそ、最良のポルシェ』などと言われることがありますが、それと同じように『最新のリンこそ、最良のリン』なのかもしれませんね。

 試聴会のあと、マックスオーディオさんにお願いして、この部屋に360 EXAKTを持ち込んでもらって試聴させていただきました。ここで聴くと、音が違うというか、もう感覚がまるで違うんです。だから、もう一生モンだ、ということで360 EXAKTの導入を決めました」

 Rさんは、360 EXAKTへのリプレイスとあわせてヘッドユニットも最新のKLIMAX SYTEM HUBに入れ替えた。以前使っていたKLIMAX DSMは、寝室で使うことにしたという。

 

主な使用機器
●プロジェクター : ビクターDLA-V7
●スクリーン : オーエスEH-100H-085(100インチ/16:9)
●有機ELディスプレイ : ソニーKJ-77A9G
●BDレコーダー : パナソニックDMR-UBX7030
●スピーカーシステム : リン360 EXAKT(L/R)、ARTIKULAT 340(C)、CUSTOM 2K 104C(LS/RS)、AKURATE 226(LFE)
●ミュージックサーバー : デラN1-S38
●ネットワークプレーヤー+システムコントローラー : リンKLIMAX SYSTEM HUB
●デジタルクロスオーバー+パワーアンプ :リンAKURATE EXAKTBOX-I、MAJIK EXAKTBOX-I
●パワーアンプ : リンC4200

スピーカーはリンの最高峰モデルの360 EXAKT。リンの最新、最高のテクノロジーが余すところなく投入された「ザ・フラッグシップ」とリン自らが呼ぶスピーカーだ。最先端設計のドライバーユニットや1本あたり合計1,500Wにも達する強力な内蔵パワーアンプ、KLIMAX DSM/3で開発されたORGANIK DAC×3基によるDACセクションまで、圧倒的な物量を優美なフォルムのエンクロージャーに盛り込んだ、超ワイドレンジでありながら極めてニュートラルサウンドを指向するモデルとなる。なお、2026年5月にウーファーユニットが新開発のピストニックテクノロジー搭載仕様にアップグレードされたバージョンが登場している

 

 

ARTIKULAT 340をセンタースピーカーとして使用

 話題はサラウンド再生に移った。Rさんは、センタースピーカーはARTIKULAT 340を、サラウンドスピーカーはリンの天井埋め込み型CUSTOM 2K 104Cを、サブウーファーはAKURATE 226をお使いだ。ARTIKULAT 340は、3Kドライバーアレイや2基の20cmウーファーを、帯域を微妙にずらして用いた横置き設置前提の、密閉型5ウェイスピーカー。そのARTIKULAT 340は、デジタルクロスオーバーとパワーアンプを内蔵した一体機AKURATE EXAKTBOX-Iで、サラウンドスピーカーとサブウーファーもMAJIK EXAKTBOX-Iと、4chパワーアンプC4200で、全てEXAKT駆動されている。

「KLIMAX EXAKT 350は、ずっと5.1chシステムのフロントスピーカーとしても使っていました。360 EXAKTを導入したタイミングで、スピーカーとしての世代があっていないこともあり、センタースピーカーを使わない、センターダウンミックス再生を試してみたんですが、なんとなく収まりが悪いというか、しっくりこない。結局、ARTIKULAT 340をセンタースピーカーとして使う5.1ch再生に戻しました。特に映画再生のときは、やっぱりセンタースピーカーはあったほうがいいように思います。

 実は寝室に7.1chサラウンドシステムを組んでいて、映画とか音楽ライヴはここと半々くらいで楽しんでいます。映画は、スクリーンがあるから、ここで再生することが多いですね。だからセンタースピーカーがあったほうがいいと思うのかもしれません。映画は、ブルーレイで観ることが多いです。配信も観ますが、こと画質という点に限るとブルーレイのほうがやはりいいでしょう。あとテレビ放送でやっている作品も観ることもありますね。どちらかといえば、ハリウッド大作というよりは、人間ドラマや音楽をテーマにした映画をよく観ています」

画像2: 【リン・サラウンド体験記 福岡県・Rさん】人生になくてはならない存在、生きる糧としてのリン・サラウンド

Rさんのシステムの司令塔KLIMAX SYSTEM HUBは、360 EXAKTスピーカーへ音声信号を送り込み、さらに様々な制御を行なう役割を担う。無垢のアルミニウムを削り出し加工して作られた強固かつノイズ耐性に優れたシャーシに、ネットワークオーディオ機能からHDMIを含む様々な入出力端子を備えた、孤高のネットワークプレーヤー/コントロールアンプKLIMAX DSM/3を基本に作られたKLIMAX SYSTEM HUBは、そこからDAC回路を省き、EXAKT LINK出力に特化した製品だ

 

ラックには、リンの製品のほか、パナソニックのBDレコーダーなどが収まる。KLIMAX SYSTEM HUBの下段は、上からAKURATE EXAKTBOX-I、MAJIK EXAKTBOX-I(以上、クロスオーバー内蔵マルチチャンネルパワーアンプ)、C4200(パワーアンプ)となる

 

 

Rさんの人生に欠かせないリンのサラウンドシステム

 Rさんは映画や音楽ライヴ以外にスポーツ中継を非常によく楽しまれているそうだ。

「スポーツ中継はスクリーンとプロジェクターでよく楽しんでいます。大画面サラウンドとスポーツ中継は相性が非常に良いと思います。大リーグやプロ野球、そしてオリンピック。ラグビーなんかも迫力満点で非常に引き込まれます。スクリーンの大画面と5.1chサラウンドでスポーツ中継を観ると、スポーツバーにいるような感覚になるんです」

 スポーツの話題になったときに、Rさんがトライアスロンに非常に真剣に取り組んでいることをお話ししてくださった。ご存知の通り、トライアスロンは、スイム、バイク(自転車)、ランを組み合わせた、極限のスポーツ。Rさんは、「アイアンマン・ディスタンス」というスイム3.8km、バイク180km、ラン42.195kmというレースにも出場するほどだという。普段の練習をお聞きしたが、「過酷」という言葉では表せないほどの強烈な運動量を行なっているとのこと。絶句するほどの鉄人ぶりである。エントランスにあった競技用自転車はそこで使うものだそう。Rさんは語る。

「トライアスロンの練習に時間がかなりとられますので、音楽とか映画を楽しむのもできるだけ効率的というか、時間を有効に使って楽しみたいと考えています。休みの日は、バイクの練習で250kmくらい走ることもしばしば。仕事の日でも朝、ランニングをしたり、バイクに乗ったりもします。いい環境の映画館にいけば映画をとても楽しめることはわかっていますが、移動の時間などを含めると、結局、半日は時間がとられてしまいます。でもこの部屋で映画を観れば、2時間少しで映画館と同じくらいに感動できます。

 それに、トライアスロンのトレーニングで疲れても、ここでいい音で音楽を聴けば、癒しになるというか、リラックスできます。その意味でもここにリンの素晴らしいサウンドシステムがあることは、ぼくにとって非常に大きな価値があるんです」

 トライアスロンという過酷な競技に取り組むRさんの心身を癒し、活力をもたらす役割/機能が、リンのサラウンドシステムにある。そして音楽や映画、スポーツ観戦を素晴らしい品位で自宅に居ながら楽しめることは、Rさんのライフスタイルになくてはならない存在、生きる糧になっているのだと腑に落ちた。

 

画像4: 【リン・サラウンド体験記 福岡県・Rさん】人生になくてはならない存在、生きる糧としてのリン・サラウンド

Rさんは、普段は77インチの有機ELテレビを用いているが、オーエス製100スクリーンを下げることで大画面ホームシアターに変貌する2ウェイシアターを実践している。取材は陽光が差し込む日中に実施したが、カーテンを閉めるとほぼ完璧な遮光が実現され、大画面スクリーン映像に相応しい環境が整う

 

画像5: 【リン・サラウンド体験記 福岡県・Rさん】人生になくてはならない存在、生きる糧としてのリン・サラウンド

プロジェクターはビクター製の4K D-ILA対応モデルDLA-V7。明るく高コントラストのシャープな映像が持ち味の逸品である

 

 

取材にご協力いただいたインストーラー

●マックスオーディオ
http://www.maxaudio.co.jp/guide/guide.html

 

>本記事の掲載は『HiVi 2026年秋号』

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