いわば、『悪魔のいけにえ』(トビー・フーパー監督、1974年作品)ファンクラブ的な映画である。が、その“クラブ員”が錚々たる顔ぶれなのだ。映画監督の三池崇史やカリン・クサマ、オーストラリアの映画評論家であるアレクサンドラ・ヘラー=ニコラス、作家のスティーヴン・キング、コメディアンのパットン・オズワルトなどなど……彼らがそれぞれの自分史と重ね合わせながら、いかにこの映画から衝撃を受けたか、影響を受けたか、人生が変わったかなどを熱く語る。
ちなみにこの古典的映画の原題は『The Texas Chain Saw Massacre』。つまり英語圏のひとはそういうタイトル(=テキサスのチェーンソーによる大虐殺)として接し、三池監督は『悪魔のいけにえ』という邦題で接した。原題には“悪魔”も“いけにえ”も出てこない。それによっても、見る人の意識はずいぶん変わるのだろうなあとも感じた。
私が引き込まれたインタビュイーはやはり日本語で語る三池監督ということになる。チャップリンの『街の灯』を見ようと思って映画館に行ったのに、なぜ『悪魔のいけにえ』を見てしまったのか、それはまさしく運命的というしかないものだが、そのいきさつが監督自らの口から語られるのは実にスリリングだ。なお監督は今も『街の灯』を見ていないらしく、その理由もふるっている。
『チェイン・リアクションズ』の中には、ほか、さまざまな映画がサンプリングされていて、それも『悪魔のいけにえ』という作品の、ホラー映画史における他の作品との連続性と特異性をそれぞれ描くのに奏効していると感じた。『悪魔のいけにえ』の及ぼした連鎖反応(チェイン・リアクションズ)……それは世界の各地で同時多発的に起こっていたのだ。
3月28日から東京シアター・イメージフォーラム他全国ロードショー。第81回ヴェネツィア映画祭クラシック部門、最優秀ドキュメンタリー映画賞〈Best Documentary on Cinema〉受賞作品。
映画『チェイン・リアクションズ』
3月28日(土)シアター・イメージフォーラム ほか全国ロードショー!
監督:アレクサンドル・O・フィリップ
出演:スティーヴン・キング、三池崇史、アレクサンドラ・ヘラー=ニコラス、パットン・オズワルト、カリン・クサマ
2024年/アメリカ/英語/102分/G/カラー/字幕翻訳:中澤みのり/字幕協力:ラテンビート映画祭、東京国際映画祭 配給:エクストリームフィルム
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