トロント国際映画祭の最優秀作品賞受賞作品。英題は、ある意味黙示的な『They Will Be Dust』。邦題『両親(ふたり)が決めたこと』は、子供たちの立場からの目線であるといっていいはずだ。その「両親」=「夫婦」が決めたこととは何か? ずばり、安楽死である。
「両親」=「夫婦」は大変なオシドリ状態であり、互いを尊重している。それは子供たちにとっても誇らしいことであったろう。妻(母)の名はクラウディア、夫(父)の名はフラビオ。クラウディアは長いキャリアを持つ80歳の女優であるが、末期のガンを患い、自分の手で人生の幕を閉じたいと思った。そして、フラビオもそれに“随する”ことにした。愛する妻を失ってもなお生きていくのはつらすぎる、ということなのだろう。
しかし、子供たちのマインドは、当然ながら異なる。いきなり両親が、自分の意志で、呼吸を揃えてこの世を去ってしまおうというのだから、普通に考えてそれを阻止する方向に動くのは納得がいく。
まさに「生き死にに関わる」話ではあるが、両親=夫婦は、安楽死を認める国へと向かう。途中、どこかの前衛劇を見ているようなパフォーマンス場面が何度か出てくるが、クラウディアの中で、自身の若き日の女優時代がフラッシュバックされていたのかも、と私は想像をふくらませた。まあとにかく、誰も「当人の人生」を生きる者の心からの意志に異論を唱えることなどできないはずであり、「自らの人生の終わりを選択する権利」は誰もが持って当然なのではないかと私は考える。
監督はカルロス・マルケス=マルセット、出演はアンヘラ・モリーナ、アルフレード・カストロ、モニカ・アルミラル・バテット、パトリシア・バルガロ、アルバン・プラド等。
映画『両親が決めたこと』
2月6日(金)シネマート新宿ほか全国順次公開
監督:カルロス・マルセット 脚本:カルロス・マルセット、クララ・ロケ、コーラル・クルス
出演:アンヘラ・モリーナ、アルフレード・カストロ、モニカ・アルミラル・バテット、パトリシア・バルガロ、アルバン・プラド
2024年/スペイン、イタリア、スイス/英語、スペイン語/106分/16:9/G
英題:THEY WILL BE DUST 配給:百道浜ピクチャーズ
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