現在、電車内や街角で頻繁に目にするのが、TWS(完全ワイヤレスイヤホン)である。スウェーデンの音響ブランドEARINが2015年に発表した世界初のモデル「M-1」は、従来の有線式イヤホンに付きものだったケーブルという物理的束縛から、私たちを解き放った。
その革新がもたらした自由は、瞬く間に市場に浸透し、わずか十年の歳月でここまで普及するとは、正直、私自身も予想していなかった。しかし、TWSがこれほどまでに急速な拡がりを見せた背景には、ライフスタイルの多様化と、音響・通信技術の進化が絶妙に歩調を合わせて進行したという事情がある。
現在のTWSを評価するポイントはおおよそ6つある。(1)Bluetooth技術の進化による音質と接続安定性等の向上、(2)ANC(アクティブノイズキャンセリング)の性能向上、(3)マイク性能の向上で“通話ガジェット”としての普及、(4)小型化とバッテリー効率の向上、(5)アプリを用いたスマホとのシームレスな連携、(6)ファッションアイテムとしての一面、などだ。
そして2025年の今、TWS市場におけるひとつの明確な潮流として、コストパフォーマンスに優れたモデルの台頭が挙げられる。かつてであれば、「安かろう悪かろう」という先入観が支配的だったが、2025年においては、その構図に少し変化が見られるようになった。
今回紹介するのは、そのコストと品質の均衡において絶大な評価を得つつある新興ブランドEarFunの最上位機種「EarFun Air Pro 4+」を取り上げ、その実力をチェックしていきたい。
完全ワイヤレスイヤホン
EarFun
EarFun Air Pro 4+
¥13,990(税込)

●EarFun Air Pro 4+の主な仕様
通信規格:Bluetooth 6.0
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive、aptX Lossless、LDAC、LC3
ドライバー:10mm径ダイナミック型+バランスド・アーマチュア(BA)型
電池持続時間:イヤホン単体 約12時間、収納ケース併用 約54時間
ハイレゾ認証:〇
SnapDragon Sound認証:〇
通話機能:6マイクAI cvc8.0通話
ノイズリダクション機能:〇(QuietSmart3.0/最大50dB低減)
装着検出:〇
ワイヤレス充電:〇
ゲームモード:〇
防塵防水規格:IP55
EarFunは2018年に誕生した比較的新しいオーディオブランドで、本社は中国・深圳にある。技術者やプロダクトデザイナー、そして音楽愛好家が集まり、“誰もが手に取りやすい価格で、次世代のワイヤレスオーディオ体験を届ける”という理念を掲げてスタートした。興味深いのは、創業当初から完全ワイヤレスイヤホン市場に的を絞り、従来は高価格帯モデルでしか見られなかった上述の(1)から(6)などの機能を惜しげも無く搭載したことだ。
製品ラインナップは豊富で、TWSは今回レビューする最上位モデルのEarFun Air Pro 4+を筆頭に、高機能タイプからスタンダードモデル、スポーツ用モデルなど、他にワイヤレスタイプのヘッドホンも2モデル展開している。
自宅に届けられたEarFun Air Pro 4+を開封した。ハウジングは小型で、ステム(ハウジングから垂れる棒のような部位)は比較的短めのデザイン。ガンメタリックとグロスブラックのツートン仕様で、質感も高い仕上がり。収納ケースは比較的コンパクトで、本体を格納した状態での総重量は実測53.1g。ポケットにも収まりやすいし、ワイヤレス充電にも対応している。付属品は、USB C to Aケーブルとシリコンイヤーピースが5ペア(XS / S / M / L / XL )、クリーニングツール、紙のマニュアルとなる。

1つ良いなと思ったのは、収納ケースのマグネットの吸着力の調整が良好で、ケースから取り出しやすかったこと。安価なモデルはこの辺りの配慮が行き届いていないことが多いが、毎日のように出し入れする人には嬉しい配慮だと言えよう。

続いて、スマホに専用アプリ「EarFun Audio」をインストールする。注目したいのは、EarFun Air Pro 4+は安価でありながら、LDACやaptX Adaptive、aptX Losslessといった高音質コーデックに対応している点だ。今回は、LDACに対応する筆者所有のAndroidスマホ「Google Pixel 6a」と、Astell&KernのDAP「PD10」を組み合わせた。
「ハイブリッド・デュアルドライバー」の効果は高く、帯域バランスがよく、質感のあるサウンドを再現してくれる
最初はPD10を使い、LDACで接続した上でサウンドクオリティをチェックした。EarFun Air Pro 4+をケースから取り出して耳に装着する。付属のイヤーピースはシリコン素材で、中心部と外側で硬さの異なる「二重硬度設計」を採用している。低反発ポリウレタン(メモリーフォーム)素材を使用したイヤーピースに近いフィット感があり、装着性もいい。パッシブ状態でのノイズキャンセリング能力(遮音性)も一定以上の水準で、感心した。

PD10の内部メモリに保存したハイレゾファイルから、オーディオファンに人気の女性ボーカリスト、ホリー・コールの「Comin’ Home Baby」を再生した。率直に言えば、「この価格で、どこまでの再生能力があるのだろうか」と思っていたが、予想以上に音が良い。ボーカルの質感が自然で、キックドラムやベースにも力がある。これには理由がある。EarFun Air Pro 4+は、EarFun初となる「ハイブリッド・デュアルドライバー」を搭載している。これは、自社開発による業界最小クラスのBAドライバー1基と、10mm径のダイナミックドライバー1基を備えた、名称通りのハイブリッド仕様となっており、楽曲全体における低域のボリューム感も自然で、弾力ある質感を聴かせてくれる。オンマイク気味に録音されたボーカルのリアリティも良好で、口元の定位が比較的コンパクトに感じられるのは、ダイナミックドライバーとBAドライバーの間に11度の角度を設けた「Nano Side-Fitted Acoustic Architecture(NSAA)」によるものと推測される。全帯域での音質バランスがいい。

続いて、Google Pixel 6aと接続。このスマホもLDACに対応しており、aptX(aptX HD)と聴き比べるかたちでチェックする。Qobuzから、藤井風のアルバム「Prema」収録の『Casket Girl』を再生した。まずはaptX接続で聴いたが、ボーカルのリアリティや、高音域から低音域までのレンジ表現も悪くない。イントロのローファイ風の楽器の質感や、ストレートな8ビートのリズム感ある楽曲を表現してくれる。続いてLDACで再生すると、予想以上に違いがあった。LDACは最大990kbpsのビットレート仕様ということもあるが、aptX(aptX HD)に比べて一聴して音が良く驚いた。情報量が多く、レンジも広い。ボーカルは中央に明瞭に定位し、左右に重ね録りされたコーラスの分離も良好だ。さらに、前半部のクラップやスネアの表現もシャープ。空間表現も、広すぎず狭すぎず、適度なバランスだ。さらに高価格帯のモデルに迫る、価格を超えた音を体験できた。

余談だが、EarFun Air Pro 4+はスマートフォンやPCなど、親機を同時に2台接続できるBluetoothの「マルチポイント接続」に対応している。つまり、今回のようにDAPで音楽を聴きながらスマホに着信があった場合でも、イヤホンを切り替えることなくスムーズに通話に応対できる。また、音楽の再生や停止も機器間で自動的に切り替わるため、マルチタスクが格段に便利になる。
専用アプリ「EarFun Audio」についても触れておきたい。このアプリでは、ハウジング側面のタッチセンサーのカスタマイズ、ノイズキャンセリングモード(ノーマル・外音取り込み・ノイズキャンセリング)の切り替え、低遅延の「ゲームモード」の設定、装着検出機能のオン/オフ、音声のイコライジングなど、一通りの設定が可能だ。画面UIは見やすく使いやすかった。

▲専用アプリ「EarFun Audio」。LDACとaptX Adaptiveは排他使用。マルチポイント(デュアルデバイス)接続時も、LDACコーデックの使用が可能
ノイキャン性能も秀逸。周囲の騒音を的確に抑え、通話も自然に行なえる
ノイズキャンセリング機能については、ユーザーの外耳道の形状に合わせて最適なノイズキャンセリングを行なう「AI聴覚適応型ANCモード」が搭載されている。室内はもちろん、屋外の雑踏などにおいても、低周波ノイズをある程度抑えてくれる。また、外音取り込み機能もあり、音に不自然な質感が出にくい点は好印象だった。通話性能についても価格を考えれば優秀で、相手の声も聞き取りやすく、自分の声も(相手に)明瞭に届いていたとのこと。ちなみに、バッテリーはイヤホン単体で最大12時間、充電ケース併用で最大54時間と、スタミナ面も充分だ。
価格と性能のバランスに優れた完成度の高いモデルだ
総じてEarFun Air Pro 4+は、価格と性能のバランスに優れた“完成度の高い”モデルである。音質・ノイズキャンセリング・利便性が高次元で融合しており、日常使いはもちろん、純粋に音楽を楽しむためのデバイスとしても充分に活用できる。コストパフォーマンスの高さを理由に購入しても、実際に音を聴けば、それを上回る満足感が得られる。そんなモデルだと評価できる。

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