新しい才能に出会いたくてうずうずしている毎日を送っている人は、会ったことがなくても私の同志だと思っている。そこで、この実に嬉しい企画「終点なき映画たち Route:1」のご紹介だ。2019年より「インディーズ映画の発射台」として注目必至の作品を公開し続けてきた映画配給レーベル“シネマゴ”と、数多くの映画作家の劇場デビュー作を上映してきた下北沢トリウッドのコラボである。今回連続公開されるのは、いずれ劣らぬ精鋭たちが才能を発揮した3作。いずれも、手ごたえたっぷりの力作だ。

 5月9日(金)~5月29日(木)<5/16(金)~22(木)休映>に上映されるのは上田修生が制作・脚本・監督・編集を手掛けた『Sappy』(第23回TAMA NEW WAVE「ある視点部門」選出)。小説家を目指してはいるもののどうにもうまくいかず、心ならずとも別の職業についているが、心の中で「俺はあんたらとは違う特別な人間だ。だって小説家なんだからな」というプライドだけは磨き込んでいる男の物語、だがそれはイントロダクションに過ぎず、「まさかこうなるとは」という展開続出の、ひやっとさせられるエンタテインメント作品。現実と妄想の関係性がくねくねしているところもいいし、実は裏のメインキャラなのではないかと思えるほど強烈な存在感を放つ売れっ子小説家・小林にも注目されたい。出演は猪征大、結城あすま、川上明莉など。

画像1: シネマゴとトリウッドが組んで、次世代の日本映画の姿を提示。第1弾はこの3作。「終点なき映画たち Route:1」

 5月9日(金)~5月22日(木)に上映されるのは、北野陽太が監督・脚本・編集を手掛けた『女』(カナザワ映画祭2024「期待の新人監督」選出)。なんというのだろう、巷間いわれる「魔性の女」というのはまだまだ甘っちょろいうちなのではないかと思わされた。なんといってこの映画に登場する「ある女」は4人の男の人生を狂わせてしまうのだ。なのに正体と実在は不明という、これまたひんやりさせられる展開だ。その「女」は実在するのか、それとも……。ラストの部屋での展開について、数あるそれの中から、ベスト・オブ・ベストを選び出して映像に焼き付けたという印象を受けた。出演は小西有也、大宮乃もも、大友爽太郎など。

画像2: シネマゴとトリウッドが組んで、次世代の日本映画の姿を提示。第1弾はこの3作。「終点なき映画たち Route:1」

 5月16日(金)~5月29日(木)に上映されるのは、服部正和が制作・脚本・監督・編集を手掛けた『フィクティシャス・ポイント』。『FRONTIER』で京都国際学生映画祭・実行委印象を獲得した監督が、構想に5年を費やしたという一作。セリフにしてもfoleyにしても音質が非常に明瞭、“フィクティシャス・ポイント”という単語もしっかり物語のキーワードとなるように使われていて、個人的にはかっこいいポップスを聴くような気持で観終えた。セリフは磨き抜かれていて、役者陣の演技も重厚。「映画らしい映画」を骨太に提示してくれた感じである。出演は両羽ももか、五十嵐諒、志生、篠原功、坂城日日、佐倉瑠衣、島袋明希子、小澤うい、など。

画像3: シネマゴとトリウッドが組んで、次世代の日本映画の姿を提示。第1弾はこの3作。「終点なき映画たち Route:1」

 トリウッドは平日の火曜日が定休なのでご注意を。次世代の映画人たちのヴァイブレーションを感じようではないか。

特集上映企画「終点なき映画たち Route:1」

2025年5月9日(金)より 下北沢トリウッドで連続公開!

『Sappy』 5/9~
『女』   5/9~
『フィクティシャス・ポイント』 5/16~
※下北沢トリウッドは毎週火曜休館

公式サイト
https://tollywood.jp/news/67cac98767ddb81a7f219ce8

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