今から15〜16年前だったと思うけど、漫画家のモンキー・パンチさんのホームシアターを取材させてもらった後、映画談義で盛り上がったことがある。当時はハリウッドでも『ルパン三世』の実写化が検討されていて、そのキャスティングに話が及んだ。そこでモンキーさんから、「この前『Mr.&Mrs.スミス』のブルーレイを見たんだけど、あの作品のブラッド・ピットは結構ルパンのイメージに近いんだよね」という発言が飛び出し、個人的にはなるほどな〜と納得した。
「【初回仕様】オーシャンズ トリロジー コレクターズBOX
<4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(6枚組/豪華封特典付)」 ¥22,440(税込)

●発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント●販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント●収録内容:6枚ディスク(UHDブルーレイ✕3、ブルーレイ✕3)●三背アウターボックス、アートカード(3枚組、両仕様)
<ディスク仕様(UHDブルーレイ)>
『オーシャンズ11』
●2001年製作●4K ULTRA HD 片面2層●本編:117分+映像特典75分●シネスコ/2.4:1●音声:DTS-HDMA5.1ch(英語)、ドルビーデジタル5.1ch(日本語)、ドルビーデジタル2.0ch(英語)
『オーシャンズ12』
●2004年製作●4K ULTRA HD 片面2層●本編:125分+映像特典66分●シネスコ/2.4:1●音声:DTS-HDMA5.1ch(英語)、ドルビーデジタル5.1ch(日本語)、ドルビーデジタル2.0ch(英語)
『オーシャンズ13』
●2007年製作●4K ULTRA HD 片面2層●本編:122分+映像特典89分●シネスコ/2.4:1●音声:DTS-HDMA5.1ch(英語)、ドルビーデジタル5.1ch(日本語)、ドルビーデジタル2.0ch(英語)
そんなブラピがイキイキと大泥棒を演じている『オーシャンズ トリロジー』のUHDブルーレイボックスが、ワーナーから発売された。フランク・シナトラがオーシャンを演じた1960年作『オーシャンと十一人の仲間』をベースに、現代のラスベガスに舞台を移したシリーズで、ブラピはもちろん、ジョージ・クルーニー、マット・デイモンといった豪華キャストも話題を集めた。
そんなスターの競演ももちろん見どころだが、加えてこのシリーズは脚本が面白い。第一作のラスベガスを牛耳るベネディクト(アンディ・ガルシア)へのドンデン返しから、続く二作目では逆に窮地に追い込まれて足掻く様、そして三作目でのド派手な花火まで、思わず一気見したくなる魅力と爽快感を備えている。
演出も実に楽しい。ブラピを始めとする登場人物は常に意味不明(意味のない?)会話を続けていて、何を考えているのか掴みどころがない。のだが、クライマックスでは各シーンに散りばめられていた伏線が見事に回収され、痛快なエンディングを楽しむことができる。ちょっと上手くいきすぎだろうと思いつつも、作品を見終わった後に笑顔になっているのも、『ルパン三世』と同じかもしれない。

今回のボックスにはシリーズ3作品が、UHDブルーレイとブルーレイそれぞれで合計6枚収納されている
さて今回のUHDブルーレイは、それぞれのディスクに本編と充実した特典映像が収録されている。音声はいずれもDTS-HDマスターオーディオ5.1ch(英語)を収録。吹き替え日本語はドルビーデジタル5.1chで、英語音声解説がドルビーデジタル2.0ch。
まずは2001年公開の『オーシャンズ11』を再生。ほぼ四半世紀前の作品だったことに改めて驚いたが、オリジナルネガからスキャンされたという4K画質はきめ細かさと色の厚みがあって、落ち着きさえ感じる。冒頭の州刑務所の室内や続くカジノの壁などに細かなグレインが乗っているが、それがかえってフィルム作品らしい味わいになって、個人的には好ましく感じた。
ラスベガスの夜景、カジノのどことなく古めかしくもきらびやかな内装、ジュリア・ロバーツの肌や鮮やかな衣装などの再現はさすがに見事で、装飾品の細かな輝き、色数の豊富さなど4KとHDRの実力発揮というところだろう。

『オーシャンズ12』『オーシャンズ13』もオリジナルネガから4Kスキャンを行っているようで、画質の傾向は基本的には同じ。ただグレインは時代を追うごとに細かくなり、画面全体のクリアーさが増していく。とはいえフィルムらしい質感はなくなっていない。ラスベガスという “夢の街” が持つ人工的な空気感、昼と夜のコントラスト感を絶妙なバランスで描き出している。
堀切日出晴さんの情報によると、DTS-HDマスターオーディオ5.1ch音声はリミックスされたものとのこと(ブルーレイはドルビーデジタル5.1ch)。上記の通り本作は主要キャストの会話も魅力だが、そこでのジョージ・クルーニーやアンディ・ガルシアの野太い声をロスレスで楽しめるのも嬉しい。サラウンドの包囲感も自然で、音楽のノリもいいので、見終わってってスッキリすること請け合いだ。
間もなくやってくるゴールデンウィークに、愉快な気分に浸りたいという映画ファンは、ホームシアターで『オーシャンズ』三部作を一気見してみてはいかがでしょう。(取材・文・撮影:泉 哲也)
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