いい音でQobuzを楽しみたい人に好適。プラスワンの音質向上効果絶大アイテム

 高音質が最大の売りとなるQobuzの正式スタートにより、音楽配信サービスへのオーディオファンの関心が高まっているが、ここで再度、問われているのがLAN回線の品質だ。

 ネットワークオーディオの再生では、LAN回線経由で混入する外来ノイズが大きな問題となり、音質対策を施したハブや光絶縁アイテムが重用されているのは、ご存知の通り。これは音楽ストリーミング再生、すなわちQobuzでもそのままあてはまり、この外来ノイズをいかに抑えるかが、高音質再生のカギとなる。

 ここで取り上げるakitsukoのSW0200はLAN回線を通して入ってくる外来ノイズを抑え、高品質な音声データをネットワークプレーヤーなどの機器へ供給する製品だ。もともとスイッチングハブとして設計されたが、LANポートそのものがノイズ源となるという判断から、複数の機器を接続する機能を省略、最小限の2ポートの装備に変更。製品ジャンルを「ネットワークリファイナー」とした製品だ。

 

 

 注目点は最近よく見かける光変換ではなく、電源やクロックといった部分に熟練の技術を投じて、クリーンなネットワーク信号の確保を目指していることだ。まずは入口だが、RJ45端子と内部デバイス間の接続部に、ノイズ除去能力の高い大型パルストランスを採用し、確かな絶縁効果を確保している。

 クロック回路には低ジッターのOCXO(恒温槽付水晶発振器)を採用し、そこに銅シールドを配置して、外部からのノイズ混入を低減。さらに専用電源を設け、クロック信号の伝送路にはアイソレーターを挿入するなど、ノイズ対策を徹底することで、ネットワーク信号の低ジッター化を実現しているという。

 主電源はトロイダルトランス、整流用のSiC(炭化ケイ素)ショットキーバリアダイオード、計46,000uF容量の電解コンデンサー、リニアレギュレーターなどを組み合わせた低インピーダンス/低ノイズ設計の回路となる。ローカル電源についても全てリニアレギュレーターを採用するなど、回路全体の低ノイズ化に余念がない。

 各種部品は慎重に試聴を重ね、最適なパーツを選択し、音質的に影響の大きい部品についてはハンドメイドでハンダ付けするというこだわりようで、個々の特性のバラツキを最小限に抑えているという。

 

画像2: 『akitsuko SW0200』Qobuz再生の注目グレードアップアイテム《ネットワークリファイナー編》

RJ45(LAN)端子から入力されたネットワーク信号に含まれるノイズを本体内部で遮断、低ジッターの高精度クロックを打ち直して、クリーンな信号の獲得を目指したアイテムだ。接続端子はRJ45型LAN端子2系統のほかは電源インレットだけと非常にシンプルだ

 

画像3: 『akitsuko SW0200』Qobuz再生の注目グレードアップアイテム《ネットワークリファイナー編》

内部は、一般的にはRJ45コネクターに内蔵(もしくは複数ポートでまとめて使われる)パルストランスを、ポートごとに独立して搭載(写真の上側のLAN端子直後にある2個の長方形デバイスが、パルストランス)。さらにクロックもOCXO(恒温槽付き水晶発振器/写真中央の銅色のパーツ)を採用、さらに伝送路にもアイソレーターを加え、徹底した低ノイズ化を図る。電源もリニア電源と強力な仕様となる

 

 

立ち上がり鋭く、躍動する音。その変化ぶりに驚かされた!

 早速、Qobuzのサウンドを確認してみることにしよう。試聴は山中湖ラボで行ない、ネットワークプレーヤーにはリンKLIMAX RENEW DSを、LANケーブルはエイムNA6とNA9を使用した。再生楽曲は「イージー・ダズ・イット/オスカー・ピーターソン」、「探偵物語/薬師丸ひろ子」、「オネスティ/ビリー・ジョエル」など。

 

画像4: 『akitsuko SW0200』Qobuz再生の注目グレードアップアイテム《ネットワークリファイナー編》

 

 まずWi-FiルーターとKLIMAX RENEW DSのダイレクト接続と、両者間にSW0200を介した接続、それぞれのサウンドを聴き比べてみたが、音場の密度感、スケール感、そして中域、低域の吹き上がりと、SW0200による音質改善効果は明確だ。歌声、楽器ともにニュートラルな質感を保ちつつ、音の鮮度に磨きがかかる印象で、ベースもピッチ、リズム感が確実で、曖昧さがない。

 「探偵物語」の再生では、彼女の晴れやかな歌声に明るさ、開放感が加わり、演奏の響き、空間のスケールと、細密な表現力に磨きがかかっている。特に中高域から中低域、低域にかけて、レスポンスのムラがなく、その聴き心地の良さが印象に残った。

 続いてWi-Fiルーターの後段にバッファロー製ハブBS-GS2016/Aを加え、さらにSW0200を経由してKLIMAX RENEW DSへ信号を送り出してみたところ、その変わりように驚かされた。

 ニュートラルな音質傾向を保ちつつ、声、楽器と、響きの質感が精緻になり、さらにスピード感が増す感じで、立ち上がりが鋭く、フォーカスが鮮明になる。「イージー・ダズ・イット」は低域のブースト感はなく、ほどよく締まったベース、バスドラがしなやかに躍動する。さらに音場が奥行方向へグッと拡がり、ひとまわり大きなスケール感が得られた。

 静かな空間に、きめ細かな響きがフワッと浮かび上がり、その場の気配、空気感まで感じさせるような分解能の高さで、音楽の楽しさをより鮮明に感じ取ることができた。

 税込34万円という価格は安くはないが、プラスワンの効果は絶大。よりいい音で、ネットワーク再生、そしてQobuz再生を楽しみたいという方に、おすすめしたい逸品だ。

 

 

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>本記事の掲載は『HiVi 2025年春号』

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