メル・ギブソンが9年ぶりの監督作品を世に問うた。航空機が「密室である」こと、「追い詰められたら逃げられない場所である」こと、「外を速く高く飛ぶ習性」を持っていることをフルに活用したサスペンスで、しかも主な舞台は上空1万フィートのアラスカだから、そびえる雪山はデフォルトだ。加えてカメラ・ワークや音質が大迫力、リアルタイムで物語が進行することもあって(つまり映画1本がまるごとワンセッション)、観終えた後にはカタルシスがどっとやってくる。

 主な登場人物は「ハリス保安官補」、「重要参考人ウィンストン」、「パイロットのダリル」。ハリスはウィンストンを航空輸送する機密任務についている。つまり「ダリル」は第三者であるはずなのだが、どうにも怪しいということにウィンストンが気づく。パイロットがどうも信用に値しない、だが命のカギを握るのはパイロットであり、それはつまり、言い方を変えれば、乗る者としては、パニックを避けるためにもパイロットをひとまず信用しておいたほうがいい、ということになる。が、このダリルと名乗る男ときたら……。

 物語が進むにつれ、私はいつしか乗客のひとりのような気持ちになり、ひやひやした。3人の微妙な人間関係(ふとしたきっかけで「ボス格」が変わる)、地上とのやりとりにも大いに注意しながら鑑賞されたい。ハリス役はミシェル・ドッカリー、ウィンストン役はトファー・グレイス、ダリル役はマーク・ウォールバーグ。

映画『フライト・リスク』

3月7日(金)より新宿バルト9ほか全国公開

<キャスト>
ダリル・ブース|マーク・ウォールバーグ
マドリン・ハリス|ミシェル・ドッカリー
ウィンストン|トファー・グレイス

<スタッフ>
監督:メル・ギブソン 脚本:ジャレッド・ローゼンバーグ 製作:ジョン・デイヴィス、ジョン・フォックス、ブルース・デイヴィ、メル・ギブソン 撮影監督:ジョニー・デランゴ 美術:デビッド・メイヤー 編集:スティーヴン・ローゼンブラム(A.C.E.) 衣装:クリステン・コップ 音楽:アントニオ・ピント 音響監督:マイク・ターナー
2024年|アメリカ|英語|91分|カラー|シネマスコープ|5.1ch|原題:FLIGHT RISK|字幕翻訳:北村広子|配給:クロックワークス|映倫:G(一般)
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