TVS REGZAは、アメリカ・ラスベガスで開催されるテクノロジー見本市「CES 2025」(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー2025)に出展、開発中の新技術をお披露目する。

 同社は昨年(2024年)に6年ぶりにCESに出展し、3年の歳月をかけて開発した映像エンジン「レグザエンジンZRα」の様々な機能をアピールした。2025年のCESでは、そのレグザエンジンZRαを軸にして、さらに進化した使い方を提案する。そのキーワードは「テレビが知性を持った。レグザインテリジェンス」だ。

画像1: 大画面で、より臨場感のあるライブを満喫できる。TVS REGZAが、生成AIを活用した “レグザインテリジェンス” を、CES2025でお披露目

 昨日開催された説明会で、TVS REGZA株式会社 取締役副社長の石橋泰博氏がその詳細を解説してくれた。

 石橋氏によると、今回はレグザエンジンZRαと生成AI機能を組み合わせることで、視聴者の関心、興味を適切に判別し、新しいコンテンツとの出会いを作り出すことを目指しているという。これにより、近年レグザが提唱している大画面化を促進し、感動体験を最大化したいとのことだ。

 そのための「技術ビジョン」としては、対話型AIを使って視聴者との会話を実現、見ている人の感情までリアルタムに解析することで、より感動できる映像体験を提供するという。

画像: TVS REGZA株式会社 取締役副社長の石橋泰博氏

TVS REGZA株式会社 取締役副社長の石橋泰博氏

 もともとレグザエンジンZRαでは、優れた処理能力を活かして複数のディープニューラルネットワークプログラムを動かしており、エッジAI的な機能を実現していた。昨年のCESで発表された「AI光景再現テクノロジー」(象徴的なシーンを識別し、そのシーンをよりリアルに感じられるように再現するための映像処理とパネル駆動を行う)もそのひとつだ。

 今回は新たに生成AIとディープラーニングを追加、ミリ波センサーによるセンシングも合わせて、よりパーソナライズされた情報の提供を可能にするという。その際にはクラウド上の生成AIとレグザ本体に内蔵されたAIを適宜組み合わせることで、気持ちよくレスポンスが戻って来るレベルの反応を目指したとのことだ。パーソナライズについては、(現時点では)セキュリティの観点から個人の特定までは行わない模様だ。

 今回の説明会では、実装する機能として「生成AIボイスナビゲータ」「AIオーディオリミックス」「AIシーン高画質の進化」が紹介されている。

画像2: 大画面で、より臨場感のあるライブを満喫できる。TVS REGZAが、生成AIを活用した “レグザインテリジェンス” を、CES2025でお披露目

 まず生成AIボイスナビゲータは、検索の具体的な作業をレグザインテリジェンスが代行するもので、あいまいな言葉や会話であってもユーザーが見たいコンテンツにリーチできるようになるもの。レグザに話しかけると、AI側が視聴者のプロファイルを参照したうえで、最適なコンテンツを推薦してくれるという。

 例えば、「今 30 分ぐらい時間あるんだけど、何かお薦めのコンテンツありますか?」のようなざっくりした質問でも、生成AIボイスナビゲータなら「今、話題になっている番組はどうですか?」とか「途中まで見たコンテンツの続きはどうですか?」といった具合に対応してくれるそうだ(AIの返答は画面に文字で表示)。

画像: レグザに向かって質問すると、画面上に回答を表示してくれる。その際には、ユーザーが不満を感じないくらいのスピードを実現している

レグザに向かって質問すると、画面上に回答を表示してくれる。その際には、ユーザーが不満を感じないくらいのスピードを実現している

画像: お薦めコンテンツの検索デモではバンダイチャンネルを使用。製品に搭載する際には、契約している配信サービスや見るナビなどのデータを参照する予定とか

お薦めコンテンツの検索デモではバンダイチャンネルを使用。製品に搭載する際には、契約している配信サービスや見るナビなどのデータを参照する予定とか

 説明会のデモはバンダイチャンネルの配信コンテンツが使われており、「話題の作品」として『GUNDAM』と『LOVE LIVE! SUPERSTAR!!』が推薦された。ここで『GUNDAM』を選ぶと視聴可能なタイトルが一覧表示され、さらに「左から2番目」と指定することで該当エピソードの再生がスタートした。これまでは具体的な話数などを指定する必要があったが、生成AIボイスナビゲータならそういった面倒もないということだ。

 またコンテンツ再生時のポーズや停止といった操作はバンダイチャンネル側の機能になるのだが、ここについても生成AIボイスナビゲータからの音声操作で可能になっている。

 なお今回のデモの音声入力はリモコンに搭載されたマイクで行っている。これはCESなどの会場はノイズが多いので発声者の声を正しく認識するためとのことで、製品に本機能が搭載される場合にはテレビにもマイクを内蔵してハンズフリーで使えるようにしたいとのことだった。その他、方言がどこまで識別できるかは生成AI次第とのことで、メジャーな方言(?)なら対応できるかもしれない。

画像3: 大画面で、より臨場感のあるライブを満喫できる。TVS REGZAが、生成AIを活用した “レグザインテリジェンス” を、CES2025でお披露目
画像: AIオーディオリミックス機能のデモには、3種類の再生モードがセットされていた

AIオーディオリミックス機能のデモには、3種類の再生モードがセットされていた

 続いてAIオーディオリミックス機能は、再生しているコンテンツに対し、ユーザーが聞きたいサウンドに調整してくれるものだ。例えばスポーツなどではアナウンサーの声とプレイ音、歓声がミックスされた状態で放送されているが、本機能ではAIエンジンがそれぞれの要素を分離し、声を強調した「Voice」モードやプレイ音を強調した「Stadium」モードといった具合にユーザーの好みに応じて3種類から選んで再生できるという(モード表記は仮称)。

 その場合に、声を強調しても周りの音には影響を与えない、声質にはほとんど影響がないといったことが実現できており、聞きやすさはキープしているそうだ。これは音源分離の性能が高いからできることだという。ちなみに臨場感を優先した「Stadium」モードでは、違和感がないようにアナウンサーの声を10%残すといった細かな配慮も行われている。

画像4: 大画面で、より臨場感のあるライブを満喫できる。TVS REGZAが、生成AIを活用した “レグザインテリジェンス” を、CES2025でお披露目

 もうひとつ、AIシーン高画質の進化もレグザとして注目したい機能だ。現行モデルのレグザにも、AIがコンテンツのタイプを解析してそれぞれのシーンをよりリアルに再現する「AIシーン高画質PRO」が搭載されている。これまでは「夜景」「花火/星空」「リング競技」「サッカー/ゴルフ」といったコンテンツを対象にしていたが、そこに「AI音楽ライブステージ高画質化技術」が加わった。

 ライブステージを選んだのは、画面サイズの大型化を受けてレグザでライブコンテンツを楽しむ方も増えているためで、そういったステージシーンのコントラストを最適化することで、臨場感のある映像として楽しんでもらえるようにとの思いからだそうだ。

 ライブコンテンツと識別した場合には、アーティストをクリアーに映し出し、同時に衣装のきらめきが綺麗に再現できるような処理を行っている。またライブでは会場を俯瞰した引きのシーンも多く出てくるが、そういった場合でもアーティストが背景から浮き立って見えるように配慮しているそうだ。もちろんアップでの美しい肌再現もキープしている。

画像5: 大画面で、より臨場感のあるライブを満喫できる。TVS REGZAが、生成AIを活用した “レグザインテリジェンス” を、CES2025でお披露目
画像: 左がオリジナルで、右が「AIシーン高画質」処理を加えた映像。引きのシーンでのコントラスト感などにも違いがはっきり出ていた

左がオリジナルで、右が「AIシーン高画質」処理を加えた映像。引きのシーンでのコントラスト感などにも違いがはっきり出ていた

 会場ではももいろクローバーZのライブコンテンツが再生されていたが、アップになった時の表情も美しいし、4人が並んで写っているカットもそれぞれのメンバーがクリアーに再現されている。高画質化処理を加えていない映像との違いは一目瞭然だ。

 絵作り担当者は、AIシーン高画質では「日常の風景も綺麗に、視力がよくなったように感じてもらえる」映像を目指したとのことだが、その進化のほどが充分確認できた。レグザでは100インチを超えるサイズもラインナップしているが、まさにそういった大画面で活きる機能といえるだろう。今後のレグザのさらなる高画質化が期待できる技術発表だった。

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