HiVi2025年冬号から「Qobuzで愉しむハイレゾストリーミング」連載を始める。これまで約10年に渡って、共同通信社ウェブ、アスキーウェブと媒体を替えて、e-onkyo musicの注目新譜を毎月10曲紹介する「ハイレゾ真剣勝負」を連載していた。e-onkyo musicがQobuzとして再出発するにあたり、HiViにて新たな気持ちで、Qobuzのストリーミング楽曲の紹介とインプレッションをお届けしよう。
約1億の楽曲のデータベースから新譜、旧譜にこだわらず、あるテーマをたててストリーミングにて集中的に聴いて、リポートする。第一回は、Qobuzのハイレゾ音質の評価も兼ねて、オフィシャルプレイリスト「Qobuzハイレゾトップ50」から、私が気になった曲を聴く。Qobuzはオーディオとの連携を重視した配信サイトなので毎回、気になるオーディオ機器と組み合わせる。今号は前ページに掲載したリンの最高峰システムである360 EXAKT SYSTEM(KLIMAX SYSTEM HUB+360EXAKTスピーカー)で聴く。ファイル形式はすべてFLAC。
「Hotel California(2013 Remaster)/イーグルス」(192kHz/24ビット)
いわずもがなの天下の名曲。ハイレゾ再生の黎明期に192kHz/24ビット形式でリリースされた時は、アメリカのHDtracksとe-onkyo musicでダウンロードし、音質を比較したものだ。Qobuzのストリーミングは、私が記憶していた、かつてのダウンロード音源より、音ヌケのクリアーさ、上質感などの点でさらなるハイレゾらしさが感じられた。右チャンネルのギターのリズムの躍動、センターのソロヴォーカルとコーラスの濃い絡み、リードギター・リフの陶酔、バスドラムスの規則正しい偉容な響き……まさに、われわれが名曲「ホテル・カリフォルニア」に抱くイメージが、格段にハイクォリティなサウンドで改めて体験できた。フィナーレのグレン・フライとドン・フェルダーのむせび泣くツインギターのハーモニーには震えた。かつての名曲がハイレゾの優れた音楽性で再度体験できるのは、なにものにも替えがたい喜びだ。
「ビリー・ジーン/マイケル・ジャクソン」(176.4kHz/24ビット)
冒頭のドラムスとベース、パーカッション、シンセの合奏が、たいへんクリーン。センターのマイケルの小刻みに震えるヴォーカルと左右のコーラスが、精妙なハーモニーを聴かせる。セパレーションに優れ、左右に拡がった音場の中でバンドとコーラスの音像が、リジッドに定位。オルガン、ストリングの悠々たる旋律と高速ヴォーカルとの対比が鮮やか。進行とともに、新しい楽器が加わり、声も増え、音数が激増するが、それらがきちんと音情報を保ちながら、盤石の安定感と実存感でビートを刻む。まさにハイレゾの醍醐味だ。
「カム・トゥゲザー(2019Mix)/ザ・ビートルズ」(96kHz/24ビット)
「シュ!」(Shoot meの意)のジョンの叫びが、実にリアル。ヴォーカルも音像も鋭角的だ。低音の実存感が雄大なピラミッド的な周波数構造の中で、ポールのベースが豊麗で、リンゴのバスドラムとのシンクロが小気味よい。リミックス&リマスター音源のハイレゾ的な効果は実に大きく、ヴォーカルの輪郭と中味の緻密さ、音場の透明感、ジョンとポールのハーモニーの美しさに改めて感動した。本作はまさに20世紀の音楽遺産だと強く感じさせてくれる。まさにハイレゾの力だ。
「スプリング春1(2012)/マックス・リヒター」(44.1kHz/24ビット)
ヴィヴァルディ「春」の現代的翻案。春の断片的なフレーズがオルガンと低弦の雄大な流れを背景に、まるで小鳥のさえずりのように立ち上る。音数が非常に多いが、混濁せずに、透明ですがすがしい響きを保っている。その意味では、ハイレゾ再生を前提にして、プロデュースされた作品といっても過言ではないだろう。アコースティック楽器の多編成による音響的な多彩が、Qobuzで本作を聴く醍醐味だ。
https://open.qobuz.com/playlist/26047084
連載で紹介した音源のプレイリストは上のQRコードからアクセスできる。ぜひQobuzのアカウント登録を行ない、貴方のオーディオシステムで体験していただきたい
結論
Qobuzは、高音質にして価値あるハイレゾサブスクサービスだ
リン360 EXAKT SYSTEM+Qobuzストリーミングは楽曲が持つ本質と魅力を、たっぷり味わわせてくれた。Qobuzはまさに高音質にして、価値あるハイレゾサブスクだ。ここでご紹介した音源が読者諸兄の音楽生活に資すれば嬉しい。
>時代は変わった。Qobuz × LINN その最高の音を聴く!
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17738330
>本記事の掲載は『HiVi 2025年冬号』