我が家のリビングに100V型の液晶レグザ「100Z970M」が設置されて、早2ヵ月あまり。最初はそのあまりの大きさに驚き、圧倒され、正直言ってこの画面サイズに慣れるのかどうか、半信半疑だったが、まったくの杞憂だった。
【第一回:搬入編】はこちら ↓ ↓
リビング奥の壁際に、レグザ推奨のお洒落なラック(ADK/朝日木材加工製)と一緒にすっきりと収められたこともあって、見た目にも違和感がなく、生活動線も遮られることがない。大きな不安と共に迎え入れた巨大なテレビはいまでは生活の一部として、すっかり溶け込んでしまった。
100Z970M が入ったことの恩恵も少なくなかったが、予期していなかったような生活の変化もあった。もっとも大きかったのは、テーブル、ソファ、キャビネットと、各種家具の配置変更が強いられ、部屋の使い方が一変したことだ。
4K液晶テレビ REGZA「100Z970M」 実勢価格¥1,375,000(税込)
●画面サイズ:100V型
●パネル方式:4K Mini LEDバックライト液晶パネル
●パネル解像度:水平3840×垂直2160画素
●内蔵チューナー:4Kチューナー×2、地デジ×9、BS/110度CSデジタル×3
●映像処理エンジン:レグザエンジンZRα
●HDR信号対応:HDR 10+ ADAPTIVE、Dolby VISION IQ、HDR 10、HLG HDR
●音声実用最大出力(JEITA):60W(同時駆動)
●接続端子:HDMI入力4系統(HDMI2のみeARC/ARC対応)、ビデオ入力1系統、デジタル音声出力1系統(光)、LAN端子、USB端子4系統(タイムシフトマシン専用×2、通常録画専用×1、汎用×1)、ヘッドホン端子
●消費電力:541W(リモコン待機時0.4W)
●寸法/質量(スタンド含む):W2235×H1318×D500mm/75.5kg
AVラック ADK「W2400」
※FG-BX600B(¥60,500、税込)×4台とFG-BS1100B(¥27,500、税込)×2台の組合せ
これまでは70インチのテレビ、ソファ(2台)、ローテーブル、キャビネット、ダイニングテーブル(4脚の椅子含む)などが、20畳ほどのリビングにすべて収まっていた。ところが100Z970M を置いて、なおかつ快適に楽しめる視距離を確保するとなると、多少の配置換えでは対応できず、発想の転換が不可欠だ。
色々と考えた末に思いついたのが、ダイニングテーブル、椅子を隣接している和室(8畳)に移動して、リビングを100V型の専用シアターにしてしまうという大胆な配置転換だ。ダイニングテーブルは和室に3畳ほどのラグを敷いて設置し、基本、ここで3度の食事を摂る。
一方のリビングは100Z970Mの前にローテーブルとソファを置いて、100V型画面と対峙するというセッティングとして、キャビネットはその後ろの空きスペースに追いやることにした。これでスピーカー環境さえ整えれば、本格的なホームシアターが出来上がる、という作戦だ。
いまから約6年前、ここ山中湖に引っ越した時、基本的に家具類はその部屋に合わせて新調していることもあって、なかなかその配置を換えようという気分にはならなかった。今回、100Z970Mを迎え入れることで、強制的にインテリアの変更が強いられることになったわけだが、これが意外に居心地がよく、思わぬ恩恵が得られることとなった。
和室のダイニングテーブルからの景色はなかなか新鮮だし、すぐ近くで見る富士桜の花は、微妙な色の変化まで鮮明に感じられる。そして予想外だったのが、和室がダイニングに、リビングが100V型シアターに、それぞれ棲み分けがハッキリしたことで、そこで過ごす時間がより濃密なものとなり、いっそう楽しめる空間になったことだ。
特に映画、ドラマ、音楽ライブ、さらにはYouTubeと、100V型シアターで過ごす時間は知らず知らずのうちに大幅に延長、気がつけば深夜2時を回っているなんてことも……。楽しくて、ワクワクして、終わるに終われず、ついつい見続けてしまい、ベッドに入る頃には、カーテン隙間からうっすらと明が差し込み、「やっちまった」と後悔しても、すでに後の祭り。100Z970M の大画面インパクトは色々な面で、私の想像を大きく越えていたと言っていいかもしれない。
仕事場でもある専用シアター(山中湖ラボと呼んでいます)には150インチのシネスコスクリーンが常設されているため、大きな画面には慣れているつもりだったが、100V型のテレビはまたそれとは違った、別の魅力を持ち合わせていた。
その第一が、多彩なコンテンツを見ることの手軽さだ。仕事場ということもあって、様々な機材が持ち込まれる山中湖ラボでは、システムの連携はほとんどなく、機器単独での操作が基本だ。
例えば山中湖ラボでNetflixのドラマを見る場合、まずスクリーンを降して、プロジェクター、AVプリアンプ、パワーアンプ(3台)の電源をオン。さらに再生端末の「Apple TV 4K」からアプリを起動して、お目当てのコンテンツを選び、再生するといった具合だ。
これはこれで慣れているので特に苦にはならないが、リビングの100V型シアターとの比較となると、その不自由さ、仰々しさが浮き彫りになる。実際、映画鑑賞を始めるための一連の操作は、100Z970Mの附属リモコンひとつで対応可能。当然、Netflixのドラマだって、リモコンのダイレクトボタンと十字キーで素早く呼び出せる。
ワイヤレスネットワークスピーカー KEF「LSX II」 ¥198,000(ペア、税込、スタンド別売)
●型式:2ウェイ1スピーカー、ネットワーク/DAC/アンプ内蔵アクティブ型
●使用ユニット:19mmドーム型トゥイーター+115mmウーファー、Uni-Q同軸
●再生周波数帯域:49Hz〜47kHz(-6dB、85dB、1m)
●内蔵パワーアンプ:LF 70W+HF30W(左右合計200W)
●接続端子:HDMI(ARC/CEC対応)、USB Type-C、光デジタル音声入力、3.5mmアナログ音声入力、LAN端子、サブウーファー出力、他
●消費電力:200W(待機時2W)
●寸法/質量:H240×W155×D180mm/7.2kg
※別売スタンド:S1 Floor Stand¥43,780(ペア、税込)
オーディオ関連操作についても、テレビとの連携制御が可能になるHDMI CEC(Consumer Electronics Control)を利用すれば、テレビ附属のリモコンで電源オン/オフ、音量調整などの操作が可能。内蔵スピーカーと変わらない操作性が約束されるのである。
今回はHDMI ARC(CEC対応)を備えたKEFの小型ワイヤレススピーカー「LSX II」との組み合わせを試してみたが、これが実に快適だ。セッティングはまずLSXIIのL/Rchの電源を確保し、付属のUSB Type-Cケーブルで接続。後は100Z970Mとの間をHDMIケーブルでつなぎ、テレビ側のHDMI連動を設定するだけという手軽さだ。
テレビのリモコンによる音量調整については、操作時のタイムラグにイライラするケースも珍しくないが、今回の組み合わせではそうした違和感はほとんどなく、電源連動も完璧。サブメニューを開いて、内蔵スピーカーとLSX II(外部スピーカー)を切替えられるのも便利だ。
本格的なAVアンプと組み合わせれば、トップチャンネルまで備えたドルビーアトモス対応のサラウンドシステムであっても、テレビのリモコンで操作が可能。その気になれば、この手軽さ、快適さを諦めることなく、100V型の映像と7.2.6サラウンドシステムを組み合わせた本格的なホームシアターだって夢ではない、というわけだ。
YouTube、Netflix、Apple TV、Disney+などのネット動画サービスを視聴したが、100V型の4K映像と、音のクォリティ感、スケール感のバランスのよさが心地いい。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(Apple TV)の再生は、温かく、厚みがあるセリフが印象的だ。明瞭度の高いセリフを中心に、味わい深い重厚な響きが拡がり、音の躍動も確実、ていねいに描きあげていく様子も、聴き応えがある。
続いて「THE FIRST TAKE」(YouTube)からYOASOBIの「優しい彗星」を再生したが、歌い始める前にかすかに聴こえるかすかな衣擦れ、息づかい、ヘッドホン装着時のメカノイズなどなど、その気配の生々しいこと。
「フゥー」と息をはいて、ikuraがささやくように歌い始めるが、その声は徐々に勢いが増して、知らず知らずのうちにその世界に引き込まれていく。収録現場の気配、雰囲気まで感じさせる、一発撮りの醍醐味をダイレクトに体感できるサウンドだった。
画質も負けていない。フォーカス、コントラスト、S/Nと、いずれもハイレベルの緻密な描写で、発色のバランスもニュートラルだ。そうとうきめ細かな部分制御を行なっているため、字幕が表示されても映像のコントラスト感は変動することはなく、安定感がある。
ここで注目したいのが、背景のバンディングノイズがほとんど気にならないことだ。「THE FIRST TAKE」に付きものの階段状のノイズを抑えつつ、肌、髪のグラデーションが滑らかで、衣装の生地の質感、ディテイルを鮮明に描きだしている。目障りなノイズを抑えつつ、微小信号を積極的に拾い上げていくという攻めの絵作り、まさにレグザ伝統の画像処理技術のなせる技、である。
「タイムシフトマシン」や「ざんまいスマートアクセス」 100Z970Mの録画機能を使いこなす
そして外付けHDDで地デジを最大6チャンネル分録画できる「タイムシフトマシン」、よく見るジャンルや推しのタレントの録画番組・ネット動画をシームレスで楽しめる「新ざんまいスマートアクセス」、検索なしで好みのジャンル・タレントに関する番組を自動表示する「みるコレ パック」等々、当然ながら、100V型でもレグザ自慢の多彩な機能性は健在だ。
今回、日常的にリビングで使ってみて、その利便性の高さを再認識したが、とりわけリモコン中央に専用ボタンが配置された「過去番組表」「シーンリスト」「始めにジャンプ」の3つの機能については、もう後戻りするのは難しいほど、クセになると痛感した。
EPG画面(過去番組表)からそのまま再生がスタート。シーンリストでニュースの内容やライブシーンの曲名などを表示させて、そのパートを一瞬で呼び出して、再生(対応番組に限る)。さらに視聴中「いまなんて言った?」「ちょっと退屈……」という時には、戻し/送りも自由自在だ。どれもテレビの常識を覆す画期的な機能提案と言っても大袈裟ではない。
ネット動画にすっかり慣れ親しんでしまった現在、オンエアの放送でもついつい「ちょっと戻して」と感覚的に思いがちだが、当然ながら、普通のテレビでは願いが叶わず、断念。そのストレスを感じさせない優れた機能性と、素早く反応する操作性は、まさにレグザワールドの特権と言えるだろう。
話は尽きないが、100V型のテレビ、100Z970Mがリビングに入ったことで、我が家の生活は大きく変わり、私も妻も、この暮らしにすっかり馴染んでしまった。6月いっぱいで100Z970Mは撤収予定だが、はたして前の生活スタイルに戻れるのかどうか、正直言って自信がない。どうしよう、悩ましい。