1991年に日本公開され、アカデミー賞やゴールデングローブ賞にも輝いたリドリー・スコット監督の大ヒット映画が、4K化のうえ劇場で復活する。ジーナ・デイヴィスとスーザン・サランドン双方の代表作であり、ブラッド・ピットの出世作にも数えられる『テルマ&ルイーズ』だ。
「とにかくだだっ広い」としか言いようのないアメリカのある地域で繰り広げられる物語だ。スーザン扮するヘビースモーカーのウェイトレスであるルイーズと、ジーナが扮する、なんとなく満ち足りていない主婦のテルマは友人どうし。気分転換というわけか、ふたりでドライブ旅行に出発する。途中、バーに立ち寄ったまではテンポが良かったが、チャラ目の男に声をかけられたことをきっかけに、物語は「悪魔の力」に引っ張られていく。その男は、ルイーズが場所を離れたすきにテルマをレイプしようとした。それを発見したルイーズがやめさせようと説得(といっていいだろう)するが、男はさらに下品さをエスカレートしていくばかりので、ルイーズは引き金を引く。彼女にはレイプされた過去があり、絶対に見逃せる行為ではなかったのだ。
ここにルイーズとテルマは、「お尋ね者」となり、警察に指名手配もされ、それなら逃げ切ってしまえとばかりに車のアクセルをふかし、逃走資金が必要だからさらに悪いこともして、ブラッド・ピット演じるJ.D.とも出会い、テルマの夫は「俺の妻が犯罪者だなんて」何が何やらわけがわからず……。しかしテルマとルイーズは刹那的なまでにあらゆることに体当たりしていて、物語が進むにつれて「バディ感」もさらに増して、最後のほうはカーチェイス、爆発、ジャンプ等の要素がてんこ盛り、しかもそれが4Kによるリマスターで、ひたすらヴィヴィッドに迫ってくるのだ。
テレビはブラウン管だし、スマートフォンは存在しない。なので「今の映画ではないな」と気づいてはくるのだが、安定よりも刺激に心を奪われるタイプのひとが見れば、ここに描かれているのは、一種の「普遍」であることに気づくだろう。
映画『テルマ&ルイーズ 4K』
2月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ ほか全国順次公開
監督・製作:リドリー・スコット 製作:ミミ・ポーク・ギトリ 脚本:カーリー・クーリ 撮影:エイドリアン・ビドル 音楽:ハンス・ジマー
出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、ハーヴェイ・カイテル、マイケル・マドセン、ブラッド・ピット
1991年/アメリカ/129分/THELMA&LOUISE/カラー/シネスコ/5.1ch 配給:アンプラグド
Thelma & Louise (C) 1991 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.