二人のノーベル平和賞受賞者、ダライ・ラマ法王とデズモンド・ツツ大主教の対談を中心に構成された一作。ツツ大主教は21年に亡くなっているので、もうこの対談は実現し得ない。非常に貴重な90分を体験することができる。

 私がツツ大主教のことを覚えたのは、多くの音楽ファン同様、マイルス・デイヴィスのアルバム『TUTU』(1986年)を通じてだった。もっともこの作品はアルバム・タイトルが二転三転して最終的に『TUTU』になっており、マイルスがどのくらい大主教のことを知っていたか、関心を寄せていたかには不明なところもあるのだが、とにかくツツという名はこれで大いに広まったはずだ。アパルトヘイトの撤廃に尽力し、96年にはネルソン・マンデラによってアパルトヘイト期の人権侵害の実態を解明する真実和解委員会の委員長に任命された偉人である。

画像: ダライ・ラマ法王とデズモンド・ツツ大主教の対談を中心に構成された貴重な一作『ミッション・ジョイ』

 法王も大主教も英語が母国語というわけではないが、英語は好き嫌いにかかわらず他国の者とコミュニケーションをとるための必須ツールであるので、当然ながら両者も英語で語り合う。どうしても英単語の出ない場合は側近に母国語で尋ねるが、ふたりとも、相手の表情、身振りを本当に見つめて、自分も積極的にボディ・ランゲージを交える。二人の関係を実に的確に評する大主教の娘、ムボ・ツツ(ロンドン生まれ、オランダ在住)の存在も、映画の良き潤滑油となっている。監督と製作総指揮はルイ・シホヨス、共同監督とプロデューサーと製作総指揮はペギー・キャラハン。

映画『ミッション・ジョイ ~困難な時に幸せを見出す方法~』

1月12日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー

監督:ルイ・シホヨス 共同監督:ペギー・キャラハン
出演:ダライ・ラマ14世、デズモンド・ツツ 他
プロデューサー:ペギー・キャラハン、マーク・モンロー 製作総指揮:ダーラ・K・アンダーソン 他 配給:ユナイテッドピープル 
2021年/アメリカ/90分/ドキュメンタリー
(C)Miranda Penn Turin
(C)Tenzin Choejor

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