クエンティン・タランティーノの監督第1作にして、出世作となった古典『レザボア・ドッグス』がデジタル・リマスターのうえ、1月5日(金)から新宿ピカデリーほかにて劇場公開されることになった。

 ジョーという男がリーダーとなって集めた、互いの素性を知らない6人の男たちを中心とする物語。彼らには「宝石店強盗」という目的があり、それに際して大いに気持ちを合わせる必要があった。だが、緻密に計画し、意気込んだはずだったのに、結果は思い通りにならず。命からがら集合場所に戻ってきた各人は、疑心暗鬼のかたまりと化していた。仲間割れだ。ここから始まる、残酷であると同時に、深いペーソスを感じさせる、一種の「処刑」が始まる。

 私はこの映画をほぼリアルタイムで体験し、ついでに“Reservoir”(貯水池)という言葉を知ることになるのだが、今回、「こんなに言葉数の多い(会話シーンの多い)映画だったのか」、「こんなにFワード(注:罵詈雑言)が飛び交っていたのか」と発見を新たにし、すでにこの段階にして「ガラスの割れ方」、「血の吹き出し方」、「こだわりを感じさせる楽曲の、絶妙なタイミングでの挿入」などの、タランティーノ美学というべきものが光り出していたことに唸らされた。

画像: タランティーノの監督第1作が、初公開から30数年を経て、デジタル・リマスター版でリバイバル上映

 出演はハーベイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、クリス・ペン、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・ティアニー、カーク・バルツ、エディ・バンカー他。タランティーノもしっかり登場し、マドンナの楽曲に実に興味深い洞察を加えたしゃべりを披露している(彼は脚本も担当)。

 アメリカでは1992年、日本では1993年に公開された作品。これほど生々しく暴力シーンが描写されることなど、もう今後の映画界では限りなくゼロに近いかもしれない。30年前の映画が持っている「圧」を、ぜひスクリーンで体験していただきたい。

映画『レザボア・ドッグス デジタル・リマスター版』

2024年1月5日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ プロデューサー:ローレンス・ベンダー 製作総指揮:リチャード・N・グラッドスタイン、ロンナ・B・ウォーレス、モンテ・ヘルマン 共同プロデューサー:ハーヴェイ・カイテル 撮影監督:アンジェイ・セクラ 美術デザイン:デヴィッド・ワスコ 衣装デザイン:ベッツィ・ヘイマン 音楽監修:カリン・ラットマン 編集:サリー・メンケ

出演:ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、クリストファー・ペン、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・ティアニー、カーク・バルツ、エディ・バンカー、クエンティン・タランティーノ

1992|アメリカ|99分|スコープ|原題:RESERVOIR DOGS|字幕:齋藤敦子|キングレコード+ハピネット・メディアマーケティング共同提供|鈴正+フラッグ共同配給 PG-12
(C)1991 Dog Eat Dog Productions, Inc. All Rights Reserved.

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