「ノセボ(効果)」は、「プラシーボ(効果)」の反対語だ。つまり、暗示が悪いほうに働く。
主人公は、今をときめくファッションデザイナーのクリスティーン。アイルランドのダブリンで、夫・娘と恵まれた暮らしを送っている。現場では多くの労働者が過酷な条件で働いているが、うわずみをすくって華やかな毎日を送っているのは、クリスティーンである。が、ダニに寄生されたことをきっかけに彼女の体調不良が始まり、人生に影が増してゆく。そうしたとき、ダイアナと名乗るフィリピン人の乳母が「あなたから要望があったので」という感じでクリスティーンを尋ねてきた。そんな案件、私は頼んだろうか? と一瞬けげんに感じたが、体調が悪いので判断もおろそかになって、やがてダイアナは住み込んで、クリスティーンの娘とも親しくなる。ここから徐々に「ダイアナがやってきた理由」が明らかになっていくのだが、整然としたストーリー構成、そして「こうだからこうなって、ゆえにこのように結実する」といいたげなロジカルな展開には思いっきり唸らされた。ひじょうにネタばらしをしたくなるような、そんな作品であると感じた。
監督は前作『ビバリウム』も評判を呼んだロルカン・フィネガン。クリスティーンにはティム・バートン監督作でおなじみのエヴァ・グリーンが扮し、フィリピン出身のシンガーソングライターであるチャイ・フォナシエがダイアナ役で強烈な印象を残す。アイルランド・イギリス・フィリピン・アメリカ合作映画。
映画『NOCEBO/ノセボ』
12月29日(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
出演:エヴァ・グリーン、マーク・ストロング、チャイ・フォナシエ、ビリー・ガズドン
監督:ロルカン・フィネガン
脚本:ギャレット・シェインリー
音楽:ホセ・ブエンカミーノ
編集:トニー・クランストン
撮影:ラデク・ラドチェック、ジャクブ・キヨフスキ
衣装デザイン:レオニー・プレンダーガスト
プロダクションデザイン:ルーシー・ヴァン・ロンクハウゼン
配給:クロックワークス
2022年|アイルランド・イギリス・フィリピン・アメリカ|カラー|ヨーロピアンビスタ|5.1ch|97分|英語|日本語字幕:平井かおり|原題:NOCEBO|レイティング:G
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