『ハンガー・ゲーム』シリーズの第5弾にして最新作。それだけで胸が高鳴るファンも多いことだろう。ハンガー・ゲームとは、国家パネムの首都キャピトルに反乱を起こした12の地区を戒めるための催しで、毎年各地区から少年少女が1名ずつ選ばれ、最後の1人になるまで殺しあう。パネムは長年、老獪なスノー大統領によって支配されており、いうまでもなく、彼は独裁者だ。
そこでこの『ハンガー・ゲーム0』(原題;The Hunger Games:The Ballad of Songbirds & amp;Snakes)なのだが、私が勝手に副題をつけるなら「スノー青年、汚れへの道程」ということになる。誰だっていきなり老人で生まれてくるわけでもないし、他人を支配する気まんまんで生まれてくるわけでもないだろう。スノーも若いころは変哲のない青年だった。家は貧しかったが素直に育ち、いろんなことで悩んだり、恋をしたり、他人に共感もしてきた。その彼が最終的に「ハンガー・ゲームは必要だ」と言い切るまでの間に何があったのか、それに迫るのがこの映画の150数分だ。歌の得意な少女、ルーシー・グレイの存在感も大きい。
スノーにはトム・ブライス、ルーシーにはレイチェル・ゼグラーが扮する。Netflixで配信されている『マ・レイニーのブラックボトム』で、伝説のブルース歌手マ・レイニーに扮していたヴァイオラ・デイヴィスが演じる「ゴール博士」は、まさに怪演と呼ぶにふさわしい。監督・製作フランシス・ローレンス、原作・製作総指揮スーザン・コリンズ、脚本マイケル・レスリー、脚本マイケル・アーント。
映画『ハンガー・ゲーム0』
12月22日(金)より、TOHO シネマズ日比谷 他にて全国ロードショー
監督:フランシス・ローレンス 脚本:マイケル・レスリー、マイケル・アーント 原作:スーザン・コリンズ「ハンガー・ゲーム0 少女は鳥のように歌い、ヘビとともに戦う」(KADOKAWA 刊) 製作:ニーナ・ジェイコブソン、ブラッド・シンプソン、フランシス・ローレンス
出演:トム・ブライス、レイチェル・ゼグラー、ピーター・ディンクレイジ、ハンター・シェイファー、ジェイソン・シュワルツマン、ジョシュ・アンドレス・リベラ、ヴィオラ・デイヴィス
2023年/アメリカ/157分/スコープサイズ/5.1ch/原題:THE HUNGER GAMES:THE BALLAD OF SONGBIRDS &SNAKES/字幕翻訳:石田泰子
配給:KADOKAWA
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