第8回となる「リン・サラウンド体験記」は、名古屋・栄にあるKさん宅を訪問した。引っ越しを機にAVシステムをフルリニューアル、KLIMAX DSM/3を核とする4.0ch構成のサラウンドシステムに120インチスクリーンと4Kプロジェクターを組み合わせ、映画や音楽を楽しまれているという。KさんがAVに目覚めたきっかけから、このシステムに行き着くまでの経緯、リンによるサラウンドシステムの魅力まで詳しくお聞きした。

 Kさん宅は、名古屋・栄の高層マンションの上層階にある。エントランスをくぐって、エレベーターでKさん宅まで上がると、ここが名古屋最大の繁華街であることを忘れてしまうほど静かだ。リビング北側の壁一面に大きな窓が設けられており、窓の外には栄のランドマークであるテレビ塔や、豊かな緑が生い茂るセントラルパークが見える。

 

画像1: 「シンプルで音がいい」を叶えるリンの美しいサラウンドシステム【リン・サラウンド体験記】

窓の幅に合わせてオーダーメイドされたラックに、Kさん宅システムの司令塔であるリンKLIMAX DSM/3とパワーアンプKLIMAX TWINが並ぶ。KLIMAX TWINは、横に見えるフロントスピーカーのピエガCoax 611の駆動用だ

 

 

K邸の主な使用機器
●プロジェクター : ソニー VPL-XW7000
●スクリーン : キクチ ホワイトマットアドバンス(120インチ/16:9)
●4Kレコーダー : パナソニック DMR-ZR1
●ネットワークプレーヤー+ヘッドユニット : リン KLIMAX DSM/3
●パワーアンプ : リン KLIMAX TWIN(L/R用)
●スピーカーシステム : ピエガ Coax 611(L/R)、リン520(Ls/Rs)

 

画像2: 「シンプルで音がいい」を叶えるリンの美しいサラウンドシステム【リン・サラウンド体験記】

オーダーメイド家具ブランドのDOUGUとNEXTのコラボによって作られたオリジナルラックは、KLIMAX DSM/3のサイズに合わせて設計されており、人工大理石の色味はKLIMAX DSM/3のシルバーアルマイトとよく馴染んでいる

 

 

 この窓の足元に沿って、高さ約35cm、横幅約3mのラックが設置されており、天面中央の凹んだ部分にリンKLIMAX DSM/3とKLIMAX TWINが鎮座している。その収まりの良さ、人工大理石を使った味わい深い仕上げから見ると、このラックが両機を迎え入れるためにしつらえられた特注品であることは間違いなさそうだ。

 「本当のことを言うと、ここまでのシステムを組むつもりはなかったんです。でも、実際に音を聴いてしまったら後戻りできなくなってしまい、導入を決めました」

 そう言って気さくに笑うKさんは、現在50代後半。2023年の3月にこのマンションに引っ越して来て、約半年が経過したところだ。KLIMAX DSM/3を核としたシステムのお話に入る前に、AVに目覚めたきっかけからお聞きした。

 「高校時代にTOTOやクイーンを聴いて洋楽に目覚めました。それまでは小さなラジカセしか持っていなかったのですが、もっと良い音で音楽を聴きたいと思い、ヤマハ製品を中心としたコンポーネントを買い揃えました。スピーカーは3ウェイのNS-1000だったと思います。その後、大学時代にVHSやLDで映画を観るようになり、少しずつホームシアターと呼ばれるようなシステムを構築していきました。ここへ引っ越して来る前は、ヤマハのセパレート型AVセンターにB&Wのスピーカーを組み合わせて7.1chサラウンドを実践していました」(Kさん。以下の発言すべて)

 Kさんとリン製品との出合いは、今回が初めてではない。1990年代にはAVプリアンプのAV5103とユニバーサルプレーヤーのUNIDISK SCを組み合わせて使っていたほか、数年前にはネットワークプレーヤー+プリメインアンプのMAJIK DSMも使っていたことがあるそうだ。

 「オーディオやAVは好きですが、たくさんのコンポーネントを複雑に組み合わせることは苦手なんです。できるだけシンプルに、見た目も美しくシステムをまとめたい。だからリンのコンセプトには以前から共感していました。音がいいのはもちろん、どの製品も斬新でオリジナリティに溢れていて、同時にシンプルであること、スマートであることが徹底されている。それに加えて、プロダクトデザインの美しさ。どの製品も、とにかく外観が綺麗で洗練されている。どうせ長く使うなら、ずっと眺めていたくなるような機器を使いたいですから」

 新システムの導入にあたってKさんが相談したのは、名古屋のインストーラーショップNEXTの勝野陽介さん。2021年にマンションの契約をした直後から、AVシステム構築のための打合せを始めたという。当初はSELEKT DSM:Edition Hubをベースとしたモデルを検討しており、ネットワーク+プリアンプのSELEKT DSM-EMO(※1)と、ネットワーク+プリメインアンプのSELEKT DSM-EOA(※2)を比較試聴。SELEKT DSM-EMOにパワーアンプのKLIMAX TWINを組み合わせた音が気に入り、ほぼ気持ちを固めていたのだが「せっかくだから聴いてみますか」とすすめられたKLIMAX DSM/3を聴き、気持ちが一変した。

 「価格もグンと上がるのでとても迷いましたが、それだけの価値のある音だと思ったんです。最初にお話ししたように、この音を聴いてしまったらもう後戻りはできない(笑)。それで思い切って導入を決めました」

 ラックは、愛知県日進市の家具ブランド・DOUGU(ドウグ)と勝野さんの共同設計による造り付け品のこと。KLIMAX DSM/3とKLIMAX TWINだけを際立たせて見せる意匠により、「できるだけシンプルで美しいシステムを」というKさんの要望に応えている。

※1 SELEKT DSM-EMOは、SELEKT Edition Hub+Mono ORGANIK DAC Module+Mono Line Output Moduleの構成品
※2 SELEKT DSM-EOAは、SELEKT Edition Hub+Stereo ORGANIK DAC Module/Power Amp Output Moduleの構成品

 

Kさん宅のシアタースペース後方。壁面上部にソニーの4KプロジェクターVPL-XW7000のレンズ部が、ソファの後ろにEXAKTスピーカーのリン520が見える

 

リン520の表面を覆うファブリックはスタンダード仕様の5色以外にも様々なバリエーションが用意されており、Kさんはスコットランドの国花であるアザミをモチーフにした「Thistle」をチョイスされている

 

 

フロントスピーカーはKLIMAX TWINで、サラウンドはEXAKT LINKで鳴らす

 フロントスピーカーの選択については、「何よりもまず、スペースの問題を最優先に考えざるを得なかった」と語るKさん。写真を見ていただければ分かるように、Kさん宅のシアタースペースは約14.5㎡(約8.5畳)と決して余裕たっぷりのスペースではない。スピーカーは自ずと窓の両脇に置くことになるため、細身のトールボーイスピーカーであることを前提条件に候補となるモデルを探した。

 「はじめはB&Wの800 Series Diamondを考えていたのですが、このスペースに置くにはサイズが大きく、デザイン的にも主張が強すぎる。それでピエガのCoax 611を選びました。以前、とあるイベントでブックシェルフ型のCoax 411を聴いたことがあり、その時の印象はそれほど記憶に残るものではなかったのですが、NEXTさんでKLIMAX TWINと組み合わせた音を聴いたら、これが素晴らしくて。スマートなシルエットも含めて、これしかないと思い、Coax 611に決めました」

 スペースの問題もあり、当初は「しっかりと2chの音が出るなら、無理にサラウンドは加えなくていい」と考えていたKさんだが、結果的には2ウェイのEXAKTスピーカー520を導入することに。ソファ後方にちょうどいいスペースが確保できたこと、外観がファブリックで覆われ、スピーカー然とした主張がないこと、そしてEXAKT LINKによりサラウンド用のアンプを用意することなく、KLIMAX DSM/3と直結できることが520を選ぶ理由となった。ファブリックは、スコットランド「ティモラス・ビースティーズ」によるオプション品で、スコットランドの国花「アザミ」を美しくプリントされたファブリックを装着している。

 「新居の様子を見に友人がたびたびやって来るのですが、皆これがスピーカーだと言うとびっくりします。できるだけマニアックな要素を表面に出さないよう気をつけたので、そういう反応はとても嬉しいですね」

 120インチのスクリーンは、ラックと同じくDOUGUと勝野さんのコラボレーションによる特注のボックスに収められている。キクチのスクリーンもカスタマイズ品で、造り付けのラックに干渉しないように幕面下の黒マスク部分を短くしたカスタマイズ仕様となっている。「このスペースで120インチが実現できるとは思いませんでした。無理難題に応えていただき、勝野さんには頭が下がります」とKさんは振り返る。

 

画像5: 「シンプルで音がいい」を叶えるリンの美しいサラウンドシステム【リン・サラウンド体験記】

ラック内部にはパナソニックDMR-ZR1やApple TV 4Kのほか、サイレントエンジェルのミュージックサーバーZ1 Plus、光城精工の仮想アースCrystal E-Gなどが並ぶ。Apple TV 4K用LANケーブルにはエイムのNA9を使用している

 

画像6: 「シンプルで音がいい」を叶えるリンの美しいサラウンドシステム【リン・サラウンド体験記】

ラック左側には、リン以外の機器に使用するPSオーディオのクリーン電源P15、ネットワーク機器に使用するエディスクリエーションのスイッチングハブSILENT SWITCH OCXO JPSMと光絶縁ツールFIBER BOX 2 JPSMが収納されている

 

画像7: 「シンプルで音がいい」を叶えるリンの美しいサラウンドシステム【リン・サラウンド体験記】

ソニーVPL-XW7000は、壁面をくり抜いて作られたスペースに収納。NEXT勝野さんのインストーラーとしての腕とセンスが光る

 

 

8.5畳のスペースを最大限に活かすため、リンの先進的な技術が貢献している

 新居で暮らし始めて間もないタイミングでの取材だったが、2chの音楽とマルチチャンネルの映画を毎晩のように楽しんでいるというKさん。ソースはいずれもストリーミングが中心だ。以前の7.1chから現在の4.0chへとサラウンドシステムが変わったことで、映画は当初、好物のハリウッド大作や派手なアクションものを観ると低音が物足りなく感じることがあったそうだが、日が経つにつれてそれを充分に補う音の品位の高さを実感しているという。

 「KLIMAX DSM/3のボリュウムで言うと、音楽は50、映画は60の目盛りで再生すると決めているのですが、それ以上に音量を上げなくても作品の世界にどっぷりと浸かれる、深みのある再生は流石です。これまで親しんできた作品も感じ方がまるで変わります。インストールに際して、勝野さんにSPACE OPTIMIZATIONによる音場補正もお願いしたのですが、その効果も大きいと思います。オーディオとAVを趣味にしてきて、頑張ってこのシステムを揃えて『報われたなぁ』と感じる日々です」

 2023年4月、リンは新世代フラッグシップスピーカーの360を発表した。3つのラインナップのうち、360 EXAKTは今号のHiViグランプリでは〔ブロンズ・アウォード〕を獲得。仕様も価格も超弩級の製品だが、Kさんにこの話題を振ってみると、このような答えが返ってきた。

 「もちろんフルEXAKTのサラウンドには興味がありますが、残念ながら我が家にはあのサイズのスピーカーを受け入れるだけのスペースがありませんね……。ただ、フロントスピーカーまわりのグレードアップは実現したいと思っています。具体的にはパワーアンプをステレオのKLIMAX TWINからモノーラルのKLIMAX SOLOに替えたいと思っていて。そうなってもいいように、ラック天面の凹んだスペースはKLIMAX SOLO2台とKLIMAX DSM/3を横並びに設置できるよう、あらかじめ余裕のある設計をしてもらっているんです。数年後に実行できれば、と思っています」

 EXAKT LINKによるKLIMAX DSM/3と520の直結でハードウェアとしてのパワーアンプを省略し、SPACE OPTIMIZATIONによる音場の最適化により限られたスペースを有効活用しながら、フロントスピーカーはバイアンプ接続による音質強化を目指す。リンの先進的な技術と拡張性の豊かな製品ラインナップに刺激され、Kさん宅のシステムは今後も着実にアップデートを重ねていくに違いない。

 

画像: カーテンはスイスのファブリックブランド、クリエーションバウマンの生地を使用。スクリーンは夜間の使用が多いことから、遮光性よりも風合いを優先した生地が選ばれている。カーテン越しに名古屋・栄の夜景がぼんやりと見える

カーテンはスイスのファブリックブランド、クリエーションバウマンの生地を使用。スクリーンは夜間の使用が多いことから、遮光性よりも風合いを優先した生地が選ばれている。カーテン越しに名古屋・栄の夜景がぼんやりと見える

取材にご協力いただいたインストーラー
●NEXT ☎︎052(757)3355 URL : https://www.next-yk.co.jp

 

本記事の掲載は『HiVi 2024年冬号』

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