ペーソスのかたまりと呼びたくなる一作だ。監督・脚本・編集は団体「俺は見た」の八木橋努が務める。演劇として評判を集めていた作品の、待望の映画化。「さまざまな人々が共生する日本での公開にあたって、英語字幕付きで上映する」という対応も、ひじょうに良心的だ。

 登場人物は、とにかく人間臭い。「きついなあ」「ずるいなあ」「欲深すぎじゃないの」というような態度や口調をするキャラクターもいる。が、ふりかえって自分はどうか?と 考えたときに、あながち1パーセントも彼らと相反するところがないとはいえないから、必然的に内省して、むずがゆくなる。そして「俺だって、きつくあたるところはあるし、ずるいところし、慾のすごく深いところもあるよなあ」という心境へと導かれてゆくのだ。

画像: 欲望、摩擦、齟齬、その先にあるものとは……。劇作家、八木橋努が「人間の業」のようなものを描く『他人と一緒に住むという事』

 繰り返すが登場人物は、とにかく人間臭い。「海外留学を考えている女性美容師」、「酒場でアルバイトする男性役者」、「かつてはそれなりの位置にあったが、今では旧知を訪ね歩いてカネを無心する中年男性」、「大きく年の離れた女性と再婚したが、まだ一緒には暮らしていない社長」、「震災で住みかを失い、社長宅に住み込む若手男性従業員」、「彼氏でもないのに女性宅で同居している幼なじみの男性」、「元・女王様」など、みな、キャラが濃い。しかも誰かが必ず誰かと結びついているので、見ているうちに頭の中でごく自然に相関図ができてゆく。

 そして、物語が進むにつれ、この群像劇が、なぜ『他人と一緒に住むという事』というタイトルなのかが見えてくる。加えて、芦那すみれが演じる、考えようによっては“魔性”である「リコ」のクールな存在感は尋常ではない。すでに第11回リッチモンド国際映画祭やキプロス国際映画祭でも好評を博した本作は、12月2日よりシアター・イメージフォーラムほかにて公開される。

映画『他人と一緒に住むという事』

12月2日よりシアター・イメージフォーラムで公開
監督・脚本:八木橋努
配給:群像
(C)群像

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