先日、クリエイティブメディアから、新しいBluetoothオーディオコーデック「LE Audio」に対応するワイヤレスヘッドホン「Creative Zen Hybrid Pro」シリーズ3タイプが発売された。製品の特徴と、基本的な音質チェックは、ニュース記事で紹介しているので、ここでは注目のLE Audioコーデック(LC3)を使ったインプレッションを簡潔にお届けしたい。

画像: クリエイティブメディアのワイヤレスヘッドホン「Creative Zen Hybrid Pro」で、LE Audioを体験。音質はSBCよりも大幅にアップ。注目の「ブロードキャストモード」は、利便性は良い

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 さて、LE Audioオーディオに対応した製品(ワイヤレスイヤホン/ヘッドホン)としては、将来のアップデートで対応しますよ、というレディモデルが、ソニー、JBL、SOUNDPEATSなどからいくつか発売されているが、実際に動くものとしては、おそらく国内では、今回取り上げるクリエイティブメディアのワイヤレスヘッドホンが最初なのではないかと思う。

 ということもあり、製品パッケージでは、LE Audioを発信(送信)するUSBタイプのトランスミッター「Creative BT-L3 Bluetooth LE Audio」が付属する「Creative Zen Hybrid Pro Classic」が用意されている。今回のテストでは、その「~Classic」と、ヘッドホン単体の「Creative Zen Hybrid Pro」を借用してテストを行なっている。

 まずは、ノートパソコンとヘッドホンをSBCコーデックで接続して、基本の音質をチェックした。ハイレゾから、動画配信までいくつかのコンテンツを試してみたところ、SBCということもあり、再現性はそれなりなのだが、低域にはほどよい力感があり(それほど出しゃばって来ない)、レンジも音場感もかなり狭いが、ボーカルは聴きやすくまとめられている。動画コンテンツでも、セリフにはボディ感があり、感情のニュアンスも感じ取りやすい。が、SBCであるだけに遅延は相当にある。いっこく堂の芸を見ているようだ。

 次に、LE Audioの基本音質をチェックしてみた。付属のUSBトランスミッターをノートパソコンのUSBポートに挿して、ヘッドホンとペアリングすればOKなのだが(端子は、USB Type-C)、ボタン操作だけでLE Audioの特徴でもある、複数の機器に送信できる「Auracast」という機能=モード名としては「ブロードキャスト(BIS)モード」への切替えを行なうのに難儀したので、クリエイティブメディアの製品向けアプリ「Creative App」をインストールして、アプリを使って、Creative BT-L3 Bluetooth LE Audioのモード切替えを行なった(ブロードキャストのオン・オフ)。気を付けたいのは、アプリをダウンロードする際、対応製品の項目に、今回使用のCreative Zen Hybrid ProやCreative BT-L3 Bluetooth LE Audioが入っていないので、他の適当な製品を選んでいること。シリアル番号の入力を求められることはないので、USBスピーカーなどを選ぶといいだろう。

画像: ▲USBトランスミッター「Creative BT-L3 Bluetooth LE Audio」。LEDの発光(?)が弱く、斜めからだと光が見えず動作状態の把握が難しい

▲USBトランスミッター「Creative BT-L3 Bluetooth LE Audio」。LEDの発光(?)が弱く、斜めからだと光が見えず動作状態の把握が難しい

画像: ▲「BT-W5」。こちらはLEDの発光がよく見え、動作状態が把握しやすい

▲「BT-W5」。こちらはLEDの発光がよく見え、動作状態が把握しやすい

画像: ▲「Creative BT-L3 Bluetooth LE Audio」は「BT-W5」に比べ少しコンパクトになっている

▲「Creative BT-L3 Bluetooth LE Audio」は「BT-W5」に比べ少しコンパクトになっている

 通常のLE Audio(LC3コーデック)接続では、SBCに比べて、レンジも音場感も定位感も響き感も向上して、パッと華やかなサウンドになる。印象としてはaptX相当で、少し下ぐらいか。高域の再現性が増す分、上方の音空間が拡大し、抜けのよいサウンドとなる。定位感もおでこの当たりまで上がってきて、疑似SXFIぐらいの感覚は味わえる。Creative Zen Hybrid ProがaptXをサポートしていれば詳細は比較も行なえたが、未対応のため、経験からの印象となることは、お断りしておきたい。

画像: ▲アプリをインストールして起動すると、「BT-W3」を自動で認識してくれる

▲アプリをインストールして起動すると、「BT-W3」を自動で認識してくれる

 映像コンテンツもチェックしたが、遅延はほぼ感じないレベルになっていた。LE Audioには、より遅延を少なくした「ULL(ウルトラローレイテンシー)モード」という規格もあるのだが(今回テストした製品はサポートしているが、テストはしていない)、通常のLE Audioで特に問題はないと感じた。

 さて、ようやく本題となるブロードキャストモードのテストに入りたい。アプリの「ブロードキャスト」の項目をオン(バーをスライドする)にすればOK。テストした環境では、ヘッドホンとのBluetooth接続はそのままで、モードだけが切り替わるようになっていた。接続が切れた場合は、ヘッドホンの電源ボタンを2回押すと、ヘッドホン側が「ブロードキャストモード」に切り替わり、自動で接続するようになる。

画像: ▲一番下の「ブロードキャスト」の項目で切り替える

▲一番下の「ブロードキャスト」の項目で切り替える

 肝心の音質については、切り替えた瞬間にクォリティが大きく変化(低下)するのは感じられた。SBCまでは落ちないが、音質を判断するすべての要素が抑制される印象だ。ただしSBCよりはいいので、一台の再生機(送出機)のコンテンツ(音)を、複数の受信機(ヘッドホン/イヤホン/パワードスピーカー)へ再生できるという利便性はあるように思う。注意したいのは、パソコン側の音量(いわゆるマスターボリューム)が固定されてしまうこと。例えばMAXボリュームが100あるとして、マスターボリュームが20ぐらいになっていると、受けのヘッドホン側では、その20がマックスボリュームとなり、その範囲内でしか音量調整ができなくなる。パソコン側を100にしておけば、通常の使用と同じ感覚でヘッドホン側のボリューム調整は行なえるが、気を付けたいのは、ブロードキャストモードを切った(切り替えた)場合、ボリューム100(マックス)が残っていて、次に音楽を聴く時に爆音(マックス)が再生されてしまうところ。注意したい。

画像: ▲ノートパソコン側の音量の設定画面。ブロードキャストモードでは固定されてしまうので、ある程度大きめにしておくといいだろう

▲ノートパソコン側の音量の設定画面。ブロードキャストモードでは固定されてしまうので、ある程度大きめにしておくといいだろう

 ちなみに、2台目以降のヘッドホンの接続も簡単。予め、USBトランスミッターと一度ペアリングをしておけば、ヘッドホンの電源を入れて、電源ボタンを2回押して、ヘッドホン側のブロードキャストモードにすれば、すぐにつながってくれた。

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