JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)が主催する「CEATEC 2023」が昨日スタートした(10月21日まで。事前登録が必要)。「デジタルイノベーションの総合展示会」というテーマの下、様々な技術を駆使した展示が行われている。StereoSound ONLINEでは、千葉の幕張メッセ会場で見かけた気になるテーマを取材してきたので、以下でそれらについて紹介したい。(StereoSound ONLINE編集部)
AURACAST
Bluetoothの新しい使い方提案となる「AURACAST」も注目したい展示だ。これは、対応のトランスミッター(送信機)とレシーバー(受信機)を使うことで、Bluetoothでつながる多くの人(理論上は無制限)に声を届けることができるというものだ。
Bluetooth「LE Audio」の「パブリック・ブロードキャスト・プロファイル」を活用したもので、例えばお店のテレビの音声をAURACAST対応のトランスミッターで配信しておけば、同機能に対応したBluetoothイヤホンを持っているお客さんがその音を自分のイヤホンで楽しめるわけだ。
しかも複数のテレビがある環境で、それぞれの音声がAURACAST対応トランスミッターで配信されている場合は、お客さんはアプリなどで聞きたい音声を選ぶことで、興味のあるコンテンツを楽しめることになる。上記の通り電波が届く範囲であれば受信側の数は問わないので、お客さんが増えても問題はない。
この使い方はホールの講演会などにも応用可能で、マイクやスピーカーを使った大音量で再生しなくても、来場者が対応デバイスを持っていれば公演の内容をきちんと聞き取れることになる。もちろんホールの広さに応じてトランスミッターの数を増やすなどの配慮は必要だが、大事な内容が聞き取りにくかったという不満が解消されるのは嬉しい。
なお現時点ではトランスミッターが配信できるのは1種類の音声のみなので、複数の音声をAURACASTで配信したい場合は、その数のトランスミッターを準備する必要がある。
以上は業務用に向けた提案だが、この他に個人での使い方として小型トランスミッターも企画されている。USB接続BluetoothオーディオデバイスがAURACASTに対応できるそうで、それが実現したらPCやスマホで観ているコンテンツをAURACASTで配信、近くにいる友だちと共有できることになる。パスワードの設定も可能なので、他の人に内容を知られることはない。
最近はテレビの音を耳元で再生できるネックスピーカーなども登場しているが、これらは同時に使える数には制限があり、家族みんなで楽しむというわけにはいかなかった。AURACAST対応になればその問題も解消できるわけで、深夜の映画視聴にも有用になるだろう。
京セラ
京セラブースでは、マイクロLED、マイクロレーザーを実現するための独自基板と新工法を提案していた。
現在液晶テレビのバックライトなどでミニLEDが多く使われるようになっているが、同社が展示していたマイクロLEDはさらに小さなサイズで、高い光出力を得られるという。車のヘッドライトや透明ディスプレイ用としても応用できるとのことで、液晶テレビの画質向上にも恩恵がありそうだ。
同じく京セラブースには、高精細空中ディスプレイとして、ホログラム立体映像の展示も行われていた。こちらは独自設計のミラーを折りたたむように配置することで、光源の映像を複数回反射、本体内側のスペースに立体像を表示するものだ。昨年も同様の展示が行われておいたが、今回はその進化版としてさらに緻密な映像を再現していた。
AUDIO HEART
Hall7に設けられた千葉県のブース内に、オーディオハートの3Dサラウンドチェアスピーカーが展示されている。同社は昨年、千葉県のものづくり認定製品に選ばれたとかで、それを受けての出展だそうだ。
先般テレビのお宅訪問で同社製品が紹介されたこともあり、足をとめて珍しそうにのぞき込んだり、実際にそのパフォーマンスを体験している来場者も見受けられた。