デノンから、HDMI ARCに対応したネットワークCDレシーバー「RCD-N12」(¥110,000、税込)が発売される。10月上旬の登場予定で、本体カラーはブラックとホワイト。

画像: HDMI ARCを搭載したデノンのネットワークCDレシーバー「RCD-N12」が10月上旬に発売。ハーフサイズで、テレビの音からハイレゾ、レコードのすべてを再生

 RCD-N12は、Hi-Fiミニシステム・CEOLシリーズの最新モデルで、音楽とテレビのための、コンパクトで高機能なヨーロピアンハイファイシステムという位置づけだ。横幅280mmのコンパクトな筐体の中に、CDプレーヤー、ネットワーク/Bluetooth/USBメモリー再生、フォノ入力(MM)といった機能を搭載する。なお、同社のハーフサイズモデルでHDMI ARCを搭載した製品は本機が初めてという。

 デノンではネットワークCDレシーバーとして「RCD-N10」を発売していた。今回は本体サイズを変えずにHDMI ARCやフォノ入力を追加するために、熱管理、ノイズ抑制、安定した部品調達といった課題について、デノンが持つ技術的経験を投入、音質も大幅に向上させたという。

画像: 横幅28cmのリアパネルには、HDMIやフォノ入力、2.1chプリアウトなどを搭載

横幅28cmのリアパネルには、HDMIやフォノ入力、2.1chプリアウトなどを搭載

 まずHDMI ARCについては、AVアンプ開発陣の持つノウハウを投入、グラウンド処理、デジタルノイズ対策などを施した(対応信号は最大192kHz/24ビットのリニアPCM)。さらにフォノイコライザーを搭載したことで、ネットワーク再生用のHEOS回路などのデジタルノイズにどう対策するかも重要だったという。その点については、ハイファイチームとの意見交換の上、基板レイアウトの工夫や、回路全体を覆うシールドケースなどの追加によりノイズの影響を最小化している。

 ハイレゾ音源は、最大5.6MHzのDSDと、192kHz/24ビットのリニアPCMファイルに対応。DSD、WAV、FLAC、Apple Losslessのギャップレス再生にも対応済みだ。

 この他、CDドライブメカベースも新規設計された。RCD-N10では2ピースで構成されていたが、今回はより剛性の高い1筐体に変更し、さらにベースとドライブメカの間に金属(ステンレス)製ワッシャーを追加することで、回転時の振動に対策した。

画像: 左がRCD-N12で、右がRCD-N10のCDドライブメカベース。RCD-N10では左右ふたつのパーツ(写真の黒い部分)を立てて設置し、その間を基板でつなぐことで安定させていたが、RCD-N12ではひとつの筐体にすることで剛性をアップ、制振性も改善された

左がRCD-N12で、右がRCD-N10のCDドライブメカベース。RCD-N10では左右ふたつのパーツ(写真の黒い部分)を立てて設置し、その間を基板でつなぐことで安定させていたが、RCD-N12ではひとつの筐体にすることで剛性をアップ、制振性も改善された

 パワーアンプ部には最新のデジタルアンプモジュールを初採用。ICの内部設計を最適化し、S/Nと低インピーダンス値を改善している。また内部アンプはBLT接続とすることで、65W×2のハイパワーを可能にしたという。アンプ効率の向上で、高い放熱安定性も獲得している。

 ボディも樹脂の一体化構成にすることで洗練されたデザインを実現した(前モデルは複数のパーツの組み合わせ)。樹脂の型押しで製作しており、本来は金型から取り出すために本体側面に傾斜をつける必要があるが、RCD-N12では4方向から圧縮成形する金型を新たに起こし、サイドパネルもスクエアな形状を実現している。脚部も試聴を踏まえて素材を選別し、最終的に「PMA-A110」「PMA-2500NE」などと同じものが使われている。

 スピーカーターミナルは金メッキのスクリュー式(RCD-N10はバネ式)に変更され、ケーブルの緩みや抜けといったトラブルを防止できるようになった。なお本機にはスピーカー最適化フィルターも搭載されており、これをオンにすると内蔵されたDSPによってCEOLシリーズのスピーカー「SC-N10」(¥22,550、ペア、税込)の音響特性に最適化した信号処理を行ってくれるそうだ。

画像: 本体シャーシはRCD-N10の複数のパーツによる組み立て式(写真右)から、型押し整形(写真左)に変更された。トップパネルには航空機のコックピット風防などにも使われるハードコートアクリルを採用

本体シャーシはRCD-N10の複数のパーツによる組み立て式(写真右)から、型押し整形(写真左)に変更された。トップパネルには航空機のコックピット風防などにも使われるハードコートアクリルを採用

 新製品説明会で、RCD-N10とRCD-N12の聴き比べをさせてもらった。スピーカーのSC-N10とつないでCDを再生してもらうと、柔らかく、ふくよかな印象の女性ヴォーカルが再現された。

 続いてRCD-N12では、音場全体のS/Nが改善され、細かな情報も聴き取れて、フォーカス感もよくなった印象だ。音量もアップしたように聴こえる。HEOSを使ってAmazon Musicから48kHz/24ビットの配信楽曲を再生すると、こちらもクリアーで抜けのいいサウンドが楽しめる。低音はすっきりしているが、ヴォーカルの押し出し感もある。

画像: デノン試聴室で、RCD-N12とB&Wのブックシェルフスピーカー「707 S3」を組み合わせた音を確認

デノン試聴室で、RCD-N12とB&Wのブックシェルフスピーカー「707 S3」を組み合わせた音を確認

 続いてスピーカーをB&Wのブックシェルフ型「707 S3」に交換すると、低域が豊かになって迫力、リズム感もアップした。高域も伸びてピラミッド型のバランスがより安定してくる。

 707 S3は25mmトゥイーターと130mmウーファーを搭載した2ウェイ機で、インピーダンスは8Ω。価格もペアで¥293,700という製品だが、RCD-N12はこういった高級機もしっかりドライブしていた。様々なスピーカーとの組み合わせが楽しめる実力派コンポーネントといえるだろう。

「RCD-N12」の主なスペック

●再生可能ディスク:音楽CD、CD-R/CD-RW(MP3、WMA)
●定格出力:65W×2(4Ω、1kHz、THD+N0.7%)
●スピーカー:負荷4〜16Ω
●周波数特性:10Hz〜40kHz(±3 dB)
●Bluetooth対応コーデック:SBC
●接続端子:アナログ入力、Phono(MM)入力、HDMI(ARC)、光デジタル入力、アナログ出力、サブウーファー出力、ヘッドフォン出力、LAN、USB Type-A(Front)、FMアンテナ入力、AMアンテナ入力
●消費電力:55W(待機電力0.2W、ネットワーク制御オフ)
●寸法/質量:W280×H108×D305mm/3.4kg

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