パナソニックから、ゲーミングネックスピーカーの第2弾となる「SC-GNW10」が発表された。11月17日の発売予定で、価格はオープン(想定市場価格は¥37,000前後)。
SC-GNW10は、「SOUND SLAYER」というサブブランドを冠したゲーミングデバイスの新製品で、上で紹介したように、肩乗せ式=ネックタイプのワイヤレススピーカー。2021年に発売されたSOUND SLAYERブランドの初号機「SC-GN01」(こちらは有線式)で寄せられたユーザーからの要望に応え、大幅に改良・進化を遂げているのが特徴となる(GN01は併売)。
まずはGN01の足跡から紹介すると、発売年度の2021年は当初計画の2倍の販売を記録するなど好調な結果を残したそうで、翌2022年度においても計画の3倍を達成するなど堅調さはキープしているという。特徴としては、4スピーカーによるリアルな音場感の再現、耳を塞がないことによるストレスフリーな装着性、ゲーミング中にも周囲の日常音(環境)音の確認が可能、といった点がユーザーから評価され、それがセールスにつながっているといい、パナソニックのエンジニアは、今回のGNW10の開発に際して、SOUND SLAYER ブランドがコンセプトとしている「感動」「ストレスフリー」「共感」をさらに高めるべく、筐体構造から搭載ユニット、使い勝手にいたるまで隅々まで改良を行なったということだ。
まずはスピーカーユニットの刷新。GN01では臨場感はあるもの、音量(音圧)が小さいという声がかなり寄せられたそうで、本GNW10で音量・音圧をアップするためにユニット系を拡大。従来の34mmから38mmへとすることで、約2倍の音圧を達成したという。周波数特性も改善され、高域・低域の再現性においても大きな改善がみられるとしている。
リリースには特に記載されていないが、ユニットの刷新にともなってアンプにもメスが入っているそうで、モノーラル4ch分のアンプは出力が増強されているそうだ。
同時に4スピーカーから放出される音の定位感を向上させるために、TRUE M.A.G.E.S.S.(音響分析とDSPを用いた独自の4chサラウンド技術)の最適化を進め、各ユニットからの音を精緻にコントロールすることで、定位感をアップ。もちろん、シューティングゲームなどで求められる方位感も明瞭になっているということだ。
加えて、今回はパソコン用ソフト「SOUNDSLAYER Engine」も用意。直観操作が可能なインターフェイスで、好みに合わせたイコライジングを可能にしている(12バンド・Win用のみ・EQの変更データは送信器内に記録されるため、接続デバイスを変更しても効果は持続する)。
そしてワイヤレス化における一番の関心である遅延問題も、専用の送信ユニットが同梱されており、2.4GHz通信を採用することで、最小限に抑えているということだ。ゲーム機やパソコンとはUSB-Cで接続して使う。ちなみに送信ユニットには、より低音再現が欲しいというユーザーのために、サブウーファー出力(3.5mmステレオミニ)が搭載されており、別途手持ちのサブウーファーと組み合わせれば、より重厚な低音再生も楽しめるようになる。なお、送信ユニットの入力はUSB-Cしかないため、テレビとの組み合わせ・接続は、現状の機器は不可(将来的に、テレビがUSBオーディオ出力に対応すれば可能になるだろう)。
操作性面では、従来(GN01)では左右に配置されていたボタンが左側に集中的に配置されたことで、操作しやすくなったほか、音量操作もスライド式からダイヤル式に変更されており、瞬間的な音量変更も可能になるなど、細かい改良が行なわれている。また、チャット用のマイクも、左右のユニットに内蔵されたことで、使用者(ユーザー)の声をピックアップしやすくなったほか、高性能マイクチップとAIを使ったノイズキャンセル機能によって、話者の声だけをクリアに通話相手に届けられるようになったのも、進化点と言えるだろう。
なお、バッテリーの内蔵によって、有線式のGN01に比べて160gほど質量が大きく(重たく)なっているが、本体形状の変更や素材の吟味(柔軟なエラストマー材料の採用)などによって、装着性も高められているということだ。
今回発表のSC-GNW10は、9月21日から開催の「TOKYO GAME SHOW 2023」のパナソニックブースにて先行展示され、製品体験も可能という。
最後に、短時間ながら使ってみた印象を簡潔に紹介したい。まず、装着性は、裏面に肩周囲のでっぱりに製品が当たらないように足が配置されていて、ごつごつした感じもなく良好なもの。質量は約403gと500mlのペットボトルほどだが、重心がいいのか、重さは感じない。音質については、ユニットの刷新で音圧が増強されていることもあって、音量も充分で、なかなかに楽しめるもの。音像は頭の頂点部分に定位する感覚で、ヘッドホンやイヤホンのような頭内定位とならないのがいい。細かい音や方位感も得られるので、シューティングゲームでの索敵も容易に行なえるだろう。