スクリーンデビューから60周年を迎えた藤竜也の、今年2本目となる主演作だ。麻生久美子との共演は『猫の息子』以来、26年ぶりであるという。監督・脚本は三原光尋。

画像1: 「藤竜也」のスクリーンデビュー60周年第2弾。尾道を舞台に、味わい深い親子の姿を描く『高野豆腐店の春』

 舞台は、広島県の尾道。そこにある老舗の「高野(たかの)豆腐店」で夜明け前から豆腐づくりにいそしむ高野辰雄(藤竜也)と、娘の春(麻生久美子)が物語の中心だ。辰雄は物事の好き嫌いが激しく、ときにカッとなる性格だが、それは逆に言えば率直ということでもある。残念ながら妻には先立たれてしまったものの、友人には恵まれている。春はそんな父を堅実にサポートしているが、彼女は、いわば“出戻り”であり、辰雄としては今度こそ幸せな結婚をしてほしいと考えている。

 辰雄も春も魅力的で外向的なだけに、出会うひとも多く、好意を寄せるひとも多い。そしてこのふたりは、縁を大切にする。その縁がまた別の縁を生んで、さらに大きな縁となる。その過程が実にスムーズに、ユーモアたっぷりに描かれているあたり、私は落語の人情噺に通じる小気味よさも感じた。と同時に、人と人との間にある「血のつながり」、「共有する時間の長さ」などについても、考えさせられること間違いなし。もちろん豆腐職人の映画であるから、豆腐作りのノウハウに触れている箇所もあるし、見ているうちに大豆や「にがり」に対する知識もついてくる。観終わった後に豆腐が食べたくなるだけでなく、しばらく親や子供と離れ離れになっている人は「久しぶりに連絡をとってみようかな」という気になることだろう。そんな、ポジティヴなちからを感じさせる一作だ。

画像2: 「藤竜也」のスクリーンデビュー60周年第2弾。尾道を舞台に、味わい深い親子の姿を描く『高野豆腐店の春』

映画『高野豆腐店の春』

8月18日(金)シネ・リーブル池袋、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開!

<キャスト>
藤 竜也 麻生久美子 中村久美
徳井優 山田雅人 日向丈 竹内都子 菅原大吉 / 桂やまと 黒河内りく 小林且弥 赤間麻里子 宮坂ひろし

<スタッフ>
監督・脚本:三原光尋 製作:桝井省志 太田和宏 プロデューサー:桝井省志 土本貴生 山川雅 撮影:鈴木周一郎(JSC) 照明:志村昭裕 録音:郡弘道 美術:木谷仙夫 編集:村上雅樹(JSE) 音楽:谷口尚久 タイトルデザイン:赤松陽構造 助監督:金子功 小村孝裕 アシスタントプロデューサー:吉野圭一 企画・製作プロダクション:アルタミラピクチャーズ 配給:東京テアトル 製作:アルタミラピクチャーズ/東京テアトル 助成・文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会

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