自分がどの人種に生まれたか、さらにいえば手の甲と手のひらが同じ色に生まれついたか否かで、感じ方は大きく変わるかもしれない。観ていて私はおじけづいた。だがこれがアジアの一国である日本で公開されることは、意義のあることではあると思うし、このようなむごい事柄も世界のどこかに現実として存在する。

 ブラジルと米国の2つの国籍を有するベス・デ・アラウージョ監督・脚本の体感型クライム・スリラー『ソフト/クワイエット』が5月19日からヒューマントラスト渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開される。

 主人公は、とある田舎町の幼稚園教師のエミリー。白人たちにとっては「やさしい先生」なのだろうが、簡単に言えば有色人種や移民が大嫌いで偏見を持っている。だからなのか、鍵十字には少なからず共感を抱いているようだ。彼女は同じ考えを持つ女性たちを集めて「アーリア人団結をめざす娘たち」というグループを結成、懇親会をおこなったところ、本音が出るわ出るわ。「アメリカの繁栄は私たち白人のおかげ」などは、まだ軽いもので、しかも彼女たちは笑顔で、身を乗り出して、ノリノリで話すのだ。

 盛り上がったので二次会をしようと、「娘たち」たちは車に乗り込む。酒があったほうがなお盛り上がるので、途中で食料品店に立ち寄るのだが、そこでアジア系の姉妹とばったり出会う。労働を重ね、堅実に毎日を暮らし、郊外に一軒家を買って、つつましくしている。姉妹は「娘たち」に毅然とした対応をするが、それが「娘たち」には気に入らない。「娘たち」は「そのアジア人姉妹を狩ること」を思いつく。以降の展開についてはそれぞれご想像のうえ劇場に足を運んでほしい。個人的には一筋の光明があってホッとした。

 全編、ワンショット。わずか4日間のリハーサルで撮られたという。SXSW2022でのプレミア上映で大反響を呼んだ一作、あらゆる肌の色をもつひとに観てもらいたい。そして『ソフト/クワイエット』という、一見、物語の展開からは対照的なタイトルがどこから来たのか、これも観ればわかる。

映画『ソフト/クワイエット』

5月19日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

監督・脚本:ベス・デ・アラウージョ

出演:ステファニー・エステス、オリヴィア・ルッカルディ、エレノア・ピエンタ、メリッサ・パウロ、シシー・リー、ジョン・ビーバース

2022年/アメリカ/英語/92分/16:9/5.1ch/原題:soft&quiet/日本語字幕:永井歌子/提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム/G
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