「努力、友情、勝利」という言葉が浮かぶ明快な一作だ。主人公のカティは、一流レストランに勤める辣腕シェフ。自分の作る料理に誇りを持っているが、なあなあで世渡りできる性分ではなく、結果として上司とまともにぶつかってレストランを飛び出すことになってしまった。

 そんな彼女がどうにか見つけたのは、主にアフリカやアジアからの、強制送還もまぬがれないかもしれない移民少年たちが暮らす自立支援施設での仕事。とてもじゃないが厨房も食材も衛生面も、一流レストランのそれとは雲泥の差だ。カティも当初は性格のきつさをダイレクトに出していたが、「少年たちをアシスタントにしてはどうか」という施設長のアイデアを受け入れたところ、料理が得意だったり、関心を示したり、農作業が好きだったりする少年たちが多々いることも実感し、一緒に作業に打ち込んでいるうちに、カティと彼らの結びつきはどんどん強まっていく。メニューにもいつしかアフリカ色が加わり、そうなると今度はカティが学ぶ側である。後半の重要シーン(中年以上の日本人であれば「料理の鉄人」を思い出すかもしれない)に向かっての、物語のスピード感は尋常ではない。

 オドレイ・ラミーが演じるカティは、実在するシェフのカトリーヌ・グロージャンがモデルであるという。監督は社会派コメディの名手との声も高いルイ=ジュリアン・プティ。施設長には、ベテランのフランソワ・クリュゼ(セザール賞に9回ノミネート)が扮する。5月5日から全国公開。

映画『ウィ、シェフ!』

5月5日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町 他全国ロードショー

監督:ルイ=ジュリアン・プティ
出演:オドレイ・ラミー、フランソワ・クリュゼ
2022年|フランス映画|フランス語|97分|5.1ch|シネスコ|原題:La Brigade|英題:Kitchen Brigade|字幕翻訳:星加久実|後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ G指定
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
(C)Odyssee Pictures - Apollo Films Distribution - France 3 Cinema - Pictanovo - Elemiah- Charlie Films 2022

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