TVS REGZAは、2023年春の新製品発表会を開催した。今回登場したのは4K有機ELレグザと、Mini LED&量子ドットフィルターを採用した4K液晶レグザで、3シリーズ全9モデルという構成だ。

●4K有機ELレグザ
77X9900M 市場想定価格¥935,000前後(4月21日発売)
65X9900M 市場想定価格¥594,000前後(4月21日発売)
55X9900M 市場想定価格¥440,000前後(4月21日発売)

●4K Mini LED液晶レグザ
85Z970M 市場想定価格¥935,000前後(5月発売)
75Z970M 市場想定価格¥770,000前後(4月21日発売)
65Z970M 市場想定価格¥528,000前後(4月21日発売)

75Z870M 市場想定価格¥550,000前後(4月21日発売)
65Z870M 市場想定価格¥418,000前後(4月21日発売)
55Z870M 市場想定価格¥308,000前後(4月21日発売)

画像: 2023年のレグザ新ラインナップ

2023年のレグザ新ラインナップ

 発表会に登場した取締役副社長の石橋泰博さんによると、レグザの2022年モデルは市場でも好評だったそうだ。2023年はさらに見る人に感動してもらえる製品の開発に邁進したとかで、新しいモデルを紹介できることが嬉しいと話していた。

 また今回のラインナップについて、「今年のレグザはビッグサイズ&ハイクォリティ」を打ち出したいと考えています」という説明があった。

 現在の4Kテレビの人気ゾーンは55型だが、同社の調査によると実際には65型やそれより大型のテレビを設置した方がいいケースも多いとかで、今後は視聴距離からみた画面サイズ選びを提案していきたいと考えているようだ(この件については別途紹介する)。

画像: 左が石橋泰博さんで、右が笹川知之さん

左が石橋泰博さんで、右が笹川知之さん

 続いて登壇した、取締役副社長 笹川知之さんは、2023年レグザのマーケティング戦略について紹介してくれた。新製品では、昨年同様に俳優の小栗旬さんをブランドアンバサダーに起用し、“これが、リアルだ。REGZA Chapter2”というテーマでCMを展開していく。

 その第一弾となる新CM 「レグザの化身CHAPTER2」篇の放送は本日からスタートしている。小栗さんが進化したレグザの化身として、視聴者を代表する少年を色彩豊かな世界へ次々と誘っていく。新CMは、レグザ公式サイト、レグザ公式YouTubeチャンネルでも配信されているので、気になる方はこちらもチェックしていただきたい(関連リンク参照)。

 新製品のスペックについて紹介すると、まず有機ELテレビのX9900Mは、77/65/55インチの3モデル展開で、画質・音質・機能性のすべてで有機ELレグザの頂点を目指したラインナップとなる。

画像: レグザエンジンZRαの基板。写真に見えるふたつの大きなICがAI解析や映像処理を受け持つ。このチップ自体は昨年モデルと同じだが、搭載されたアルゴリズム等が進化したことで新しい機能が追加された

レグザエンジンZRαの基板。写真に見えるふたつの大きなICがAI解析や映像処理を受け持つ。このチップ自体は昨年モデルと同じだが、搭載されたアルゴリズム等が進化したことで新しい機能が追加された

 液晶テレビのZ970M、Z870Mもどちらも上位ラインナップで、Z970Mはバックライトや液晶パネルを刷新したレグザ史上最高の液晶テレビという位置付け。弟シリーズのZ870Mはこれからの液晶レグザのスタンダードラインだそうだが、Z970Mと同様にMini LEDバックライトと量子ドットフィルターを搭載しており、これまでのトップモデルに匹敵するスペックを備えている。

 主な特長としては、X9900MとZ970Mには独自の映像エンジン「レグザエンジンZRα」が採用された(Z870MはレグザエンジンZR)。そこには今年1月のCESで技術発表された機能も盛り込まれている。

 そのひとつがミリ波レーダーで視聴者までの距離を測定し、視聴距離に応じた最適な絵柄に自動調整する「ミリ波レーダー高画質」。近接視聴の場合はノイズを抑制して自然な映像を再現し、離れて見る場合は精細感を高めてメリハリのある画質を楽しめるようになっている。同社ではこれまで2.5H〜3H(Hは画面の高さ)の視聴距離を想定して絵作りをしてきたとかで、今回はそこから外れた場合でもレグザらしい高画質を楽しめることになる。

画像: ミリ波レーダーを内蔵したことで視聴者までの距離を把握することができ、映像が音声処理に新しいアイデアを盛り込むことができた

ミリ波レーダーを内蔵したことで視聴者までの距離を把握することができ、映像が音声処理に新しいアイデアを盛り込むことができた

 同じくミリ波レーダーで視聴位置を把握し、視聴者がセンターからオフセットした場所に座っている時にも、位相を最適化して自然な音像定位を実現する「ミリ波レーダー高音質」機能も搭載している。

 その他、ジャンル情報のわからないネットコンテンツに対し、AIを使って種類や特徴を解析、最適な画質に調整する「ネット動画ビューティPRO」も正式に採用されている。技術発表の通り、入力素材を自社で深層学習させたAIで分析することで「ビデオ」「フィルム」「フィルム風ビデオ」に分類して、コンテンツに合わせた高画質処理を行なっている。YouTubeなどのビット情報が少ない映像で散見される圧縮ノイズやバンディング(階調のむら)を抑制する機能も備えている。

 AIを使って画面の構図の中にある被写体の顔や衣装を把握し、それぞれに適した画像処理を加える「AIナチュラルフォーカステクノロジーPRO」も実装された。

画像: AIによる被写体認識のイメージ。写真で白く囲まれている部分が人物として判別されている。さらにその中の顔や腕、洋服といったエリアを区別して、異なる映像処理を行うという

AIによる被写体認識のイメージ。写真で白く囲まれている部分が人物として判別されている。さらにその中の顔や腕、洋服といったエリアを区別して、異なる映像処理を行うという

 AIがアニメキャラクターの顔を検出し、アニメコンテンツに合わせた絵柄を再現する「アニメビューティPRO」では、アニメの人物はノイズを抑制して滑らかに再現、最近のアニメ作品に多い実写のような背景はきめ細かく再現するという。なおこの機能はネット動画ビューティPROの「アニメ映像判別」でアニメ素材と判別されたコンテンツにも有用となる。

 なおTVS REGZAでは今後、映像エンジンの名称を単純化していく方針とかで、上記の機能が入った最新版は「レグザエンジンZRα 2023年版」という表記になるようだ。

 そのエンジンを組み合わせるパネルは、有機EL、液晶とも刷新されている。まず有機ELパネルは、従来機(X9900L)に比べて輝度が約20%向上、明るく鮮やかで引き締まった黒を生かした高コントラスト再現を可能にした。

画像: X9900Mの新型有機ELパネル

X9900Mの新型有機ELパネル

 液晶テレビは上記の通り、Z970M、Z870MともMiniLEDバックライトと、量子ドットフィルターを搭載して、高いコントラストと広い色域を獲得している。さらにZ970Mではパネル表面に低反射ARコートと広視野角ワイドアングルシートを取り付けており、視聴位置の制約のない高画質を楽しめるようになった。

 なおバックライトはMini LED自体の数、分割駆動エリア数とも改善され、Z970Mでは同社「65Z875L」比で約10倍、Z870Mは同約3倍の精度でエリアコントロールを行なっている。

 操作面では、リモコンに多く搭載されたネット動画ダイレクトボタンに注目したい。ネット動画は今日、テレビ放送と並ぶ主要視聴コンテンツであり、それがいかに簡単に選局できるかはテレビにとっても重要だ。新型レグザでは、「Netflix」「Disney+」などのサービスが選べるダイレクトボタンを10個、ユーザーがカスタマイズできる「My.Choice」ボタンを2個備えている。

画像: Z970Mに搭載されたMini LEDバックライト。LEDの数も前モデルから増えており、分割数も約10倍細かくなった

Z970Mに搭載されたMini LEDバックライト。LEDの数も前モデルから増えており、分割数も約10倍細かくなった

 音質面では、3シリーズともドルビーアトモスのデコードに対応済み。X9900Mは2ウェイフロントスピーカーとパネル裏に設けたスクリーンスピーカー、トップ/サイドトゥイーターといった10個のユニットを90Wのマルチアンプで駆動する。基本的なユニット配置などはX9900Lを踏襲しているが、トップ/サイドトゥイーターは改良が加えられており、より音の広がりと定位感に優れたサウンドを楽しめるようになっている。

 Z970Mは11スピーカーを112Wマルチアンプでドライブする。トップ/サイドスピーカーには新開発のフルレンジユニットが搭載され、画面下側に搭載されたセンタースピーカーと合わせて音像をリフトアップするような工夫も施されている。

 Z870Mはフロントスピーカー+トップトゥイーターの4.1ch構成。7個のユニットを60Wマルチアンプで駆動する仕組みだ。

画像: TVS REGZAが、2023年春の4K有機EL&液晶レグザ3シリーズ9モデルを発表。“ビッグサイズ&ハイクォリティ” をコンセプトに、いっそう魅力的なラインナップを揃えた
画像: 上はX9900Mに搭載されたスピーカーユニット。下の写真の右はX9900Lのトップ/ワイドトゥイーターで、左がX9900Mのもの。ホーンの開口部の幅がわずかに狭くなっている

上はX9900Mに搭載されたスピーカーユニット。下の写真の右はX9900Lのトップ/ワイドトゥイーターで、左がX9900Mのもの。ホーンの開口部の幅がわずかに狭くなっている

 ゲームモードにも改良が加えられた。4K/120p、VRR、ALLMといった信号への対応はもちろん、新たにゲームの種類に応じて処理内容を切り替える「ゲームセレクト」が準備された。低遅延とゲーム用高画質をバランスした「スタンダード」、超解像技術などを使いリアリティに優れた映像を表現する「ロールプレイング」、低遅延処理を重視し、同時に暗いシーンの視認性を向上させた「シューティング」から好みのモードを選ぶことで、快適なゲーム体験が可能になるという。

 3シリーズとも内蔵チューナーはBS4K×2、BS/110度CSデジタル×3、地デジ×9で、タイムシフトマシンや過去番組表も搭載済み。接続端子はHDMI入力×4、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、USB×4、LAN×1などで、こちらも3シリーズとも共通だ。

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