第80回ゴールデングローブ賞で2部門にノミネート(ミュージカル・コメディ部門の作品賞、およびトイレの清掃婦を演じたドリー・デ・レオンの助演女優賞)。人間の見栄と欲をむき出しにした147分のリアリズム、『逆転のトライアングル』が2023年2月23日よりTOHOシネマズ 日比谷他にて全国公開される。

画像1: 自分が「どの側」にいるかで捉え方が逆転するに違いない、147分のリアリズム『逆転のトライアングル』

 映画に接する時、あらかじめ、誰(どのキャラクター)が主役かを頭に叩き込んで作品を観るファンも少なくないときく。そうなるとこの作品、どうなるのだろう。見ようによっては主役だらけになるからだ。大きな舞台となるのは、豪華客船。選ばれしお金持ちしか乗船が許されないであろうことは疑いようがないけれど、そのなかでもしっかりヒエラルキーがあり、白人たちは日当たりの良いところでグラスを傾けてエンジョイし、有色人種は窓もない部屋で暮らす。容姿に恵まれたがゆえに成り上がったモデルとインフルエンサーの男女カップル、ロシアの新興財閥、平和のためという名目で武器を作って売って大もうけしている老夫婦などなど、アクの強い面々がエゴイスティックに金持ちの花を咲かせる。船内の自動ピアノから流れるメロディは、ビリー・ストレイホーンが作曲した「ラッシュ・ライフ」(飲んだくれ人生)だ。

画像2: 自分が「どの側」にいるかで捉え方が逆転するに違いない、147分のリアリズム『逆転のトライアングル』

 やがて大変な悪天候となり、その後は推して知るべし。そうなると手持ちの札束などただの紙きれであり、サヴァイヴァル能力がなによりも優先される。さあ、ニュー・ワールド・オーダーの始まりだ。マチズモでルッキズムでホワイト・スプレマシーな地球で、そこに含まれない者が豊かに生きていくためにはどうしたらいいのだろう? 私は考えこんでしまった。監督・脚本はリューベン・オストルンド。

映画『逆転のトライアングル』

2月23日(木・祝)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給表記:ギャガ
Fredrik Wenzel (C) Plattform Produktion

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