デノンから、同社中堅AVセンターの新製品「AVR-X4800H」が発表された。価格は¥313,500(税込)で、2月上旬の発売を予定している。

 デノンによると、同社製AVセンターは4chでの使用が91%、3chが4%、2chが5%と、マルチチャンネルでの用途が確実に増えているという。

画像: デザインは「AVR-X4700H」から変わっていない。音場測定用のマイクとリモコンが付属する

デザインは「AVR-X4700H」から変わっていない。音場測定用のマイクとリモコンが付属する

 それを踏まえて今回のAVR-X4800Hは、“デノン9.4chの最高峰モデル”というコンセプトで開発されている。そのために初心に返り、同社の白河工場でAVセンターを立ち上げた技術者にも声をかけ、「AVR-X4700H」のリファインではなく、あらたなモデルとして企画を進めたそうだ。

 一番の変更点としては、パワーアンプモノリス・コンストラクションに変更された。これは上位モデル「AVC-X6700H」や「AVC-X8500HA」と同じ仕様で、同一構成のパワーアンプ基板を9chぶん独立した基板にマウントし、電源もそれぞれ独立させることでチャンネル間の干渉やクロストークを排除している。AVR-X4700Hは5ch+4chの2枚基板構成だったので、大元から手が入ったことになる。ヒートシンクも大型化されて放熱効果をアップ、肉厚のアルミ押し出し材を採用することで、共振も防いでいる。

 内部配線では、基板間をつないでいるFCCケーブルのレイアウトを変更した。AVR-X4700Hではパワーアンプの上を通していたが、AVR-X4800Hでは放熱を妨げないような配置とし、この点も内部の放熱改善に効いているという。他にも、オーディオ基板とパワーアンプ基板のワイヤー配線を止め、基板同士を直接つなぐことで生産性の改善も図っている。

画像: 写真中央上の銀色のチップが、新たに搭載されたDSPのGriffin Lite XP

写真中央上の銀色のチップが、新たに搭載されたDSPのGriffin Lite XP

 内蔵されたDSPチップも変更され(Griffin Lite XP)、AVC-X8500HA等に使われているDSPを上回る信号処理能力を手に入れている。音声信号はドルビーアトモス、DTS:Xに加え、MPEG-4 AACやAuro-3D、360 Reality Audioも楽しめる。さらにIMAX Enhancedの認証も受けている。

 AVR-X4800Hではこれらのソースを最大11.4chで処理可能。内蔵パワーアンプは9chだが、11.4chのプリアウトも備えているので、外部パワーアンプを追加することで最大7.4.4や5.4.6での3Dオーディオ再生も楽しめることになる。デノン製品でお馴染みのプリアンプモードも搭載しており、チャンネルごとにパワーアンプのオン/オフも可能だ。

 DAC回路も新しくなっており、32ビット対応2ch DACが8基搭載されている(AVR-X4700HはマルチチャンネルDACを搭載)。さらにこのDAC回路とアナログオーディオ回路を一枚基板とし、映像回路やネットワーク回路から独立させることで、周辺回路からの相互干渉を排除している。オーディオ基板内でも電源ラインの最短化、レイアウトの最適化を行うことで理想的なミニマルシグナルパスが実現できている。

画像: 7系統のHDMI入力と2系統のHDMI出力はすべて8K/60pに対応

7系統のHDMI入力と2系統のHDMI出力はすべて8K/60pに対応

 7系統のHDMI入力と2系統のHDMI出力はすべて8K/60p、4K/120pに対応済みで、すべての端子が著作権保護技術のHDCP2.3に準拠した。HDR信号はHDR10、HLG、ドルビービジョン、HDR10+、ダイナミックHDRに対応。また細かい事だが、HDMI出力端子からの電源供給能力が従来の200mAから300mAにアップしている。これにより長尺のHDMIケーブルを使った場合でも安定した伝送が可能になるはずで、プロジェクターユーザーには嬉しい改良といえるだろう。

 また最近のAVセンターでは珍しく、アナログ色差コンポーネント入力端子1系統とコンポジット映像入力端子2系統も備えており、ここから入力された映像をHDMIから出力してくれる(480i/576iまでの対応で、アップコンバートやフレームレート変換は行わない)。

 ハイレゾ再生用にはネットワークオーディオプラットフォームのHEOSを搭載。各種ストリーミングサービスからUSBやネットワーク経由のファイル再生も楽しめる。対応信号は最大192kHz/24ビットのPCMとDSD5.6MHzとなる。

画像: AVR-X4800Hの主要パーツ。写真中段左が新開発されたカスタムコンデンサー

AVR-X4800Hの主要パーツ。写真中段左が新開発されたカスタムコンデンサー

 AVR-X4800Hの音決めは、同社サウンドマスターの山内慎一氏が担当。今回も「Vivid & Spacious」というサウンドポリシーに即したチューニングが行われており、パーツ面でもカスタムコンデンサーを供給メーカーと一緒に開発するなど、細部にまで手が入っている。ネットワークを含んだデジタル回路の電源も試聴を繰り返して最適なパーツを決定したそうだ。

 なおAVR-X4800Hは、同社白河工場で生産される(AVR-X4700Hは海外生産)。9.4chの最高峰モデルという製品の位置づけや、高度な絵生産技術が求められることがその理由で、国内工場で1台1台ていねいに製造されるとのことだ。

 今回AVR-X4800Hの音を確認する機会があった。

 まずAVR-X4700H(初期モデル)との比較で2chソースを再生してもらった。ダイアナ・クラールのCDではAVR-X4700Hも肉厚でしっとりした歌声を聞かせてくれる。これに対しAVR-X4800Hは、スタジオの空気が澄んできたようで、声の生々しさがアップ、目の前で歌っているかのような実体感、臨場感が増している。

画像: デノン試聴室でAVR-X4700H(ラック上段右)とAVR-X4800H(ラック上段左)の違いを確認した

デノン試聴室でAVR-X4700H(ラック上段右)とAVR-X4800H(ラック上段左)の違いを確認した

 続いてB&Wの700シリーズを使った5.3.4システムで、映画ソースを再生してもらう(トップスピーカーはスモールで、サブウーファーは指向性にセット)。

 『トップガン マーヴェリック』では発進時のエンジン音が大迫力で響いてくるし、航空機の移動感も明瞭でこの作品の楽しさを十全に感じ取ることができた。マスク越しのセリフもクリアーで、聞き取りやすい。

 ミュージカルの『ウエスト・サイド・ストーリー』では、冒頭のファンファーレや口笛などが高さを伴って再現される。発音源がしっかりわかるほどの再現性で、サウンドデザインの狙いも明確になってくる。一方で街のざわめきといった暗騒音に近い情報も自然に響いてくる。

 『JOKER』では頭上で響く雷が高さを持って表現され、降りしきる雨音に包まれる。つぶやくようなセリフや細かなサラウンド情報もしっかり再現され、作品世界に引き込まれてしまった。

 Auro-3Dの音楽作品も、空間の純度が高い。ピアノがセンターに定位し、ドラムが左右からリズムを刻むなど、試聴社を音で包囲しようという制作者の狙いが体感できる。しかも音のつながりもとても自然で、音楽を浴びるという楽しさを実感できた。

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