日常のひとこまを描いた部分と、ありきたりの理解を超えた別世界に連れ出してくれる部分が、入れ子状態になっている作品という印象を受けた。つまり一つ一つの展開が見逃せないし、ある展開と別の展開が実は予想外につながっていたりして、なんというのだろう、横八の字に結ばれたとてつもなく大きな糸の絡み合いを任意にピックアップした105分がこの映画なのだという感じもする。

画像1: 現代によみがえる地獄巡り幻想奇譚へようこそ! 映画『餓鬼が笑う』12月24日公開

 主人公の大貫大は今にも壊れそうな古いアパートの四畳半に住んでいて、路上で古物を売って暮らしている。通常ならこうした登場人物がヒロインと出会い、恋をしていくのは、物語経過から数十分ほど経った頃ではないかと思うのだが、この映画にとってそれはプレリュードでしかないので、ふたりは相当アップテンポで親しくなる。

 が、それはそれとして、路上販売にはライセンスが必要であり、大貫大にはそれがなかった。警棒で殴られて意識を失った彼が迷い込んだのは、黄泉の国。時に目を覆いたくなるほど暴力的な、すさまじくハードコアな日々に巻き込まれていくが、ここからの展開がまた多彩でテンポがいい。

画像2: 現代によみがえる地獄巡り幻想奇譚へようこそ! 映画『餓鬼が笑う』12月24日公開

 監督・脚本・編集は平波亘、出演は田中俊介、山谷花純、田中泯、萩原聖人ほか。12月24日から新宿K’s Cinemaほかロードショー、以降全国順次公開。

映画『餓鬼が笑う』

12月24日(土)新宿K’s cinemaほかロードショー!以降全国順次公開

出演:田中俊介、山谷花純、片岡礼子、柳英里紗、川瀬陽太、川上なな実 / 田中泯(特別出演)、萩原聖人
監督・脚本・編集:平波亘/撮影:伊集守忠/照明:大久保礼司/録音・整音・効果・音楽:松野泉/美術:中村哲太郎/スタイリスト:小笠原吉恵/衣裳:鈴木沙季/ヘアメイク:河本花葉/助監督:滝野弘仁/制作主任:宮司侑佑/企画・原案・共同脚本:大江戸康/プロデューサー:鈴木徳至/製作:大江戸美術、コギトワークス/配給・宣伝:ブライトホース・フィルム、コギトワークス/制作:コギトワークス/主題歌:eastern youth「今日も続いてゆく」(裸足の音楽社)/2021年/105分/ビスタ/カラー/5.1ch
(C)OOEDO FILMS

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