『オール・アバウト・マイ・マザー』や『トーク・トゥ・ハー』で知られるスペインの名監督、ペドロ・アルモドバルの最新作『パラレル・マザーズ』が11月3日(木・祝)からヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ、新宿シネマカリテ他で公開される。
「同じ日に母となった二人の女性の人生と交流」、1936年に起こりピカソ『ゲルニカ』の題材にもなった「スペイン内戦(市民戦争)」、さらに「DNA鑑定」、マイルス・デイヴィス「枯葉」(キャノンボール・アダレイのアルバムより)やジャニス・ジョプリン「サマータイム」といった伝説的名演などなど------これら、一見ばらばらな要素がいかに結びついて、ひとつの大波となって観る者に迫ってくるのか、映画好きならきっと誰もが前のめりな興味を抱くことだろう。結果は、「さすが」「まさに」アルモドバルである。味があり、コクがあり、深みがあり、しかも「それで、あなたは?」的な問いも忘れない。
出演はペネロペ・クルス、ミレナ・スミット、ロッシ・デ・パルマロッシ・デ・パルマ他。サウンドトラックはアルベルト・イグレシアスが担い、黄金の両手を持つ打楽器奏者ペドロ・エステヴァン(ドゥドゥ・ンジャエ・ローズにアフリカン・パーカッションを師事したこともある)も参加する豪華版だ。
やはりアルモドバルが監督を務めた、30分ほどの短編『ヒューマン・ボイス』が同時上映されるのも嬉しい。こちらはジャン・コクトーの戯曲『人間の声』を素材にアルモドバルがアレンジした内容を、英国出身のティルダ・スウィントン(+犬)の独り舞台で届けるというもの。言語は英語(監督にとっては、実験であったという)、ほぼ密室というシチュエーションの中で、主人公の感情は昂ぶり、塞ぎこみ、燃焼に至る。
映画『パラレル・マザーズ』
11月3日(祝・木)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテ 他公開
脚本・監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス、ミレナ・スミット、イスラエル・エレハルデ、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ロッシ・デ・パルマ、フリエタ・セラーノ
2021/スペイン・フランス/スペイン語/123分/カラー/5.1ch/ドルビーデジタル/アメリカンビスタ/ R15+
原題:MADRES PARALELAS
字幕翻訳:松浦美奈
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