ヤマハから、トールボーイスピーカーの新製品「NS-2000A」が発表された。価格は¥880,000(ペア、税込)で、2023年2月24日の発売を予定している。予約受付は2023年1月19日(木)から開始し、長期間にわたって愛用してもらえるよう、5年間のメーカー製品保証を標準で付与している。

画像: NS-2000Aは高さ約1m12cmのトールボーイスタイル。写真は付属のサランネットを取り付けた状態
NS-2000Aは高さ約1m12cmのトールボーイスタイル。写真は付属のサランネットを取り付けた状態

 NS-2000Aは、昨年の東京インターナショナルオーディオショウで参考出品されていたモデルだ。ハイファイスピーカーの「NS-5000」「NS-3000」で採用された独自技術を引き継ぎながら、より心地よく音楽リスニングを楽しめる製品として開発されている。

 つまり、ヤマハの目指す“TRUE SOUND”と、使いやすさの両立を目指したラインナップということで、本体を横幅330mmとスリムに抑えることで、リビング等で薄型テレビの両脇に置きやすいように配慮されている。

 ユニットはNS-5000、NS-3000から一新されており、30mmドーム型トゥイーターと80mmドーム型ミッドレンジ、160mmコーン型ウーファー×2という3ウェイ4スピーカーを搭載。それらのユニットには「HARMONIOUS DIAPHRAGM」(ハーモニアスダイアフラム)と呼ばれる新技術が使われた。

画像: NS-2000Aに搭載された新開発ユニット

NS-2000Aに搭載された新開発ユニット

 この新しい振動板には、NS-5000、NS-3000のユニット振動板に使われていたザイロンを細かく(1mmほどに)カットしたものと、ピアノスプルース材(ヤマハの掛川工場で生産しているピアノの本体と同じ材料)を繊維にしたものをベースに、麻や綿なども混ぜて熱処理を加えた上で、紙漉き処理した素材が使われている。この素材は、音速と内部損失のバランスに優れているのが特長とのことだ。

 さらに、NS-2000Aでは上記の各材料の配合比率や熱処理時間を微調整することで、トゥイーター用やウーファー用に振動板を作り分けている。同じ素材を使うことで全体域に渡って音色の統一を計る “広帯域フルレンジ” というコンセプトを徹底しつつ、それぞれが受け持つ帯域に合わせて振動板の特性を最適化しているわけだ。ちなみに振動板の厚み等もユニットによって異なっている。

 なおトゥイーターとミッドレンジはバックチャンバーにNS-5000と同じくR.S.(Resonance Suppression)チャンバーを搭載。メインチャンバーで発生した共鳴のピークを、長さの異なる左右の2本の共鳴管で打ち消すことで、背面から放射される不要音を的確に抑えている。

画像: ウーファー用とトゥイーター用のネットワークの試作パーツ。実際の製品とは使われているパーツが異なるとか

ウーファー用とトゥイーター用のネットワークの試作パーツ。実際の製品とは使われているパーツが異なるとか

 そのユニットの特性を活かすために、クロスオーバーネットワークにも細かな配慮がなされている。カットオフ周波数は750Hzと3.5kHzで、フィルター特性はすべて-12dB、全ユニット正相駆動という設定だ。

 パーツにはドイツのムンドルフ製コンデンサー「MCap SUPREME Classic Audio Capacitor」や大型コイル(ミッドレンジやウーファー用はエッジワイズ巻を採用)を使い、内部配線にはPC Triple-Cが奢られている。さらにこれらの素子同士がお互いに影響しないよう、回路のレイアウトも熟考されている。スピーカーターミナルはシングルワイアリング用で、端子にはNS-5000、NS-3000と同じ、真鍮削り出し+金メッキの大型タイプを搭載する。

 エンクロージャーは折り曲げ加工した木材を2面(フロントバッフルと天板・底面で1枚、リアバッフルと左右の側面で1枚)組み合わせた構造とすることで強度を確保した。この構造であれば角を減らすことができるので、定在波のキャンセルやラウンド構造による適度な響きが得られるという。

画像: 心地いいリスニング体験を実現する、ヤマハの新型トールボーイ「NS-2000A」がいよいよ登場。全ユニットで同じ振動板素材を搭載したハーモニアスダイアフラム技術に注目

 開発時にはレーザー測定とFEM解析を繰り返し行い、音楽信号に対してノイズ、歪みといった悪影響を与える不要振動を抑制、吸音材を極力使わずに歪みを抑える構造を探っていった。内部は、トゥイーター、ミッドレンジ用とウーファー用に上下で2分割されている。

 さらにウーファー用のボックスにはアコースティックアブソーバーも取り付けられている。これもNS-5000やNS-3000で使われた技術で、両端に吸音素材を取り付けたJ字型の管によって狙った定在波を効果的に除去するものだ。NS-2000Aでは本体両側面にふたつ搭載する。

 デザイン面での特長は、本体にネジが見えないノイズレスがコンセプト。表面仕上げはピアノフィニッシュで、ヤマハが長年培ってきた塗りの技術が活かされている。実はヤマハでは表面仕上げについては独自の厳しいルールがあるようで、今回もそれに則って品質管理が行われているそうだ。

 さらにスタンド部はアルミダイキャスト成型で、ピアノのペダルをイメージしたデザインが採用されている。上側がカーブしたサランネットも付属する(マグネットの着脱式)。

画像: スピーカーターミナルは、真鍮削り出しの大型タイプを搭載。スタンドはアルミダイキャスト製でネジで本体に取り付ける仕様だ。

スピーカーターミナルは、真鍮削り出しの大型タイプを搭載。スタンドはアルミダイキャスト製でネジで本体に取り付ける仕様だ。

 発表会場で、NS-2000Aの音を聴くことができた。アナログレコードをメインに再生してもらったということもあるが、ヴォーカルが優しく響き、音場を緻密に描き出すと言うよりは、柔らかい空気感で再現しようという音作りと感じた。といっても楽器の定位感等は明瞭で、何か情報が欠落しているというようなことはない。

 またユニットの振動板素材を揃えた恩恵もあり、まさにフルレンジユニットで聞いているかのような音の統一感もある。ハーモニアスダイアフラム技術のメリットをきちんと感じ取れた。

 “TRUE SOUND”を実現しつつ、より心地いいリスニング体験を提供するという製品コンセプトはしっかり実現できていると思った次第だ。休日に80年代J-POPのレコードをゆったりした気分で楽しむ、そんな贅沢な使い方をしてみたいスピーカーだ。

 なお、10月28日(金)〜30(日)に東京国際フォーラムで開催される「2022東京インターナショナルオーディオショウ」と、11月5日(土)〜6日(日)にハートンホテル心斎橋で開催される「オーディオセッションin OSAKA 2022」のヤマハブースで、NS-2000Aの試聴が実施される。詳細は、関連リンクのヤマハホームシアター・オーディオ体験イベント情報で確認を。

「NS-2000A」の主なスペック

●型式:3ウェイ4スピーカー、バスレフ型
●使用ユニット:30mmドーム型トゥイーター、80mmドーム型ミッドレンジ、160mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:750Hz、3.5kHz
●インピーダンス:6Ω(最低3.5Ω)
●再生周波数帯域:34Hz〜65kHz(-10dB)
●出力音圧レベル:88dB/2.83V/m
●寸法/質量:W330×H1124×D459mm(スパイク含まず)/34.6kg

This article is a sponsored article by
''.